17.3姉妹にトドメをさそう
そんなに不満なら早く帰ってほしい。
『辺境伯夫人』という肩書きは彼女たちにとってそんなにいいのだろうか?
ちがうな、レイリー様が思ってたよりもずーーーっと美丈夫だったのが大きいんだろうな。
肩書きは縁談がうちに来た時点でわかっているものだもんね。
―――手のひら返しがすごいけど。
「レイリー様、レイリー様が彼女たちにとって非常に魅力的みたいです」
「俺は辺境から出ないから、彼女たちが思っているような事にはならないぞ?彼女たち、男を自分たちのアクセサリー扱いか?」
「―――面目ないです」
直接は言えないけど、自分の姿は鏡で見たの?と思う。
レイリー様は確かに格好いいけど、私の姉妹は?釣り合ってるとは正直思えない。
姉妹…レイリー様を茶会とか夜会に連れまわして「いいでしょ?私の婚約者よ?」ってやりたいんでしょうけど、レイリー様は辺境から王都の方には絶対に行かないから(国王に殺される)、理想通りにはいかないわよ?
「私から言っても説得力がないです。かえって「あんたがレイリー様を独占したいからそんなことを言ってるんでしょ?」とか言われそうです」
―――言いそう。
「アメルさんが「レイリー様は辺境から出ない」って言う方が説得力があると思う。昔からの辺境の住人だし」
「よし、アメルに頼もう」
即答。余程さっさと帰ってほしいんだなぁ。辺境の皆様には窮屈な思いをさせているし。
そんなわけで、アメルさんが訓練中に『レイリー様は辺境から決して出ない。出るのは国王に呼ばれた時くらいのもの』と3人に言った。3人の反応がすごかったらしい。
A「え?それじゃあ婚約出来ても夜会で自慢できないじゃない」
B「そうね。しかも訓練とかきついし」
D「なんのためにここに来たの?」
ドリスの何のためにここに来たかという疑問なんか、どうにかレイリー様とラブラブになって婚約者として王都に帰るためでしょ?
王都ではあらゆる茶会、夜会に連れまわして自慢しまくり。
―――というのが答えだと私は思う。
レイリー様と婚約者になっても仕方ないとわかると、訓練が嫌だったんだろうか?そうだろうなぁ。帰ろうと駄々っ子のよう。
A「街までの道、馬にも乗れないんだから、騎士団から力自慢を3人調達してちょうだい!」
B「私達の体に触れることを許可するから、さっさと邸から街まで連れてってよ」
D「街には馬車を用意してちょうだい!キャシー」
「ドリス、悪いわね。私は辺境伯夫人よ。どうしてたかが貴女の指示に従わなきゃならないの?馬車くらい自分で手配してくださいな」
A・B・D「「「…っ」」」
最後に衝撃を与えさせてもらうわ。レイリー様には辺境伯夫人を名乗る許可貰ってるの。まだ正式には‘夫人’じゃないんだけど、3人はそんなこと知らないわよね。
力づくで追い出します。力技じゃないかな?彼女たちの思惑とは違うんだぞ~と骨身に染みさせて帰らせた。やれやれです。ホッと一息できますね。…多分。




