いねぇ
【change】
よう!俺は優!
なんの変哲もない、どこにでもいるちょっと頭の良さげな高校生(仮)さ!
ただ一つ皆と違うところと言えば……
何故か異世界に飛ばされちゃったってことだけかな☆
………………………
な…………
なんでだあああああ!!!!!
俺は高校の入学式から遅刻したらいけないと思って、道を大急ぎで飛ばしていた。
だから周りが見えてなくて、俺はトラックに轢かれた
……ことになる筈だったのに、足元に突然開いた(元からあった?)マンホール大の穴に落ちて、九死に一生を得た。
しかしそこから始まった気が遠くなるほど長い落下の時間。
落ちているというより、エレベーターのように下っているかのような感覚だった。
そしてその長い時間をかけてたどり着いた(着地した)場所がここ、異世界 スクイード。
この世界では、人間は皆魔法という物を使えるらしい。
魔法……それは雄大で、巨大な自然の力を克服するでは無く共存することを選んだスクイード人の祖先が神から与えられたと言われる、もう一つの人間の武器。
スクイード人は、赤、青、銀、緑、黒、白の六つの属性を持つ者に分けられる。
赤……それはあらゆる物を焼き、溶かし、飲み込む炎の属性。
青……それはあらゆる物の動きを凍らせ、敵に自由を許さない水と氷の属性。
銀……それはあらゆる金属を加工し、主に鉄鋼を自らの武器に戦う属性。
緑……それはあらゆる自然の力を借りることができ、自分より格下の魔物を手なずけることのできる唯一の属性。
そして、白と黒………
この能力の説明は、詳しくはしない。
正確に言うと、できないからだ。
ごくまれに赤、青、銀、緑のどの属性にも当て嵌まらないスクイード人がいる。
そのスクイード人の能力はどんなものであろうと、白属性と部類される。
それは、どの色にも染まらない【白】ということを意味する。
では黒属性とは何か
それは『はいはい!長い!!もうおしまい!』
お前ぷー子……俺がせっかくお前に教えられたことを復習してたのに、なんでお前が止めるんだよ…
『うるさいわね!いつまでもこんなところにいると、またさっきのあいつが来るから、早くその二人に街まで連れていってもらいなさい!!』
意味わかんねー…コイツが復習しろって言ったのに…
『なんか言った!?』
あー、意味わかんねーっつったんだよ!ったく…
俺はそう思いながら、いらだちをなんとか抑えた顔を作り、二人のいる方に振り向いた
………が……
「いねぇ……」