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氷上優VSdog…①




あれ以来、人間を食事として見ることに何の抵抗も感じなくなった…


小さい子供を喰うことも、何度かあった。

もちろんそれを守ろうとする親も…。


冷静に考えれば、おかしなことだとわかる。


自分の守っていた人間が魔物に奪われた俺が、今度は奪う側の存在になっているなんて。


人間を食すにつれ、言葉遣いも流暢になり知識もついつきたから、最低なことをしているとはわかっている。


でも、止められない。


あの日から始まったこの殺戮衝動と空腹感が日に日に強くなっていく。


だから俺は喰っていた…何も考えず、ただdogという俺を恐れて逃げる獲物を捕らえて喰っていた。


なのにこの女は、怖がらずに俺を見た。


俺が[dog]と知りながら、恐れることなく俺を見ている。


…くそッ


なんでアイツの顔が出てくる…!?


「…タヌキチ…」


やめろ…


「…タヌキチ」


やめてくれ


「なんで…」


やめ…



「なんでひとをころしてるの?」


「ァァァァァァァァァアアアアア!!!!」



【change】



「…!!?」


[束縛のアクアルーム]が溶けた…!?


見ると、さっきまでそこにいたシャープファングの姿をしたdogは、真っ赤な液体となりフローリングの床の上にびちゃびちゃと音を立てていた。


これは…さっき猫から魔物になった時と同じ…


擬態する…!!


「お、おいユーリ?今の狼みたいなのは…」


「優!」


「は、はい!」


「今のはdog…さっきの擬態はたまたま私と相性がよかったから捕まえられたけど…次擬態されたら勝ち目はない…逃げよう」

「は?ドッグってあのS級とか言う…よし逃げよう!」


「「逃がさねぇ」」


「!!」


「どこだ…!?声しかしねーぞ!?」


「「そっちの奴…擬態を見るのは、初めてか?」」


この流れは…まずい!


「優…とりあえず走って…」


私はdogのことをあまり知らない優を危険な目に合わせないようにしようと走るように促したけど、もう遅かった…。


「おいおい…狼が虎になったよ…」


目の前にいる魔物はさっきまでのC級魔物じゃない…白い針金のような毛が体中から突き出、鋭い牙と爪を携えた3m余りの虎…。


こんな魔物見たことないけど、あの真っ赤な目を見た途端に動かなくなった体を見た途端、震えが止まらなかった。



怖い…怖い…


呼吸がうまくできない…


「ユーリ!?」


すぐに足が震えすぎて立っていることもできなくなり、冷や汗が止まらなくなっていた。


さっきのカマキリの魔物…ササガネムシャと格が違う…


視線だけで…殺されそう…




意識が薄れて気を失いそうになった時、優が体の崩れた私の側に来て強く手を握ってくれた。


「大丈夫かユーリ!?」


「だ…だい…」


喉も震えちゃって声が出せない…


優にこんな姿見られるなんて…バカ…今はそれどころじゃない…


「おいドッグ!ユーリに何したんだ!!」


駄目優…あの虎の魔物は絶対にS級…それに、その中でもかなり上のクラスに違いない…刺激しないで。


そう言いたいのに、体の震えがそう話させてくれない。


優はこんなに怯えずに頑張ってくれてるってのに…って


…え?怯えずに?


私は見られただけで魂が引きずり出されるのではないかと思うくらいなのに、優は今完全に見つめ合ってる…


「ありえない…」


!?


喋れる!?なんで?


そういえば体の震えも段々収まってきている…


…優に手を握られたから?


私は今だにdogを睨みつける優を見た。


優…あなた一体…?



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