6.基本的な講習での受難
翌日、服装は動きやすいものになっていた。この服なら護身術の実技もでしょう。
座学は昨日勉強したところを寝る前にキチンと復習しました。
護身術ということで、辺境伯邸内の屋内武闘場のような場所で護身術を習う事にしました。
「今日から、キャシー様の護身術の指導をするアメルだよ」
「女将さん!!その節は大変お世話になりました!!ご恩を返さないとなぁと思っていたのですが、なにぶん私自身は現金など持っていないので、お礼もできないのです」
私はちょっと俯いてしまった。現金などをもっていないのは事実だし。どうお礼をしたらいいものか考えていました。
「よしとくれよ。私の上司のオクサンだろ?お礼なんて水臭い。そんなものを望んでないよ。あ、それよりも護身術の授業だね」
私は運動神経が良かったようで、アメルさんに「飲み込みが早い」と褒められました。褒められ慣れてないので正直に嬉しい。体力は一人で実家の家事一般をしていたようなものなので、かなりあります。
「キャシー様、私が疲れたよ。今日はここまでにしよう。次回は来週にしようか?これでもあの宿屋も経営しないといけないからね」
そうでした。本業が疎かになってしまうところでした。
「ああそうですよね。宿屋だってちゃんとしていないと、私みたいなのが来るかもしれませんし?」
「なかなか無一文ってのはいないけどね(笑)」
アメルに笑われてしまった。
家族が無一文で放り出すからそんなことになったんです!
翌日には馬術を教えてもらえるという事で、馬術に適しているパンツルックになった。
なんだか恥ずかしいです。
「お、来たか。今日から馬術の教官になるレイリー=リチャードソンだ。俺の相棒はリック。おいおい、俺よりもキャシーに会って嬉しそうだな?」
リックが私からの人参を喜んで食べている。喜んでくれてよかった。
レイリー様⁈
レイリー様に私の姿見られてる⁈ パンツルック、体にピチピチしてない?恥ずかしい~!
「キャシーは何を着ても可愛いなぁ。リックも大喜びだ」
リックは男の子でしたね……。
私のお馬は……。
「キャシー様!侍女、及び邸の者達で厳選した馬がこちらになります!」
その馬ちゃんは……いえ馬さん、馬様?は白馬で、毛並み、筋肉具合もバッチリです!
「女の子でしょうか?」
「はい、牝馬です。丁度先日、馬の品評会みたいなものがありまして、そこで出会った牝馬です!」
厩舎にいた子じゃないの~!
品評会で出会った、ってお高い馬様では?
この子、プライド高そうだけど、仲良くなれるかしら?
「えーと、名前はどうしようかしら?ティナは?」
私の手から人参を食べてくれたから、「まぁ、それで良くってよ?」って感じでしょうか?
こうして、レイリー様とリック、私とティナの馬術の練習が始まった。
私の予想なんだけど―――リックはティナが気になるみたい。リックは黒毛で逞しい!って感じだし、私は馬同士でいいと思うんだけどなぁ。ティナが…レイリー様の事が好きみたいなのよね。私をライバル視してくるので困るわ。仲良くしたいんだけどなぁ。
馬ちゃんとの相性も問題なんですね。あ、馬ちゃんではなくお馬様?