14.ホワイト家の理不尽要求
A「レイリー様。街から邸までの道を整備した方がいいと思うの」
「なぜ?」
B「馬車が通れないんじゃ不便でしょう?」
「馬に乗れるから不便さを感じたことはない。辺境で暮すものは皆乗馬くらいできる。乗馬もできないのか?」
D「そのようなことはありませんが―――馬車の方が楽でしょう?」
「楽かどうかは生活の指標ではない。ここでは生き抜く能力があるかどうかだ。よって、乗馬くらい基礎的なことだ」
そうだったんだ。私にはそんなこと言わなかったのに―――。
「アリスもベティもドリスもここで生活するつもりなのか?」
A・B・D「「「もちろん」」」
(迷惑だな)
「では、明日は護身術を身につけてもらう。あぁ、当然家事もするように」
私は家事してないなぁ。レイリー様、さっさとアリス達に出てってもらいたいのね。私もだけど。
「では、客室までご案内いたします」
A「待ちなさいよ。私はレイリー様の隣の部屋でしょう?」
B「それは私です」
D「私!」
見苦しいなぁ。
「レイリー様の指示です。従わないのならどうぞ、野宿でもしてください」
A「仕方ないわね、客室で我慢するわよ。で、レイリー様のお部屋はどこなの?」
B・D「あ、私も知りたーい!」
この人達、夜這いでもする気ですか?恥じらいもないのでしょうか?
「まずは客室へ案内いたします」
客室まで行く間の廊下でも煩かった。
B「この絵画って誰が描いたもの?」
A「辺境伯邸だもの。高名な方でしょう?」
街の絵かきさんなんだよね、それ。
D「花とかも飾ってあって素敵~」
貴方達は使用人にあたるから、『花を飾る』ような使用人はいないのでしょう?邸も荒れ放題だもんね。
A「ねー、まだなの?ま、それだけこのお邸が広いって事よねぇ」
手のひらを返したようにレイリー様狙い?無理だけど?
「こちらがお客様が本日よりお使いになる客室となります」
B「三人一部屋?ケチ臭い」
貴方達はケチでしょう?
「はいそうです。レイリー様よりの通達です。それでは失礼します」
A・B・D「ちょーっと待ったー!!約束通りレイリー様お部屋がどこなのか教えてもらうよ?」
―――約束なんかしてないけど?
「この邸で一番いいお部屋ですよ」
A「場所を教えなさいよ」
「明日は護身術を習うんですよね?動きやすい格好をしてください。明日の事を考え早めの睡眠をお勧めします」
アメルも胃が痛くなるでしょうね。こんなのの相手をするんだから。
翌日、朝食の席に現れたホワイト姉妹(キャシーを除く)。
「今日は護身術の授業があるから動きやすい格好と言ったのに、どうしてそのような格好を?」
姉妹は『これから夜会に行きます』というような格好で食堂に現れた。
「こちらは護身術を教えてくれるアメルさんよ」
A「まさか平民?」
B「まさかー(笑)?」
D「ありえなくない?」
「私は平民だが、問題でもあるのかい?お嬢さん方」
すごく面倒そう…。私は相手をしたくない。