第4話「釣り大会は学園祭!学園フィッシング王決定戦!」前編※学園祭、文化部は焼き菓子。釣り部はガチ勝負。
異世界の名門校、ルミナリア王立学院。
王族から貴族、果ては財閥令嬢に伝説の傭兵の娘まで、やたら濃いメンツが集うこの学園において、
年に一度の祭典──学園祭が目前に迫っていた。
「今年は“自由企画制”らしいですよ、お嬢様。何をなさいます?」
「ふむ……」
金髪碧眼、優雅な令嬢セレナ・フォン・グランディエール(※中身は釣りジャンキーおじさん・43歳)は、
窓から見える中庭の池を見つめながらつぶやいた。
「釣りだな」
「やっぱりですね!!!」
◆文化祭の異常な提案書
【第24案:学園公式釣り大会の開催について】
名称:「第一回 学園フィッシング王 決定戦」
会場:中庭の特設池(※すでに前年度より個人設置済)
ルール:制限時間内に釣った魚の“総重量”で勝負。
優勝者には「超豪華!金の魚グリルセット」が贈られる。
なお、釣果は屋台で“その場調理”し、学園に利益をもたらす。
生徒会長、書類を持ったままフリーズ。
「……これは企画か?もはや“事業計画”では??」
◆学園公認!フィッシング部、爆誕
その年、文化祭に合わせて突如誕生したのが、
**「王立釣技研究会(通称:釣り部)」**であった。
部長:セレナ・F・グランディエール
副部長:カイ・ヴェルナート(家庭教師→転任)
顧問:王妃の刺客(※公式)
「ではいきましょう。“戦”の時間だ」
「お嬢様、なんで竿が“二刀流”なんですか!?」
◆そして伝説の釣りバトルが始まる
当日、会場は異様な熱気に包まれていた。
学園の中庭に設置された巨大池。
その周囲には、特設屋台・実況ブース・応援席、さらには王族専用観覧席まで完備。
「……この文化祭、なんか間違ってない……?」
「ていうか“釣り”に全力かけすぎじゃね!?」
「でも美味いからOK」
すでに屋台では【焼き魚ステーキ】【異世界アユの握り寿司】【骨せんべい】などが大行列。
一方で、選手たちはスタンバイ。
◆出場選手紹介!(一部抜粋)
セレナ・F・グランディエール
釣り部部長。2週間前から池に“魚のクセ”を覚えさせているという策略家。
持ち竿は“手作りの二段式ギミックロッド”。
バルク・ドレンガー
筋肉信奉者。釣り糸を“力で引きちぎる”スタイル。魚もたぶん怖がっている。
ラフィール王子
貴族の中の貴族。釣り竿は“精霊木製”、リールは“魔導式”、エサは“手摘みのスイートローズミミズ”。
アメリア・カラリス
錬金術師系ヒロイン。自作の“浮遊する釣り球”で魚を自在に誘導。
※たまに池ごと爆発する。
◆ルール説明
「それでは開始です!!」
学園祭MCが魔法拡声器で叫ぶ。
「制限時間は30分、最大釣果重量を競います!!
なお、今年より学園条項により――
※“生き餌の会話は禁止”です※」
観客「去年、魚と交渉してた人いたもんな……」
◆開戦ッ!
「釣れたァァァァァ!!」
「逃がすかーーッ!!筋肉で寄せる!!!」
「ほら見て王子、あの魚こっちのエサを見てるわ!ふふふふふ!」
「ちょっと!?爆発してる爆発してる!!そっちは池じゃなくて食堂!!」
──カオスと混乱の釣り戦争が始まった。
セレナは、冷静に一投。
「……今だ。棚、3.4。魚影、2匹。仕掛け、沈み切った。行くぞ」
パシャッ!
瞬間、ダブルヒット。
「……乗った」
観客「な、なんだあの美少女……!」
実況「おおっと!ダブルで釣り上げた!これはまさか、“二竿連続合わせ”!?
釣り界では禁断とされていた戦術!!」
カイ「すごい……もう釣りじゃなくて、“美の暴力”だ……」
【つづく・後編へ】