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背後の視線
クラスメイトが死んだ。
次の日、隣の家の子も。
学校は静まり返っている。
声も笑いも泣き声もない。
教室は半分しかいない。
知らせだけが届く。
死が近くで連鎖している。
帰り道、誰もいない通り。
背後に微かな足音。
振り返れない。
足音は止まる。
空気が重く、ドアを開ける手が震える。
鍵は少しずれていた。
部屋に入ると、物の向きが微妙に変わっている。
靴の向き、鍵の位置。
かすかな足音が近づく。
声はしない。
ただ、視線が肩越しに落ちる。
息を止めても、身体は硬直する。
夜、静まり返った家。
軋む床の音。
月明かりが揺れる。
知らせは止まらない。
誰も助けられない。
逃げ場はない。
物の位置がまた少しずれる。
冷気が肩を撫でる。
振り返る勇気はない。
鼓動が耳を打つ。
全身が硬直する。
時間も音も光も、すべてが止まったようだ。
そして、気づく。
今までの死も、鍵のずれも、足音も、背後で見ていた存在の仕業だったことを。
振り返ると、静かに微笑む父の顔が、すべてを語っていた。




