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勘違い











「……つまりアンタは勇者じゃなくて、どこにでもいる普通の人間……てこと?」



「そうだと思う」



あの後30分ほどしてやっと俺の話を聞いてくれた少年は、つまらなそうにそう返事した。



「はぁ〜なんだよ、勇者だったら第一発見者として国から凄え報酬もらえたのに……言われてみれば、よくみたら俺と同じ年くらいのガキじゃねーか……はぁ〜…つまんね」



中々腹は黒いらしい。



「俺だって意味わかんねーよ。気づいたらこんなところにいていきなり勇者呼ばわりされて……大体勇者とかお前頭「待て」大丈夫…なんだよ」



「アンタ……そういえばどうやってこの森んなか入ってきた?まさか本当にパラシュートで来たとかじゃないよな?」






どうやって………



どうやって…?



「俺、どうやってここに来たの?」



「質問に質問で返すなよ…」



あれ?そういや俺なんでこんなとこいんだっけ?


朝カレー喰って…

高校に向かおうとして…

横断歩道を渡る時トラックに轢かれて……



ん?



本当は優はこの後突然現れた穴によって傷一つ負わず助かるのだが、優は何故かそのことが記憶から消えていた



「はぁ…とりあえずアンタ家どこだ?わかるところまで「あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」



実際はトラックにはかすりもしていない優だが、穴に落ちた記憶が一切無いので



「ア…アンタな…!いきなりわけわかんねえ大声を「死んだ」はぁ!?」



自分が死んだと思い込んでいた



「そうだ………俺……トラックに轢かれて……死んだんだった……」



なぜなら



「てことはここは……天国…!!?」




優は寝ぼけていた。




「え……てことは……お前ら天使…!!?」



「ちげぇわぼけ」



「トウキョウって、人?食べ物?」



自分が死んだと思い込んだ優はしばらく騒いだ後、突然その場でジャンプし始めた。



怪訝な表情で見つめる少年の視線など構いもせずに。



「なん……だと!?足がついてる!?死んでも足って無くならないのかよ!?」



「そうなんじゃない?」



もう対応をするのもめんどくさい少年は適当に優をあしらい、騒ぎが治まったら病院に連れていこうと決心した。



「こんな突然死ぬとか予想外だわ…姉ちゃん…姉ちゃん!!」



突然そう叫び走り出した優を、少年は止めようと叫ぶ。



「おい!この森の中で無闇に走り回るな!!」



「姉ちゃんがいるんだよ!!俺が何も言わずにいきなり死んだら、姉ちゃん寂しくて死んじまう!だから、会って最後の別れだけでもしてくる!!」




【change】



別れって………どうやってするつもりだよ!!



俺はそう思いつつ、段々遠ざかる自称死者の男を追いかける。



「おい!ユーリ!!あいつ止めるぞ!」



コクリと頷くクールビューティ……ユーリを横目で見て、すぐさま視線をあいつに移す。



この森は通称 樹海Lv2―凍森(いもり)―と呼ばれている、危険指定区域。魔物の方から襲ってくることはあまり無い場所だけど、それは静かに移動していた場合。あいつみたいに叫びながら走り回ったら、襲われてもなんら不思議じゃない。



「おい!!待てっつってんだろ!!!」



凍森(2)レベル程度の魔物なら、群れで襲われたって俺だけでも無傷で殲滅できる。



だけどあいつは…武器も何も持ってない上に、見るからに武闘派じゃない。



「姉ちゃんに会いたいなら、俺が会わせてやるから!!」




その上この森には[主]がいる。ぶっちゃけ、[主]なんかに会ったら、俺が10人いても勝てないだろう。



それにユーリだってただじゃ……



だから、そんな最悪な事態になる前に、なんとしてもあいつを……ん?



少年………もとい、カインがそう考えていた時、突然追い掛けている優の動きが止まった。



俺の言葉が聞こえた………わけじゃないよな、こっち見てないし。なんかを見上げてるような…



俺はまた逃げないように一気にあいつに駆け寄った。



「おい!どうし………………」



息が切れた俺はあいつの側まで来ると膝に手をついて呼吸をし、汗一つかいてない男を見上げた瞬間



「あ、なんだきてたの?

つかこのオブジェ凄ぇな。なんか少し動いてるし、超リアル。超コワイ」



絶句した



目の前にいる、カマキリ



だがしかし、体長は普通のカマキリの比でない



体長



10m





「オブジェなんかじゃない………」





最悪だ…………



「え?」







「こいつは凍森の[主]………」



終わった………



「B級魔物…[狂った鎌]だ……」




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