19.結婚記念日は独立記念日
街につくとなんだか険悪な雰囲気。どうしたんだろう?
「アメル!何かあったのか?」
「何かじゃないよ!国王が突然辺境にやって来たのさ。国王軍をつれて」
宣戦布告みたいな?
「それと、キャシーちゃんの姉妹の3人もまた辺境に来たんだよ。国王の差し金?」
「俺は全く知らん。キャシーは?」
「全く知りませんよ。姉妹に関しましては、できるなら縁を切りたいくらいです!」
―――まったく、皆様羽を伸ばして楽しく宴という雰囲気をぶち壊しです。
「仕方ない。国王軍を返り討ちにしろ」
宴のはずだったのに、戦場です。
護身術をマスターしていてよかった。
見た目はドレスですが、非常に動きやすくできているので、かなり無理がききます。
A・B・D「何?戦闘?嫌~」
それじゃあ来るな!
A「そうだ。キャシー、私達を守りなさいよ」
「何度言えばわかるのですか?私はもう辺境伯夫人です。貴女方の指示に従ういわれはありません」
B「キャシーのくせに生意気なのよ!」
と、私を攻撃してきますが、この3人が習った護身術よりも私がマスターした護身術の方がレベルが高かったようで、3人でかかってこられても相手になりませんでした。
そもそも、『キャシーのくせに』とはなんでしょう?
レイリー様はいい加減面倒になったのかなぁ?
「おい、ジョーシィク王国国王!こうまで辺境を毎度毎度攻撃してくるのはこっちが迷惑だ。これからは辺境が独立することにする。それでいいだろ?他国がジョーシィク王国に手を出そうと辺境のここは違う国だからな。手助けなどしない。それでいいだろ?」
今までが辺境を馬鹿にし過ぎなのよね。
どこの土地が国防の要だと思ってるのよ。辺境よ?それを蔑ろにして、王都に行くたびに命を狙うなんておかしいんじゃない?愚王として歴史に名を刻みなさいよ。恥ずかしいなぁ、もうっ。
そういうわけで、もう手助けなんかしない。辺境は魔族と仲良くしていることも公表した上で独立を宣言した。
「今までが大人しくし過ぎてたんだよなぁ。とっとと独立しちゃえばよかったんだ」
レイリー様は肩の荷が降りた~といった感じでサッパリとしていた。
「国の名前とかどうするんですか?」
レイリー様が国王??
「今までの生活と変わらない生活をしていけたらなぁと思う。俺はただの一領主だよ」
一領主が国王??
「独立したからには名前が……」
「ヴェナスでいいだろ?この国が王国になるか帝国になるかはわからん!」
「では、ヴェナス国で独立という事でいいですね!」
元の国もヴェナスが魔族と繋がっていると知ってからは、大人しくなったし実家からは全く何も言ってこない。これ重要。
実家と完全に縁が切れたかなぁ?切れてるといいなぁ?
本当にレイリー様が辺境で守っていたからジョーシィク王国が無事だったというのに、独立してからというもの、国境の警備がヨワヨワになって、じわじわと侵攻されジョーシィク王国は今や虫の息という話を風の噂で聞いた。
レイリー様がガッチリとガードしているヴェナスはどこの国の侵攻にも耐え、というより魔族からの報復を恐れてあまり侵攻してくる国はない。
ヴェナスは今日も平穏無事。
レイリー様とキャシーちゃん、よかったね。




