4.俺と彼女の童貞処女卒業式はいつになりますかね。
今日は土曜日。
現在、俺と誌人は珍しくエロ同人を読まずにテーブルに集まり話し合っていた。
その会議の議題とは……
「同島…私は最近思うんだよ…本当のエロとは何かってね…」
誌人は真剣な表情をしながら言う。
「ほう…と言うと?」
「つまりね…私達には夜の営みが必要だよ…」
「……はい?」
俺はあまりに予想外の議題に動揺した。
「ではでは!!本日やっていくのはこちら!!」
誌人はホワイトボードに何かを書き始めた。
「てかどっからホワイトボード出したんだよ…」
俺がそんな事を口にしているとどうやら書き終わったようだ。
その文とは…
「今日、私は、処女を卒業します!」
と言う物だった。
「は!?何その突然の告白!?自虐プレイがお好みで!?」
俺はまたしてもあまりに予想外の文に動揺と驚き、そして赤面している顔を隠せないでいた。
「同島…私は別に自虐プレイが好きなわけじゃないよ…ただ、私はそろそろ処女が恥ずかしくなってきた!!」
「ちょっと待ってもう本当に色々!!てか色々意味がわからん!!!!」
脳内の処理活動が間に合わねぇ!!!!
どうやら今の人誌にとっては色々が重要ワードのようだ。
「同島、そんな大事な話じゃないよ」
そして誌人は落ち着いてる顔でこう言うのだった。
「ただ担に、私と同島が今日エロい事をするだけさ!!」
そんな台詞を親指立てながら言っている誌人に俺は脳内の処理活動がまだ終わっていない状態で話してしまった。
「おま!!それ!?どゆことかわかってんのか!?エロい事だぞ!!エロ同人見たいな事だぞ!?キスとかベロチューとかフェラとかセックスとか…ととととととにかく色々やるんだぞ!?!?」
あれ?俺何言ってんの?てか顔がめちゃくちゃ暑いんだけど…
俺は動揺が止まらない。
「同島…エロ同人一緒に読んでる上に私達は恋人同士なんだよ?てかそんな状況下で何も起きない方が可笑しいよ」
「こいつ俺が今まで思ってた事全て口にしやがったー!!!!」
何だよ…何なんだよ…彼女からHのお誘いだぞ俺!!望んでいた事じゃないか!!断る理由が何処にある!?いつまで童貞でいるつもりだ同島 人誌!!なるんだ!!男に!!本当の男に!!さぁ勇気の一歩を踏み出せ!!さぁ言うんだ!!俺!!俺の一言で今日童貞を卒業出来るんだ!!
ひたいから汗がポタリと流れる。
そして俺は言う。
童貞卒業式、入場開始だ。
「明日じゃダメかな?」
俺のバカアァァァァァァァァァァア!!
誌人は薄目になり俺を見ながら言う。
「……意気地無し」
誌人は頬を膨らませる。
「う……すみません…」
涙目になる人誌であった。
この日俺は、枕を濡らして寝た。
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「……ん…ん~…ん?」
俺は少しだけ目が開く。
部屋がまだ暗い。
と言う事はまだ寝てからそこまで時間は経っていない。
「はぁ…」まだ時間はあるし二度寝でも…
その瞬間だった。
俺の下が「ん!?」とんでもない事になっていた。
「あれ!?俺の息子ってこんなに起ちましたかね!?」
人誌がそう言いながら毛布をはいでみるとそこには「んな!?誌人!?」裸の誌人がいた。
「ちょおま!?服は!?てか帰ったんじゃ?!」
この暗いのが救いであまり見えはしないが、だが、肌の感触からわかる。
そして、この暗さでも微妙に確認は出来た。
完璧に誌人は裸だった。
「ねぇ…同島…」
誌人は顔をちょっと赤らめながら俺の顔の方へと近づいてくる。
「ちょっと…待って…」
ヤバイ…何だこれ…肌と肌が擦れてるだけのに…気持ちいぃ…
場の雰囲気に呑まれてく人誌。
「同島……んっ…」
「あ……」
誌人は俺の首もとにキスをする。
そしてその後は首下を「はぁ…はぁ…」ペロペロと何度も舐める。
「どう…?気持ちいぃ…?」
「はぁ…はぁ…た…タンマ…」
俺はあまりの気持ちよさに息を荒くする。
「ッ…!!」何だこれ…水が首ともにあたってもどうも思わないのに…舌に絡み付いた唾液が首下にあたっただけなのに…どうして…こんなに…変な気分になるんだ。
そして、誌人は両手を俺の頬に触れ、目と目を合わせてこう言った。
「同島…私のファーストキス…貰って…」
俺は誌人のその言葉を聞いてとても嬉しかった。
でも俺は思ったんだ。
こんな形でのファーストキスは嫌だって。
「誌人…ごめん…」
俺は目線をそらす。
「どうして…?」
誌人は別に動揺はしていなかった。
むしろ落ち着いていた。
何故かはわからないけど…きっと俺が言うことをもうわかってるんだろうな。
人誌がこれから言うその言葉。
それは人誌が今一番大事にしている人が言いそうな「だってこんな形でのファーストキスは面白くない!!」言葉だから。
人誌は満面の笑みで誌人と顔を合わせる。
誌人はそんな人誌の表情を見て、誌人も満面の笑みを浮かべてこう言った。
「はは…そうだね!」
今日この日、俺と誌人は一緒に寝た。
一言も喋らずに、ただただ、俺と誌人の笑い声が微かに聞こえるだけだった。
俺と彼女はいつ童貞と処女を卒業出来るのか。
それは、俺にも、彼女にも、わからない事だ。