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ピボット高校アーカイ部  作者: 大橋むつお
17/32

17『螺子先輩のメンテナンス・2』

ピボット高校アーカイ部     


17『螺子先輩のメンテナンス・2』 





 一石軍太です


 どこから見てもゲルマン民族という感じの先生は、まるでアフレコが入ってるようなきれいな日本語で名乗った。


「あ、はあ……田中鋲です」


「帰化してつけた名前なのでね、もともとはギュンター・アインシュタインと云います。鋲くんは螺子さんの助手なんですね。わたしも、三年前までは父の助手でした。いずれ、ゆっくりお話しできるといいですね」


「は、はい、よろしくお願いします(;'∀')」


 そんなに大柄ではないんだけど、そのままディズニー映画の王子役が務まりそうな姿とアインシュタインという有名すぎる苗字に圧倒されてしまった。


「さっそくメンテナンスにかかりましょう」


 先生は慣れた無造作、でも、けしてぞんざいではないやり方、例えて言うと母親がうつ伏せのまま寝てしまった子供をそうするように、先輩の体を仰向けにした。


 あ(#'∀'#)!?


「すまない、ちょっと無神経だったね」


 先生は、先輩のおへその下をシーツで隠した。


「でも、目を背けないで見ていてください。鋲くんにも必要なことですから……ラウゲンの塗布はよくできていますよ……でも、関節や神経系の摩損がひどいですね。胸骨は寿命です、取り換えましょう。鋲くん、見ていてくださいね」


「は、はい」


 先生が右手の人差し指で、喉元から肋骨の合わせ目のところをなぞると、まるでファスナーを開いたように皮膚が開いて、中身が露わになった。


 血が出るようなことななく、まるで、シリコンかなにかで出来た人体模型を開いているようだ。


 10センチ幅ほど開いたそこには、ネクタイみたいな骨が肋骨の脚を伸ばして収まっている。


「ここはね、全身のエネルギーをコントロールするコンデンサみたいな働きをするんだ。百メートルもジャンプするにも、指先や目蓋を微かに動かす時も、ここで制御されたエネルギーが必要なだけ必要な駆動系に送られる。臨時にバリアーを張る時は、電力換算すると、小さな発電所並のエネルギーが放散されたりしてね、無理をしなければ50年は持つんだけどね、これは、まだ5年しかたっていないのにね……無理をさせてしまったね」


 カシャ


 かそけき音をさせて胸骨が外される。


 外された胸骨は、それまでの骨の質感を失って、腐食したアルミのような白っちゃけた質感に変わってしまった。


 カチッ


 しっかりした音がして新しい胸骨が取り付けられる。


「介添え願います」


「はい」


 イルネさんは、左右に開いた胸を掴んで真ん中の方に寄せ、先生は再び右手の人差し指でなぞって閉じていく。


 フウウウ……


 これで終わったと思って、大きなため息みたいに息が漏れてしまった。


「これからですよ、鋲くん」


「なにをするんですか?」


「焼くんです」


「え、ええ!?」


 寝かされていた台の天板部分だけが先輩を載せたまま浮き上がり、イルネさんが開いた据え付けの窯の中に収まっていく。


「これは精霊窯と言ってね、精霊の力で、霊力を焼き付けるんです。霊力を均一に焼き付けるためには、ラウゲンの丁寧な塗布が必要なんですよ」


「先生、あとは焼くだけですから、もうけっこうですよ」


「すまない、イルネ。明日はドイツに飛ばなきゃならないんで、これで失礼するよ」


「先生も大変ですねぇ」


「ここのところ、世界情勢はダイナミックですからねえ。それでは、鋲くん、またいずれね」


 きれいな笑顔を残して、先生は一階への階段を上がっていき、少ししてドアが開いて閉まる音がした。


「窯も安定してるね……さ、鋲くんには後で螺子ちゃん送ってもらわなきゃならないから、上で休んでて、焼き上がったら知らせるから」


「はい」


 階段を上がると、すでにマスターは店を閉めていて、イートインスペースのところにお茶が用意されていた。


 


☆彡 主な登場人物


田中たなか びょう        ピボット高校一年 アーカイ部

真中まなか 螺子らこ        ピボット高校三年 アーカイブ部部長

中井さん          ピボット高校一年 鋲のクラスメート

田中たなか いさお        鋲の祖父

田中たなか ひろし        鋲の叔父 新聞社勤務

プッペの人たち         マスター  イルネ

一石 軍太           ドイツ名:ギュンター・アインシュタイン 精霊技師 


 

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