18.やっと挙式
3人には辺境での生活の厳しさを身に染みてわかってもらう必要があったので、帰りは自力で邸から街まで徒歩で移動をしていただき(馬ちゃんに嫌われてるから)、その後の馬車の手配なんかもじぶんでしてもらいました。
王都で存分に『辺境は生活するのに向いていない』と広めてほしい。
「やっと肩の荷が下りた感じです」
「キャシーはそうだろうね。ところで、いい加減俺ら、挙式しないか?」
きょ、きょ…、きょ…きょしき……挙式。
すっかり忘れていました。
私は辺境伯様の所に嫁いできたんでしたね。
「俺はキャシーのウェディングドレス姿が見たい‼」
レイリー様のタキシード姿も素敵だと思うのですが?
ここは辺境……挙式をする余裕あるのかな?
「ここのところの騒ぎも一段落した事だし、丁度いいかなぁ?と思ってさ」
「式の最中に騒ぎが起きたりしないですか?辺境ならあり得そう」
「警備は耳とか目が利くもの、あと空を飛べるものに担当してもらおうかと思う」
「その人たちだって参列したいんじゃないんですか?」
「参列するのは俺らにエマ・アメルと護衛数人にしようか。護衛に立候補するのはくじで公平性を保って選ぼう」
「ナーヴァもリドルも含めないのですか?」
「彼らは邸の警備に当たってもらいたい。邸そのものをぶち壊そうとする不届き者もいたりするからな」
なるほど。
国王は呼ばない。事後報告で。
あれよあれよと準備が進み、挙式当日となった。
当然(?)耳と目が利く者と空を飛べる者は自分の能力を呪った。「先祖が……」などと言うので、「そんなことを言ったら、罰が当たりますよ?」と言ってみた。
便利な能力だし、空を飛べるって羨ましいのに……。
新婦の控室、準備にはナーヴァも参加した。
「キャシー様のお支度をできるとは感無量です。ナーヴァ、レイリー様の控室の方も見てきます!」
エマに「キャシー様は本当にお美しいです。本日の良き日を迎えられたことをお喜び申し上げます」
と、非常に丁寧に挨拶された。
***
新郎の控室には純白のタキシードに身を包むレイリー様の姿があった。
「ナーヴァよ、リドルが老骨に鞭うってレイリー様を着飾ったのだが、どうだ?」
「ふんっ、私が支度をしたキャシー様の美しさに比べたら……」
二人して、感無量で泣いてしまった。
「あー、二人にはこの後も辺境を支えてもらうのだからしっかり頼んだぞ!まずは式の途中での邸の警備だ」
「「かしこまりました!」」
***
挙式は邸の中で行い、その後の宴を辺境の街に出て皆で楽しく祝うという予定。
邸での挙式は恙なく行われた。
レイリー様は流石と言うかなんというか、すっごく素敵でした。
ついつい見惚れていると、レイリー様が私の方を見て
「キャシーも今日は一段とキレイだ。このあと街の皆に会わせるのがもったいないなぁ」
などと戯言を…。
「街の皆様にも祝っていただきたいので、街にも行きたいです!」
と押し切った。レイリー様は何かブツブツ言ってたけど……。
私はティナに乗り、レイリー様はリックに乗り、それぞれ街へと行くことにした。
こういう場合、馬に二人乗りとかするんじゃないのかなぁ?とか思いますが、そこは辺境ルールです。
乗馬…練習していてよかった。
ティナとリックも仲良くなってよかった。
馬ちゃん同士も仲良くなったみたいで、良き良き。




