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高校生アンチ高校生  作者: 指名打者
2/2

楽観的に楽しめるもん勝ちな世の中

前回の続きです。

軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。

 以前「ひとめぼれ」や「運命の人」について誰かと口論したことがある。

 俺は「ひとめぼれ」は愚か者がすることで、「運命の人」ってのは後天的にそう呼ぶだけであり、「運命を感じたんです!」なんて息巻いている人間はたいてい浅はかな人間である。という意見に対し、「ひとめぼれ」は不可抗力でしてしまうものであり、「運命の人」は存在する。と、彼は言っていた。

 別に俺は「ひとめぼれ」を否定しているわけではない。ただ、付き合った理由や結婚した理由を聞いたときに「ひとめぼれしたんです。」などと言っている人を見ると、愚かな人を見る目で見てしまう。それだけの話だ。

 なぜか、理由は簡単だ。「ひとめぼれした。」という事は、その相手のことをあまり知りもせずに「好きだ。」と解釈したことの証明である。

 ひとめぼれをしたと息巻いている人たちはこれに対して感情論で反論をしてくる。中高齢の政治家かよお前ら。

 論争の余地なんてどこにもない。だが、「運命の人」に関しては多少はあるように思える。

 どのタイミングで「運命」を感じるかは人それぞれ様々な意見があるはずだ。

 付き合ったり結婚をする以前から「運命」を感じるような浅はかなやつもいれば、付き合って一緒に過ごしてから「運命」を感じたり、死が近づいてから出会った人に「運命」を感じる場合もある。

 しかし俺は「運命の人」なんていないと思っている。

 所詮「運命の人」なんてものは、「運命の人」であってほしいという願望でしかない。

 俺は他人に期待をするなんて愚かな真似は二度としないと誓った人間だ。そんな俺が「運命の人」がいると願うなどありえないはなしだ。

 したがって、議論の余地があったかに思えたが、やはり議論の余地はないようだ。


  ×  ×  ×


 7時間目終了後、帰りの学活。

 何事もなく授業を終え、放課後のことを考え昨日のことを思い出し少しうんざりしていると、担任も先生が一枚のプリントを配っていた。

「この度新しく生徒相談室というものを作りました。」

 あー、聞いたことあるなぁ。

「これは生徒の相談に生徒が答えるというもので、白川先生以外の教職員は一切かかわりません。」

 あー、聞いてねぇなぁ。

 「白川先生以外の教職員は関わらない。」とかいったか、マジかよ。ちゃんと説明はしてほしいもんだなあの先生。

 なるほど、少し見えてきたな。よーするに先生方は思い切ったことをしたんだ。

 生徒を導く教職員がその責任を放棄して来たか。これも私立学校が成せる業か。教育委員会にチクってやろうかな。

 まぁ、妥当な策であるとは俺も多少は思う。教師が絡むと何かとめんどくさいことになるから相談するのは避けることが多い。それなら相談相手を生徒にしてしまえば生徒の相談もしやすくなる、はずだ。

 その上教職員は関わらないときた。一部を除いてな。これなら生徒の悩みも分かるぞぉと教職員たちは思っているのだろう。が、しかしそれで相談する人が増えるほど現代の高校生は単純じゃない。

 まぁ別にいい相談する人がいないに越しことなんて俺にはないのだから。


  ×  ×  ×


 放課後、生徒会室横の空き教室で一人で本を読むというのも悪くない。

 初日から客が来るのも考えにくいし、今はこの環境を存分に満喫しておこう。

 相談してくる人なんてめったにいないだろうから、自分専用の空き教室を一つもらったようなものだ。そう考えれば生徒相談役員も悪くはないな。

「失礼するよ。」

 何の前触れもなくノックもせずに白川先生が教室に入ってきた。

「ノックはした方が良いと思いますよ。一応思春期の男子高校生なんで。」

「もし君がそんなことをするような人間ならこの役職は任せてないよ。」

「はぁ、そうですか。」

 いつそんな信頼を得たのかすごく気になるなぁ、人を信頼して良いことなんてそんなにないことぐらいこの先生は理解していそうだが、まぁいい。

「何の用件で来たんですか。」

 なんかさっきの回想でフラグを立ててしまった気がする。ここ最近俺の嫌な予感は結構な確率で当たってしまう。

 まさかね。そんな悩める若者がうちの学校にいるとは思えないが。

「依頼人を連れてきたよ。」

「はやくないすか。」

「何か問題でも?」

「いや、べつに。」

 いたよ。悩める若者。まじでかぁ。

「入りたまえ、では任せたよ。」

 そう言って先生は行ってしまい、入れ違いで一人の女の子が入ってきた。

「っておまえか。」

「あっ、海斗。」

 俺はこの子を知っている。

 同じクラスの女子ですら覚えていない俺がこの学校で知ってる女子なんて限られたものだ。

 彼女は藤沢ゆずき。俺とかかわりを持つ数少ない人間の一人で、クラスメイトだ。

「なんだ、相談役員って海斗だったんだ。」

「なんだってなんだよ。」

 なんでよりによってこいつなんだよ。こーゆーのは知り合いの方が気まずいんだよ。

 なにより、俺はこいつが苦手だ。うるさい、しつこい、気持ち悪い、の三拍子が揃えば満場一致だろう。

 親がらみの付き合いかつ男女であるとは難儀なもので、親に無責任なことを言われては気まずくなってしまうのが常である。

 知り合いと言っても親の知り合いである。俺の知り合いではない。その娘なんてもっと知らない存在なのに「一緒の高校でよかったね。」なんて言われても困るだけだ。

 それなのにこいつは結構俺に絡んでくる。しかも見た目だけは優秀なため他人の視線も集まる。ほんと勘弁してほしい。

「それで、相談内容は?」

「あぁ、えっとね、、」

 藤沢は突然我に返ったような顔をして、歯切れの悪い返答をした。

 なんだこいつ今更照れてるのか、どうでもいいけど早くしてくんねーかな。

「そのー、なんていうの、恋愛相談的な、ものなんだけども、、」

「恥ずかしいなら相談しなくていいぞ。めんどいし。」

「いやーでもせっかく来たし、ここで帰ったら海斗にも悪いかなーなんて、って今めんどいって言った!」

 やべ、つい本音が。

「大丈夫、気のせい、いや、気の迷いだ。」

「隠す気もないじゃん。」

「何か問題でも?」

「ないけどさぁ、」

 以外と冷静に返してくるんだな、もっと頭悪いかと思っていた。なんか悔しいな。

 まぁいい、むしろ好都合まである。

 うちの学校の連中はまともな会話ができないようなやつばかりだから、そんな連中が相談に来たらどうしようかと思っていたわ。

「それでどうするんだ?恋愛相談しに来たんだろ?」

「あーやっぱそれいいや。」

「は?」

「それよりさ、この相談役員って一人でやってるの?」

「今のところ俺一人だが、白川先生に聞かないと何とも言えん。」

 この役員の定員なんて聞いてないし、規定とかルールがあるかもわかんないのが現状だ。あの先生に聞いてちゃんと返答してもらえるとも思えない。

「失礼するよ。」

 まるで狙ったかのようなタイミングで白川先生が入ってきた。

「どうしたんすか。」

「あ、先生ちょうどよかったです。」

「ん、なんだね。」

 あれ、俺無視されてる気がする。

「あ、あの、先生?先に要件をうかがっても?」

「私ここの手伝いとかしてもいいんですか?」

「手伝いというのはどういった手伝いか聞いてもいいかね。」

 無視されてんなー、あの先生タイミング図って入ってきただろ絶対。

「私もこの教室に来た人の相談に乗る、みたいな。」

「別に構わんよ。好きにしたまえ。」

「はぁ!?何言ってんの?」

 いきなりすぎて変な声を出してしまったが、ちょっと待てよ。俺にこの役員を押し付けた時、適役だとか何とか言ってただろ。そんな簡単に好きにしたまえとかいうなよ。本当は誰でもいいんじゃねえのか。

 百歩譲ってそれを良いとしても、こいつはどういう考えをしているんだ。自分からこんな面倒くさい役員の手伝いをしたいだなんて。

「大丈夫、大丈夫、あたし暇だから。」

「そうじゃねえよ、」

「小田原、何か問題でもあるのかね。」

「あるでしょ。そんなあっさり決められたら俺がこの役員やってる重みとか尊厳がなくなりますよ。」

「いつからそんなにやる気があったのかね、あれだけ嫌がっていた君が。そもそも君に尊厳なんてあると思えないが。」

 くそぉ、確かにやる気なんてものはないし、重みなんて感じたこともないし、尊厳なんてないんだよなぁ。

「まぁ最終決定権は私にある。拒否権が君にないことも知っているだろう。」

 相変わらず反論を許してくれないらしい。そこまで理解していながらなぜ俺に任せるのかいまだに疑問だがな。

 いつか君にもわかるとか言っていたが、そういう類のセリフは煩わしいからパパっと教えてほしいもんだ。

 大人になればわかるとうちの親父は説教の時によく言うが、大人じゃないから解らねえんだよなぁ。もし本当に大人になればわかる事なら、今それで説教をするのはいささか理不尽ではないかと思うのだが、大人とはそういうものなのだろう。

 いずれ俺もあんな理不尽なことを言うような大人になっているのだろう。世知辛い世の中だ。

 これで俺の専用教室という利点もなくなってしまったのに加えて藤沢と二人か。嫌だなぁ。

「で、先生は何をしに来たんですか。」

「あ、あぁ、し、進捗を確認しようと思ってな。」

「教職員は一切かかわらないと言っておきながらですか。」

「私は例外だ。」

 やっぱりタイミング図ってんじゃねえか。

「まあいいじゃん。これで一人ぼっちじゃなくなったじゃん。」

「俺は一人が良いんだよ。」

「そんな悲しいこと言うなって、さてはツンデレだな。」

「都合のいい解釈をするな。俺はそんな希少価値の高い存在じゃない。」

 本当のツンデレなんて存在自体も危ぶまれるんだから。存在するのはフィクションの中だけかな。やっぱフィクション最高。

「仲も良さそうだ。じゃあ後は任せたぞ。」

「これが仲良く見えたなら、あんた教師向いてないぜ。」

 それだけ言い残して先生は去って行ってしまった。

 いじめている人たちを見て「仲いいんだな。」とか言うクソ教師じゃあるまいし。

「そう悲観的になるなって、これも運命さ。」

「俺はそんな薄っぺらいもの信じない。」

 こいつ好きそうだなー、そういう類の恋愛話とか。さぞ人生楽しいんだろうなぁ。自分に都合いい人生送ってるんだろうなぁ。

「まぁ許可も下りたことだし、楽しくやってこうよ。どうしようもない状況は楽しんだ方が得だと思うよ。」

「それもそうだな。」

 こんなやつでもまともなことの一つぐらい言えるんだな。初めてこいつが言ったことが正しいと思えた気がする。少し鼻に付くがな。

 それにしても最近は色々なことが重なって起こりすぎて脳の処理が追い付かないな。

 ボッチの長所は思考力だ。こんな状況も打開するような策をパパっと考えねばボッチの名が廃る。

 まぁすぐに飽きてどっか行ってしまうだろう。頭の悪い連中は面白くないという現実が分かれば目を背けようとする。楽しい時間はすぐに過ぎるというのはこれを美化した言葉に過ぎない。

 そんな長続きするとは到底思えないし、しばらくの辛抱だろう。

 アンチ高校生には少し荷が重いな。

 お久しぶりです。指名打者です。

 2話目にしてヒロイン(仮)が登場しましたね。このキャラが果たしてヒロインかどうかは僕にもよくわかりません。書きたい内容からずれないように結構考えながら書いているので、次回はいつになるかはわかりません。文章力もない一般人のつたない小説ですが、ぜひ読んでみてください。

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