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エノコログサ  作者: 創成
4/9

4. 思わぬ収穫?

「キュッキュッ、ジャー」

何してるかって?

水を汲んでるんだ。

如雨露(じょうろ)に。

これでも園芸部部長ですから。


「シャー」

水をかける。

植物に話しかけるほど暗くはないから、

水の音しかしない。

うし、水やり終了。

そう言えばこっちのトマト、そろそろ収穫だな。

先生に言って来よう。


うちの学校の温室は割と本格的なものだから、

プチじゃなくてちゃんとしたトマトが育つ。

今年の部費どうしよっかなぁ・・・・・

何か別な種類の種でも買うかな・・・・・

そんな風にボーっとして歩いてると、

何かが飛んできた。

「ヒュッ」

とっさに避ける。

「本・・・・?」

本を投げるって・・・・・

どんな奴だよ・・・・・

「すみません!当たってませんか?」

「あー、大丈夫」

顔を見ないで返事する。

「ハイ、これ・・・・」

顔を見て気づいた。

拍手の子だ。

「君、拍手してくれた子・・・だよね?」

「え?・・・あ、ハイ!」

「あのときはありがとね。俺、拍手されなきゃ降りちゃダメだったんだ」

「いえ、別にそんな・・・」

少し顔を赤くする。

照れるとこか?

「そうそう、本・・・・「雑草辞典」・・・?」

「あっ、すみません。気にしないでください・・・・・」

「・・・・君、植物は好き?」

「えっ?・・・嫌いではないですけど・・・・」

「「雑草」か・・・・「エノコログサ」って何か知ってる?」

「?わかりません・・・・」

「実は、猫じゃらしの正式名称なんだって」

「そうなんですか!?私、猫じゃらしは猫じゃらしって名前だと・・・・」

「俺もそう思ってたんだけどさ。んで、何が言いたいかって言うと・・・・」

今でも俺は、何でこんなこと言ったんだろうと思う。

でも、言ってよかったと思う。

だって、言ったおかげで実柚と過ごせてるんだし。

園芸部的に言うと、毎日が花のよう、みたいな。

例え、その花が何度も枯れかけたとしても・・・・・

「園芸部に、入部しませんか?」

「・・・・・・・・・・・」

黙っちゃったよ。

そりゃそうだ。

いきなりこんな事言われてすぐに「OK」出せる奴いたら見てみたい。


「・・・・・・・・・ハイ」

・・・・・・・・・・

えっ?

「入部します」

えええええええええええええっ!!??

「いっ、いいの?そんな簡単に決めちゃって」

「ハイ。もともと体育は苦手だし。それに・・・・・」

「?それに・・・・何?」

「いえ、何でもないです」

?まあ、いいや。

「そっか。じゃ、先生に手続きしに行こっか」

「あ、待ってください。入部するには条件が・・・・」

「?何?」

「私と・・・・友達になってください」

再び赤面。

・・・・・・・・

うん、ココはいいんじゃないかな。

照れても。

これは・・・・・・

断る理由はないよな?

友達だし・・・・・

「・・・うん。いいよ。「友達」になろう」

「・・・はい。ありがとうございます!」

自然と笑みがこぼれた。

彼女の嬉しそうな微笑みに。



「友達」っていう関係なんか、保てるはずなかった。

もしかしたら、気付かない方が良かったかもしれない。

彼女に惹かれてる、ってことに。

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