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最後の瞬間
手首に冷たい手錠。足首は鎖で床に縛られて、動けない。
部屋は暗く、壁も天井も沈黙している。かすかな光が揺れるたび、影がうごめいた。鼓動が耳を打ち、息が吸えない。
金属が擦れる音。足音。近づく。振り返れない。振り返ったら、絶対に見える。助かるはずもない。
膝が震え、身体が硬直する。手首の痛みより、恐怖が全身を締め付ける。肩に何かが触れる。冷たい刃のような感触。血の匂い。冷気が首筋に絡みつく。
目の前の闇が揺れる。影が、私を押しつぶすように近づく。声は出ない。泣きたくても、涙も出ない。時間が止まった。空間も止まった。
呼吸をすると、息ごと恐怖が身体に入る。鼓動が破裂しそうで、指先まで震える。目を閉じても、影は肩に張りついている。逃げられない。逃げられない。
次の瞬間、全身を引き裂くような感覚が走った。冷たさと熱さが混ざり、世界が真っ赤に滲む。音も匂いも、私の存在も、すべてが消えた。
静寂の中、誰かの視線だけが残った。




