6. シミとなる手紙
ここから少しずつ花が折れはじめ、枯れはじめます。
優はそれをどうやって防ぐのか・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何で実柚に会えなくなるか考えなきゃ(あらすじ参照)・・・・
ではでは皆さん、良い夢を。
付き合い始めてから早1週間・・・
新しい発見は幾つもあった。
実柚の友達について。
音無が実は実柚の友達を狙っていたこと。
実柚の好み。
俺が嫉妬ばかりしている事。
「優先輩!」
後ろから駆け寄ってくる実柚。
あえて聞こえてないふり。
「優先輩?」
もう少し・・・
「優先輩ったら!」
「ん?何?」
「もう!何度も呼んだんですよ?」
「うん。聞こえてた」
「だったら何で無視したんですか!」
あっちを向いて拗ねる実柚。
「ごめんごめん。だって・・・・」
「だって、何ですか?」
相当拗ねてるな・・・
「実柚のその顔を見るたびに可愛いって思って、また見たいって思っちゃうんだよ」
「!・・・・・・・・」
顔を真っ赤にして俯く実柚。
我ながら少しキザだったかな・・・?
「・・・・クスッ」
実柚が笑ったのも見逃さない。
「ガッ」
「へっ?」
「今笑った理由は何ですか」
「え・・・・えーと・・・その・・」
「「よくそんな歯が浮くようなセリフ言えるな」、か?」
「えっ?何でわかっ・・・・あっ!」
「ふ〜ん・・・・当たりかぁ・・」
「!あっ、あの!すみません・・・」
語尾が小さくなっていく。
「ん〜・・・・可愛いから許す」
実柚はまた照れながら、
「ありがとうございます・・・・・」
と、小さく呟いた。
さらに1週間。
この日から、花は何度も枯れる危機に襲われる・・・・
「・・・・・・」
またベタな・・・・
何も靴箱に手紙を入れなくたって・・・・
まぁ、みんなの前で告われるよりマシだけど・・・・
勘違いだったら非常に恥ずかしいのですが・・・・
これは世間一般的にいう「ラブレター」では!?
どうしよう・・・・
「優先輩?」
「ぎくっ!」
後ろから実柚の声がする。
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもない!」
手紙を隠す・・・が、
「手に持ってるの何ですか?」
バレたー!!
「ん?何の事かな?」
「見せてください」
うっ・・・・
「これは・・・手紙ですか?」
「うん・・そうみたいだね」
「誰からですか?」
「わかんない」
「かばわなきゃならない人ですか・・・・」
いや違う!
誤解だ!
「・・・ハイ!返します」
「あっ、あぁ・・・」
「今日は園芸部なにしますか?」
「ん〜・・・・特にする事もないかな・・」
「じゃあ、水やりは私がやっておきますから優先輩は先に帰っててください」
「いや、俺が行くよ」
「いいんです。私にいかせてください」
「・・・わかった。帰り気をつけてな」
「はい。さようなら」
実柚がこんな事言い出すなんて珍しい・・・
きっと何か考えがあるんだろう。
俺はこの後後悔する。
君の手を離した事を。
元に戻ったとしても、折れた後のない花のほうが綺麗なのに。