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3ページ  作者: 紗渚
3/5

Ⅲ.変化

【3】










…次の日




今日は金曜日

週末で明日は休み


部活に入っていない私は

いつも学校が終われば

直行で家に帰る


そして、気が済むまで

ゴロゴロする


ただ、それまでの

時間が憂鬱だった


週末の疲労からの眠気

嫌いな教科は

半分以上


憂鬱以外の

何物でもない


それも今日でおさらばだ


なんてったって…




「そういや、今日から選択授業はいるねぇ」



「そうだね」



「凪沙サン、授業何?」



「数字」



「へぇー頭いいんだねぇ、俺は体育ー!」




淡々と会話をしているけど

今、私の中はお祭り騒ぎな状態な訳で…


そう、今日から

金曜日の6時間目に

選択授業がある


好きな科目を

好きなだけできるんだ


今から

それさえ思えば


疲れなんて目じゃないし

嫌いな教科なんて

どうにでもなる


とにかく

楽しみで、楽しみで

しょうがなかったんだ




「そんなに、楽しみ?」



「え、そ、そんなこと、ないけど」



「凪沙サンってある意味、正直だよね」



「…………」




顔にですぎた、みたいだ




=========

…六校時前

…休み時間




「はやくいこー」


「教室どこだっけぇ?」




それぞれ、各々のクラスに移動を始める

ほとんどの人が、誰かと一緒に教室へ向かう


笑顔を交わしながら

仲良さそうに、




「じゃぁ、凪沙サン!!俺も行ってくんね!!」




そう言って

和波くんは廊下に出ていく


遠くから

「慶人ー、早くしろよー」

と聞こえてきた


きっと違うクラスの

友達だろう




(…なんか)




私の知ってる和波くんなのに、なんだか

なんだか違和感を感じた




(あ、そっか)




今まで何でもないように

私の近くにいた和波くん

だけど、本当だったら

そんな事ありえない訳で、


それを突き付けられた

そんな感覚




(…ん?これじゃまるで私が寂しいみたい…)




そんなことありえない

頭を左右に軽く振った




(私が、自分自身で、決めたんじゃない)




1人であること

その方が楽だから


面倒じゃないから




(そう、だ…)




なんとなく

憂鬱がのし掛かる


こんなもの

背負う予定はなかった




「…行こっと…」




筆箱と大学ノートを手に

席から立ち上がった


時間に余裕はあったけれど


私は、何かを

打ち消すかのように

少し走って教室へ向かった




=========

…学習室





「はい、という訳で選択、数字を担当する越後です。じゃぁ早速問題集配るぞ」




教室に入ると

私を入れて5人だけ


男子2人と女子2人

私の席は真ん中の一番前


先生の前




(ま、別に越後先生ならいっか…)




先生とは家が近所で

小さい頃からの付き合い

目が合えば軽く笑う




「さ、てと全員もらったかぁ?…よし、じゃぁ」



「「「?」」」



「人数も少ないし、自己紹介やるかっ!」



「うぇ!」




あ、今のは隣の子だ

たしか、五組の…?




「今、うぇ。って言ったお前からな?」



「Σまじで?」




その子は立ち上がり

自己紹介を始めた




「五組の前田(マエダ)裕子(ヒロコ)です!よろしくね!」




素直に可愛い子だ

身長は160位だろうか…


ショートカットが似合う

笑顔の眩しい子だった




「はい、つぎー」



「一組の三宅(ミヤケ)小百合(サユリ)です。よろしくお願いします」




次はロングヘアの

黒髪眼鏡だ…


いかにも清楚…

なんて、言うか




「なんか、THEお嬢様だなぁ…」




私の気持ちを隣の男子が

代弁してくれた


その男子が立ち上がった




「さて、俺の番だな。四組の松岡(マツオカ)駿(シュン)です。」




彼はたしか…

時期生徒会長だとか噂の


四組を覗くと

いつも松岡くんの周りには

男女関わらず人が集まっていた




「そして、」




松岡くんは自分の前で気持ちよさそうに眠る

男子の頭をたたいた

顔がよく見えない




「こいつは俺とおんなじクラスの渡辺(ワタナベ)秋羅(アキラ)ですー」



「んー…?」




渡辺と呼ばれた男子は

眠そうに頭を上げた


その顔を見た瞬間


時が、とまった気がした



(…あ)



数秒たつと

相手も驚いた様子で、

「秋羅?どした?」

という声が聞こえてきた


おたがい目をそらして

下を向いていた



すると目の前から




「凪?次お前だぞ」



「へ?あ、はい」




私は慌てて自分の自己紹介をはじめた

何故か無駄に緊張している


何を話したか

全く覚えていない




=========




「はい、じゃぁおわり。教室かえれー」




いつの間にか

授業はおわっていた


今日はなんだか集中できなかったと

ため息をつきながら机の上を片付け、

立ち上がろうとした瞬間


目の前に影ができた




「………?」




そっと顔をあげると

そこには渡辺がいた




「あのさぁ…もしかして…凪ちゃん?」



「え…」



「あ、間違ってた?ごめん知り合いと名前が同じで」



「6年3組…?」



「…やっぱり」




彼は小6の時のクラスメイトだった

ただ、それだけで

あんな風に見つめあった

あの瞬間は何だったんだろう?




「やっぱ凪だったんだ…これからよろしく」



「あ、うん…」



「じゃ、」




そう言って

小さく笑った彼に


トクンとひとつ


胸がなった

気がした




=========


「凪沙サンおかえりー」


「あぁ…。」


「…なんか、あった?」


「え、なんでよ…」


「なんか」







.











.






「嬉しそうな顔だから」















.













.










【next】

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