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エノコログサ  作者: 創成
7/9

7. 君といてこそ

「そうだ。手紙・・・・」

まだ手紙を開けていなかったことに気づく。

「ペリッ」

ご丁寧に宛名まで書いてある。

「・・・・これは・・」

誰?

全然知らない名前。

とりあえず内容を・・・・


優先輩へ


こんにちは。

1年の相木留美(あいきるみ)です。

名前を言われても誰かは分からないでしょうね。

実は、校内では先輩は実柚ちゃんと一緒にいるので伝えづらいので、

手紙で伝えようと思いました。

確かに、優先輩は実柚ちゃんの事が好きでしょう。

見ていればわかります。

でも、それなら尚の事、知らせなければいけません。


実柚ちゃんは、迷っています。


あなたと付き合う事を。


そして、揺らいでいます。


あなたを選ぶか、音無先輩を選ぶか・・・


詳しくは電話でお伝えします。

もし知りたければ、↓の番号へどうぞ。



は?

揺らいでる?

俺と音無を?

比べてる?


何が何だか分からない。

とりあえず冷静になろう。

そう思い、頭を冷やすべく俺は帰宅した。


「ボスッ!」

ベッドに座る。

つまり、手紙の内容は「実柚は音無に告られて、俺とどっちを選ぶか迷っている」と。

それを俺に言ってどうしろと・・・・

大体音無は実柚の友達狙いじゃ・・・・

そうだ。

コイツが嘘を言ってるに違いない。

そう思えたら楽なのに、手紙の内容がシミとなって心を染めていく。

・・・・俺は。

こんな奴より実柚を信じる。

実柚の言葉を。

実柚の想いを信じる。

こんな奴の手紙に壊されてたまるか。


翌日。

山羊座は厄日なのか?

また手紙が入っている。

俺に恨みがあるのか、実柚に恨みがあるのかは知らないが、

こうなると悪意がある事は決定だな。

今回は隠さないで、実柚に言おう。

「知らない奴から」って。


「優先輩?」

「ん?何?」

自分から言う勇気はなかった。

だから、隠すつもりは無いが、聞かれたら答えるようにしよう。

そう決めた。

「今日も私が水やりをしますから、先に帰っててください」

「いや、俺も行くよ」

「いいんです!」

実柚に押される。

でも、そんな事より・・・・・

実柚の明らかな拒絶の方が驚いた・・・・・

「すみません・・・・また・・・明日・・」

そう言って実柚は俺のそばから去って行った。

俺はと言えば・・・・

立ち尽くしていた。


「何でなんだろうな・・・・」

体の自由が利くようになった頃には、外は静かだった。

どれくらいの時間がたったのだろうか。

まだ、実柚はいるかもしれない。

俺は温室へ向かった。


自分のバカさとかって、何かあってから気づくんだ。

でも、「変わろう」って思えば思うほど、俺はどんどん変われなくなっていく。

できればこんな思いしたくないけど、それも仕方ない。

君と一緒に、花を咲かすと決めたのだから。

君といてこその俺なのだから。

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