16.俺と彼女のと言うより彼女の妹。前編
「ダーリン、今すぐ私の家に来て」
突然と、俺の愛すべき彼女からお茶目な呼ばれかたをされ、そんなことを電話越しに告げられた。
なんだあいつ急に…。
そう言えば、誌人こと、俺の彼女の家に行くのってかなり久し振りだな。
一年…いや半年?まぁいいや。
ただ一つ問題なのが、俺はあの家に極力行きたくない。
誌人の家に行くとき、俺は毎回とある人物がいない時に上がらせて貰っている。
まぁ今回もその人物がいないから俺を呼んでるのだろう。
安心して、誌人の家に足を赴けられると言うものだ。
そろそろ見えてきた。
ちなみに、この普通の一軒家の隣にあるもう一つの普通の一軒家が俺の実家である。
ここで父さん、母さん、誌音が暮らしている。
一応説明しておくと俺は父さんに今のうちに独り暮らしに慣れとけと言うことで、独り暮らしをしている。
家から一キロ程の距離である。
近すぎて独り暮らしと言えるのか微妙だなぁ…。
っと、そんな事はいいんだ。
とりあえず、インターホンを押さねば。
俺は誌人の家のインターホンを押した。
その瞬間だった。
ドン!!!と扉が物凄い音で開かれた。
そこにいたのは…
「し、誌伊奈…」
俺は震えた声でその名を呼んだ。
東同誌人の妹、東同 誌伊奈である。
脹ら脛まで届いている長く、ツヤツヤした黒い髪を伸ばし、真っ黒い(色々)瞳を宿している。
そして真っ白いワンピースを身に付け、一目で美人とわかる容姿をしている。
だが…聞いてほしい。
明らかにおかしいだろ?そのファッション。
え?何処がおかしいかって?あぁ説明に書いてませんでしたね。
はい、彼女の右腕にご注目。
「……」
あ、あれ包丁ですねぇ…。
明らかに一つこのファッションの付属品とは思えない様な物を掴んでいますね。
この状況を一文字で表しましょう。
『死』
はい逃げ確定。
「ダッシュ!!!!」
俺は風圧をしのぐ勢いで走る。
だが…
「どこ行くのかな…?」
いつの間にか誌伊奈が俺の腕を掴んでいた。
「えっと…ちょっとおトイレに…それにこの後ダニエルと約束が」
俺は心の友の名を使って言い訳をする。
「ねぇ?なんでぇ?誌伊奈ねぇ…ずっと会いたかったんだよぉ?だからぁ…もう離さないからね♡」
「いやだああああ!!!死にたくないいいい!誌人おおおおおおお!!助けてくれええええええええええええ!!!」
「そんなに叫んでも、誌人、は来ないよ…私がしまっちゃおうね~したから!」
「お前が何故そのネタを知って…って言うかふぁ!?誌人さっきまで俺と電話してたじゃん!!」
「あーあれはねー」
突然誌伊奈は喉を整えるかの様に、んん、と言う。
「こんな感じかな!」
「誌人の声…!?」
なんだそれ!!すげぇ!って素直に絶賛してる場合じゃねぇよ!どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ!!!マジでヤバイ!!!
「それじゃ家でゆっくりラブラブイチャイチャしよっか!ダーリン♡」
この呼ばれかたをされる時点で気づくべきだった…。
東同誌伊奈、俺がこいつを避けてる理由。
それは、こいつはリアルヤンデレヒロインだからだ…。
「もう…離さないなら」
あ、目が笑ってないや。




