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戦慄のアウディート  作者: 亥BAR
第十章 戦慄の決戦
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戦慄の決戦(4)

 ***


 次の日。麻布田市、麻布田高校。獅蛇京介は休日出勤で仕事を続けていた。


 いつものスーツでは無くそれなりにはしているが私服姿でパソコンに向かう。

今日、三時から決戦を行うべく赤いアウディーターに挑戦状ともいえる言葉を投げかけはしたが奴が果たしてくるかどうか。いや、奴の性格ならばきっと来るはずだ。立神にも三時に倉里市に行けと指示している。あとは、その時が来るまで待つしかあるまい。


「し、獅蛇先生、その……これ」

「あ、湊先生。ありがとうございます」


 仕事に関する資料を湊から渡され、笑顔で受け取る。その資料を収めながら二時半を指す時計を見る。もうそろそろ上がるべきだろう。


「そのぅ、あのう……」

「ん? なんですか?」

「い、いえ!! 何でもないです!」

「そ、そうですか……」


 ここのところ、湊の様子がおかしい気がする。時々、こんな風にあたふたしては「何でもないです!」なんて返されることがある。

だが今、そこに構うほど暇はあるまい。そう思い資料を片付け、上がる準備をした。


「え? そ、その。獅蛇先生、今日はもう上がるんですか?」

「ええ、そうですね。少し用事がありまして」

「そ、そうですか……」


 湊に一礼をし席を立つが、不意に左足に強烈な痛みが走り態勢を崩してしまった。


 あの傷だ。黒いアウディーターの攻撃を食らった時はあまりひどい症状では無かったが、同じ部分を赤いアウディーターに攻撃を食らってから随分ダメージが大きくなっていた。


 同じ個所だったと言うのもあるが、キマイラはスピード特化。今まで攻撃を食らう事も無かった故に気づかなかったが、攻撃だけでなく耐久力も今一つらしい。


「せ、先生!? 足、どうかしたんですか!?」

「い、いえ。大丈夫ですよ。では、先に上がらせてもらいます」


 湊に悟られないよう、さっさと職員室を出ると、家には戻らず直接バス停へと向かう。


 バスで倉里市へと入り、時計を見るとまだ時間には余裕があったので目的地よりちょっと手前の駅に降りた。残り時間を潰すように散歩を始める。これから戦闘を行うと言うのに友人と待ち合わせでもしているような行動に自分ながらおかしな感じがする。


 だが、同時に妙な緊張感が走っていた。最初の尾行以降、誰かが付けている様子はないが、警戒されただけで今でも警察に目を付けられている可能性はある。最近は龍巳を始めとする生徒やエボリューターと考え事も多く、注意が散漫になっていたからなおさらだ。


 ただ、いくら緊張したところで何も変わるまい。なるべく、と言うよりとにかく自然体に今は時間が来るまで待ち続けた。

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