16.3姉妹を追い出そう!
今日からあの3姉妹は午前中は護身術。午後からは乗馬というスケジュールとなった。
A「ハード過ぎない?」
B・D「「そうよそうよ」」
―――私は普通にこなしてた。
アメルさんには「朝起きるのが遅い」と言われ、馬ちゃんには嫌われ、あの3姉妹はボロボロの状態で邸に戻る事となった。
「あの姉妹、まだいるのか?」
レイリー様が言う。それもそうだ。辺境の皆様、魔族の証を隠した面倒な生活を強いられているのだから。
「まだねばってますよ。もう少しで荷物から替えの衣服が無くなるので帰るのでは?と思っています」
まさか、私の服を貸せとか言わないと思うけど…。
「護身術はアメルさんが相手なので、愚痴を言って憂さ晴らしみたいなことをしていますけど、乗馬の練習は…馬ちゃんに嫌われてますからねぇ」
「馬は敏感にいい人か嫌な人かを感じ取っているんだろう?馬は文句を言っても仕方ないからな。逆効果だろ?」
「はい、逆に馬ちゃんに蹴られたり、乗せてもらえなかったりしています」
そんなんでよく辺境に嫁いで来ようと思うもんだと私は思う。
A「ちょっとキャシー、茶会とか夜会とかないわけ?」
「辺境の地ではいつ国境を越えて隣国が攻めてくるかわからないので、そんなことはしてられません。私達は夜、眠れていますが辺境騎士団では交替で夜間に国境を見回っているのですよ。有難いですね」
B「そんなことはいいのよ。茶会とか夜会とかそういうのよ!」
だからそういうのはないと言ったでしょう?理由と共に。
「へぇ、そんなこと…。ではこれから3日間交替で夜間の見回りに参加してもらおうか?そんなことだろう?」
「「「レイリー様!」」」
ご愁傷様。せっかく会えたのにタイミング悪かったわね…。
「国境の見回りなどの重要なことを貴殿たちのような素人に任せられないな。この邸の尖塔からこの邸に何者かが近づかないかを見守ってもらおうか?」
A・B・D「「「その3日間は護身術も乗馬も訓練はお休みですよね!」」」
「ふざけてるのか?当然続ける」
―――うわーっ、きっつー。絶対眠い。
その日はアリスが邸の尖塔から見回りをしていた。当然、一人ではない。
A「この私と共に出来るんだから有難く思いなさい?」
ちっともありがたくなかった。
見守るスペースは狭い。
A「何よ?いくら私が美しくても手を出さないでくれる?あくまでも次期辺境伯夫人よ?ホホホ」
「それはキャシー様では?」
A「キャシーなわけないでしょう?私の方がこんなに美しいんだから!」
その日の担当曰く、「香水臭かった。途中で寝るから邪魔くさかったし」。
翌日のベティ、翌々日のドリスもアリスとほぼ同じように動いていた。
見守り中に睡眠をとっているので、訓練中眠気を見せなかった。
しかしながら、アメルさんもそれを褒めることもせず、淡々と訓練を続けた。
自分的には「すごいでしょ?褒めてもいいのよ?」という事案だったので、全く褒められなかった不満が私に当てられた。
香水臭いのは嫌だ。馬ちゃんたちの気持がわかる~!




