サイドa
この作品は僕の思想が強めに書いてあるので、そこはご容赦願います。
とある青年a(仮名)はどこにでもいるはずの一人のとても誠実な会社員だった。
高校時代から優秀と言われ校内でいい成績も取り、いい大学へ行き、それなりに(大変ではあったが)楽しく過ごしていた。高校生の時から夢を見てきた会社に入ることもできた。箱入りと兄に言われ親も心配そうにしていたが。
「大丈夫だよ!これからが楽しみだ!」
現実は職場での激しい叱責(暴言)と減給の脅し、そして暴力。僕の知っていると思っていた現実の「普通の生活」とはあまりにかけ離れたものであった。
上司に殴られ歯が折れるのも平常運転。三重苦のそろったブラック企業だった。同僚と共に夢を追いかけた先にあった絶望。そして何とかなるという儚い希望で日々の生活を過ごしていた。
思えば、これが僕にとっての最大の過ちだった。僕だけの問題と切り捨てた自分と社会に対する過ちだということを知ろうとしない己の本当の弱さに僕は気付けなかった。
遂には給料も払われず、それが引き金となりある日突然、心と身体がダウンした。
気付いたら病院にいた。親が電話に出ないのを不思議に思い家へ来たら僕の狂い果てた姿を見たのだという。親はすぐに119番通報したよう。僕は病院で手足が縛られていて驚いた。医師に理由を聞くと暴れていて押さえつけるほかに手段がなく、やむなく手足を拘束したとのこと。正気に戻っていることに驚いてはいたが聞けば僕は統合失調症を患ってしまっていたのだという。今はよくてもまた悪化する可能性のことも考えてしばらくは入院することが伝えられた。
幸か不幸か病院に運ぶ際中にケガをしたのは誰もいなかったそう。
僕は治療に専念した。でも症状は再び悪化。幻聴や幻覚が激しく妄想と現実の区別が全く分からないところにまで来てしまった。しかし精神病とは波があるもの繰り返すうちに少し少し良くなっていく、はずだった。
入院して症状の波がまだ強かった頃の数日後、事件は起きた。犯人bが病院に侵入。bは僕を連れ去りマンションの一室に連れ込んだ。夜中の寝静まっているときの犯行だった。bは多くの人が集まる街の中心部へ車で僕を運んだ。bは大量殺人を目論み僕に刃物を持たせ街へ解き放った。そして三人が意識不明の重体となった。それでも幸い死者は出ず、両者ともに警察に捕まった。僕は取り調べ中に再び正気に戻る。僕が知っている現実とは違う本当の現実を聞かされ絶句した。
「僕は……僕は……何てことを…………」
ずっとその言葉を繰り返した。絶対に違う。でも、やったのだろう。この体であれば。納得したくない現実がそこにはあった。
「普通に暮らしたかっただけなのになあ……」
僕の罪とは、何なのだろうか。
向き合うべきものとは一体、何なのかと。
拘置所の中で症状が出てきて叫び叫んで「助けて」と言っても彼の身に届く言葉は拘置所の職員の「落ち着け」の一言だった。
数日後、病院に移送された僕に弁護士がやってきた。国選(弁護士)だろうか。
「まず、貴方は無罪になる可能性が高いです。理由としては犯行時、統合失調症の症状が強く出ており現実と妄想の世界を切り分けて考えることができなかった可能性が極めて高いからです。その為、心神喪失で無罪になる可能性が極めて高いです。」
「え…………」
言葉を失った。無罪。その言葉が独り歩きした。一つ目によぎったのは前科がつかないことである。そして二つ目は、刑罰によって償うことはないのだという。
「心神喪失でなくても心神耗弱は確実に認定されます。ですから貴方は実刑判決が出たとしても執行猶予は確実につきます。ですからその間は心身の不調と闘うのがあなたなりのこれから償いです。確かに被害者はいます。でもbが居なければそんなことは起こりえなかった。だから、自分を責めすぎてこれ以上、心を病まないようにしてください。」
この後の言葉が僕の耳に入ってこなかった。
僕は、彼らにどう社会に出ながらその罪を償うのか。その事しか考えることができなくなっていた。
その後僕は起訴され、証言台で俯く中で自分と向き合った。
判決内容、〇〇地裁では心神喪失により無罪。
検察の控訴後、〇〇高裁判決では心神耗弱で執行猶予付きの実刑判決。
検察の上告により、最高裁の判断は原判決破棄で珍しく破棄移送により裁判所が変更される。
別の××高裁は懲役八年の執行猶予なしの実刑判決が出る。
その後弁護側は即時上告し、二度目の最高裁が破棄自判で無罪を出し確定。
無罪判決までに五年かかる長期裁判となった。
病院側は管理責任を取り自己的に賠償を行った。
完結までは必ず投稿しきるのでどうか長い目で見守ってください。見てくれるだけでうれしいです。来週も楽しみに待っててください!




