10.実家の現状
色々ありましたが、王都に着きました。
途中、賊(おそらく、国に雇われた)に襲われたり、正規軍に襲われたり、罠が仕掛けられていたり……
よく無事にたどり着けたなぁ。
王都に着いて驚いたのは、私の実家の荒みようでした。
見た感じ、本当に人が住んでるの?って感じだったので、思わず近所の方に聞いて回ってしまいました。―――住んでいるらしい。ただ、洗濯をしている様子も窺えず、衛生的にどうなのかは不明らしい。一度着たものは着ないという究極のお金持ち生活をしているのかもしれませんが、そんなお金は実家にありません。
「これが実家なんて恥ずかしい!見ないで、レイリー様~‼」
「うむ、報告書通りだね。キャシーが家の事をほとんどしてたんだろう?それがいなくなったらこうなったってだけだよ、大したことじゃない。報告書通り。さて、王城に行こうか?」
「そうですね」
「キャシー?キャシーなの?ちょっと、キャシーが帰ってきてるわよ!」
「キャシー!あんたが草刈りをしないせいで庭が荒れ放題じゃないの!」
それは庭師の仕事。
「キャシー!洗濯ものが溜まってるよ」
使用人は何をしているの?
「キャシー!風呂掃除はどうしたの?あら、そちらの貴族様は?」
「申し遅れました。私、キャシーの夫で辺境伯のレイリー=リチャードソン=ヴェナスと申します。キャシーは実家と言いましたが、本当ですか?まるでキャシーを万能に使える使用人のように扱っているように見えました。「おかえりなさい」の一言もないんですね?」
「「「え?辺境伯……」」」
「呪われるんじゃなかったの?」
「全体的に美丈夫じゃない。キャシーにはもったいない」
「そうよね」
「あー、キャシーの実家の事については報告書でよく知っています。今更婚約者を変えようとか画策しないで下さいね」
レイリー様、笑顔が怖いデス。なんならこのまま実家を更地にしそうなくらい怖いデス。
「キャシー、もう用はないから王城に行こうか?」
「そうですね!」
私は実家の人間に見せつけるようにレイリー様と腕を組んで王城へと向かった。
「あの人たちに家事能力はないのですか?」
「―――大抵の貴族の令嬢はないと思うよ…」
「酷すぎですよねー。使用人からの支持が皆無?」
「それ系じゃないかなぁ?邸は使用人に主人が慕われていないと保たれないからね。余程嫌われてるんだね」
私がやってた頃も暴力的だったから、そのノリで使用人に当たったら、どんどん辞めてくだろうなぁ。
荒れ放題の実家の惨状。まだキャシーちゃんにやらせようとする根性がスゴイ!嫁に出したのに…。