表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柿崎零華のコント新作集 Season2  作者: 柿崎零華
10/32

episode10~トーク番組~

episode10「トーク番組」

とある日のことだった。男性司会者は男性プロデューサーと部屋で打ち合わせをしていた。


司会者「つまり、今回のゲストはこの女優さんですか」


プロデューサーは苦い顔をして


プロデューサー「それが、ちょっと訳ありでな」


司会者「訳アリ?」


プロデューサー「実はな。ここだけの話だぞ」


司会者「えぇ」


プロデューサーは司会者に顔を近づけ、小言で


プロデューサー「その女優さん。一言も喋んないらしい」


司会者「は?」


司会者は思わず声を上げた。プロデューサーが慌てながら宥める。


司会者「そんな人、なんでこの番組に呼んだんですか。これトーク番組ですよ」


プロデューサー「いや、それがな。その女優さんからの希望なんだよ」


司会者「なんだそれ」


プロデューサー「もうすぐ来るから。上手く頼んだぞ」


プロデューサーが部屋から出ていく。司会者は終始戸惑っていた。

しばらくして、女性マネージャーに連れられ、女優が入ってきた。


マネージャー「よろしくお願いいたします」


プロデューサー「よろしくお願いいたします。奥野さんもよろしくお願いいたします」


女優は笑顔で会釈をしただけだった。司会者は本当に喋んないんだと思いながら、あいさつをした。その後、すぐに収録がスタートした。

スタッフからの合図があり


司会者「重野雄一のトークインジャパン」


会場が拍手で包まれる。


司会者「さぁ、今回のゲストは奥野絵里さんです。よろしくお願いいたします」


女優がまた会釈だけで、何も喋らない。


司会者「どうして、この番組に出てくれたんですか?」


口だけが動いでおり、何を喋っているか分からなかった。


司会者「そういうことですね。本当にご出演ありがとうございます」


無理に切り上げていったが、このまま1時間も続くと思えば、地獄同然だった。


司会者「それでは、奥野さんの芸能界の交流は一体どういうものかを、調べてきましたよ」


また声を発せずに、口だけが動いていた。明らかにそれはありがとうだった。司会者は苦笑いしかできず


司会者「まずは、こちら」


司会者はパネルのシールを剥がす。そこには今の超人気俳優の道上剛の写真が貼っていて、すると


女優「きゃー。剛ー」


司会者は驚いて、椅子から転がり落ちてしまった。すぐに立ち直し


司会者「好きなんですか?」


女優「めっちゃ好きです。もう結婚したいー」


とてつもない笑顔で言う女優に、プロデューサーらは苦笑いしかできず。カンペに早く仕切れと書いてあり、呆れた司会者は


司会者「続いては、道上剛さんからVTRを頂戴しています」


女優は叫び声をあげた。司会者は耳を塞ぎ、ここからの地獄はもっと広がったと確信していた。


司会者「はぁ帰りてぇ」


女優「剛ー」


~終~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ