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出発

絶叫が洞穴内に響く。

しかし、数秒とかからずに静寂に包まれる。


「が……あ……」


暗い洞窟の中、最後の男の息が絶える。男の亡骸を積み重なった死体の上に乗っける。

あれから10年が経過したが……隠れ家に勝手に入ってくる不法侵入者が多いのが困るところだ。俺としては勝手に入ってこられるのは非常に不愉快だ。何せ、読書の邪魔をされる訳だからな。

洞穴の奥に戻り、積み重ねられた本の上に乗っている黒電話の受話器を手に取る。


『久しぶりじゃのう』

「ああ、今回は久しぶりだな」


親しげな友人と会話をするような声音で俺と邪神は話す。


『10年間の練習期間はどうじゃった』

「ぼちぼちと言ったところか。この世界の事もかなり深く知ることができた」

『黒夜教団は役に立ったかのう?』

「とても役に立ったよ」


少なくとも、衣食住や本を整えてくれたのはあいつらだ。想像してた斜め上に役立ってくれた。


「さて……と。さっさと収納するか」


右手を突き出し、魔法陣を展開すると部屋の中にあった本や最低限の家具、食料が魔法陣の中に吸い込まれる。


『ふむ……そのようだと魔力や魔法の使い方も理解できたようじゃな』

「まあな」


魔法というのは、魔力を消費して超常の力を出現させる技術だ。

基本的には個人で得意とする火、水、風、土、番外と5つの系統があり、その中でも更に細かく分類がされている。

俺は番外という系統の中でも、空間を愛用している。無論、他の系統も使えるし、本来得意としている分類でもないが、生物以外の物質を異空間に自由に出し入れできる【アイテムボックス】は非常に便利だから愛用している。


「それにしても、魔力というのは予想以上に便利な力だな。まぁ、間合いを詰めて斬り殺した方が楽だけど」

『当然じゃ。お主の敏捷性は人族ではなく『ムーンラビット』なのじゃから』

「ま、それは重々承知してるよ」


というか、種族に関しては色々と調べがついているからな。……軽く種族選択をやり直したいと思ってしまったが。


『それにしても……お主、本当に女として死んでおるのう』

「ほっとけ」


それに関しては何の弁明もできない。

10年前からかなり成長はした。身長も170に届くぐらいに伸びた。足も細くすらりと伸びた。バストも大体Fカップくらいにはある。信者から貰った鏡を見た限りだと鼻筋はしっかりしているし、目鼻立ちはしっかりしている。顔も小さく、歯並びも良く、肌も白い。美人と呼べるだろう。

だが、それ以外が壊滅的だということも理解している。

服を洗う手間を省くためにヘソ出しのチューブトップと短パン、武器を隠し持つための黒いコートしか着ていない。白い髪は腰まで伸びてボサボサ、身嗜みも殆ど気にしてない。


『流石にその格好で街に入るんじゃないぞ。面倒な男に絡まれるじゃろうからな』

「ま、それはそうか」


まぁ、流石にこの格好はどう見ても痴女のそれだ。隠すためにも一応の服装は着ておくか。

【アイテムボックス】を展開し、魔法陣の中から黒いローブを取り出して着用する。

ま、これくらいなら変な目で見られる事はあっても変態扱いはされないだろう。


「それじゃ、そろそろ行くか」

『ほう、どこか行く宛でもあるのかのう?』

「なに、自由気ままに面白可笑しく旅をする。それだけでもこの世界を十分に楽しめる。そうとは思わないか?」

『ククッ、その通りじゃのう。では、念じれば儂は出るからの』


そう言って黒電話の姿が消える。何も無くなった洞穴に背を向け、外に出る。

久方ぶりの日の光を浴びながら俺は森の中を歩く。鬱蒼としているが、以前と比べてかなり進みやすくなっている。

黒夜教団を隠れ蓑にしたのが十年前だから、森の中を進みやすくなっていても可笑しくはないか。いやはや、成長を実感できるのは良いことだ。

地面を軽く蹴り、俺は疾走する。クラウチングスタートもしておらず、走り方も素人の走り、しかし俺の身体はアスリートを凌駕する速さで一気に加速する。

全身が風になったかのような高揚感と共に森の中を木々の間を縫うように駆け抜ける。崖があれば飛び越え、邪魔な岩は速度をそのままに蹴り砕いていく。


「がっ!?」


森の中にいた人族を蹴り飛ばし、前に跳躍しながら空中を回転して足の裏を木の幹に合わせる。木の幹を足場に水平に跳び、もう一人の人族の首にラリアットを叩き込む。

ラリアットを食らった男は地面を捲りながら水平に飛び、木に叩きつけられて動かなくなる。

あー……二人とも死んでしまったか。たしか、衝撃の力は速度✕重さだから、それなりの速度の攻撃を叩きつければ簡単に人を殺せる。ま、今回のは事故だけどね。


「う、動くな!」


お?

声がした方を向くと、ナイフをこちらに向けて構えている人族の少年が立っていた。足は震え、刃先も震わせている。

うーん、ナイフの持ち方的には素人か。ま、素人でも情報源としては成り立つか。


「君、仕事は?」

「ひ、人攫いだ。この森の奥にいる兎の獣人を捕まえるつもりだ……!?」


話してくれてどうもありがとう。

自身が話たことに驚愕する少年を見て口角をあげる。少年が瞬きすると同時に少年に肉薄し、ハイキックで少年の手首から先を切り飛ばす。


「ぎっ!?」


体を捻り、逃げようとする少年の足にローキックで蹴りつける。足の骨が砕かれる音と共に、少年は前のめりに地面に倒れる。

さて、と。それじゃあ久々にやるか。

【アイテムボックス】からナイフを取り出し、少年の服からズボンまでを切り裂き生まれたままの姿にする。拷問の邪魔になるからな。


「あ、ああ……」

「それじゃあ、情報を吐いてね少年」


もっと、もっと絶望してから死んでね。

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