表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刑法三十九条~そして行く先へ  作者: i/o
関係者、家族、傍観者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/12

サイドf 検察官

私見です

 俺は仕事に明け暮れる検察官。日々の仕事生活に疲弊しきっている新人だ。今回、大ニュースになった、街での統合失調症患者を利用した無差別刺傷事件。


「また重い案件がきたよ」


「でも今回の内容は確かにえげつないな」


 aはもともと一切前科前歴のない誠実な男で、過労と暴力の末統合失調症を発症。その際も家族のおかげか周囲には最小限の迷惑しか掛かっていない。bによる誘拐&監禁がなければそこまで症状は悪化しなかっただろう。しかしbは論外として、aは量刑が難しい。


「これ、判決だと心神喪失で無罪になる確率が高くないか?」


「でもナイフを持ったのが自分の意思であれば確実に実刑だぞ」


 同僚の返しに返す言葉もない。


「起訴は確定だな」


 そう言い切ったら、事務作業の再開である。裁判に出る検事として指名されれば相当面倒くさい。それほどまでに線引きが難しい。


「上層部の方針としては心神耗弱として実刑判決を望むみたいだが、相手は確実に無罪を主張してくるよな」


「……検察の発言として許されるかどうか分からないが、aの立場だったらぞっとするよ」


 同僚の発言に対する返しは、無言の肯定だった。


「それでも大きな怪我を負った被害者がいることには変わりないからね。さっ、整理手続きを再開するよ。統合失調症の男が、事件が終わった後に寛解する例はなんせ憲政史上初だから。ややこしくなるよ。本当に当時症状があったのか分からないからな」


 俺は残業になるのが確定のこの事態に溜息をついた。


 日々に疲れ切った俺らにaの存在はどうしても目をそらすことができなかった。同僚の言う通りaは今症状が寛解している。当時もその状態だった可能性も否めない。それどころか詐病の可能性すらある。鑑定留置にかけてはいるが正義が彼をもとの道にただすのであれば、俺らは有罪判決を勝ち取るしかないのだ。


 彼のメンタルに対する影響も考えて今回の事件では一切本名を公開していない。SNSでは様々な憶測が飛び交っている中、最良の道とは何か。考え続ける必要があった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ