一度死んだような気のする日
初投稿です。駄文だとは思いますが、読んでいただいて、おもしろいなって思ってもらえたら嬉しいです。
混濁した意識から覚醒したボクは意識を失う前のことを思い出していた。
確か…バイトのピザ配達でいつものように働いていた。お得意先の気の良いヤクザの組長さんにいつもどうりにピザを届けに行った。組長さんに気に入られてるボクの事が気に食わないと言うスキンヘッドな組員に刃物でさされて、そして血がどくどくと流れて…そして倒れた。そこからの記憶が曖昧になっているから…あれ?ボクもしかしなくても死んでない?
うーん、と声に出して唸ったら、とある違和感に気付いた。
「あれ?なんだか声がいつもより高くなっている気が…する。」
さらに、考え事をしていて気付かなかった周りの状況が目に入り込んできた。目の前には惨劇と化している風景があり愕然とした。さらに仄暗い洞窟が相乗効果をもたらしている。
「うわぁ…ドン引きです。」
そこには上半身が人間、下半身が蜘蛛の少女たちが互いを喰い合っていた。かなりグロい。そしてふと一抹の不安が頭をよぎった。
「うーん、まさか…ね?」
恐る恐る自分の下半身を見た。…蜘蛛だった。
「これってアレだよね、RPGとかで森や洞窟で会えるアラクネさんですよね?」
基本的にボクは敬語しか使わない…じゃなくて―
不意に背後からジャリッと音がした。
まさかまさか、まさかまさか!?
と、思いながら首をギギギと鳴らすかのように後ろに振り返った。
「オイシソウ…イタダキマスッ!」
一匹のアラクネの少女がボクに飛び掛かってきた。どうやらボクを食べるつもりのようだ。
「え、遠慮させていただきます!」
そう言い放ちながら飛び掛かりを避けて、ボクは一目散にその場――洞窟――から逃げ出した。
「はぁ、はぁ、…疲れた、のど乾いたな。水が欲しいな。」
トボトボと歩いていたら小川を見つけた。
ボクは小川に駆け寄り川の水を飲んだ。
「っぷはぁ、体に染み渡る感じだね。あ、そういえば生水はお腹を壊すって昔聞いた記憶が…。」
今更だった。
「まぁ、おいしかったからいいや。」
誰に聞かせるわけでもなく独り言を呟いた。
「あらあら、可愛いお嬢さん。こんなところに一人でどうしたの?」
いきなり後ろから大人のアラクネに話しかけられた。そしてその姿が先ほどのアラクネの少女にかぶって見えて思わず身構えた。
…そしてなんでボクがあえて目を逸らして認めたくなかったことをそんなにもはっきり言っちゃうんですか!?…そう、今のボクの上半身は少女のような姿になっていたんだ。認めたくなかったから言わないでいたのに…。
さて、どうにげようかな…。と、そう考える。
「ん?どうしたの?」
アラクネがボクに近づく。
ボクはじりじりと後ずさる。怖くて泣きそうだよ。というか泣いてるよ。
「んー?あぁ!」
アラクネの女性はふと何かを思いついたような声をあげた。
「大丈夫だよ、私はお嬢さんを食べようとはしないから。お互いを食べあうのは生まれた時の本能に従った行動なのよ。」
アラクネの女性は付け足すようにそう言った。ボクの見たものは至って普通のことだよと。
「えっと、その…」
にわかに信じられず涙目になりながらも怖いのを半分押さえ残り半分のヤケクソで言葉を発した。
「…イイ。」
「?」
「や~ん、可愛い~!なにこの小動物的な可愛さは!同族とは思えないほどの可愛さがあるわ!」
なぜだろうか、旧友に似た何かを感じるよデジャブだよ。こうなんていうか、可愛いモノをみる目に似て…抑えられなく…。うん、まさにそれだね。
「あぁ今すぐお持ち帰りしてテイクアウトしてずっとハグして抱きしめたぁ―――い!!」
こわいけど突っ込まずにはいられない。
「あのっ!テイクアウトとお持ち帰りは同じ意味です!あとハグと抱きゅしゅめ…」
あ、噛んでしまった。
「くぅぅ!お嬢さんは私を萌え死にさせたいのか!?キュン死させたいのか!?それはそれで本・望・だぁー!!」
いつの間にかアラクネの女性はどこからともなくメガネを取出しハァハァ息を荒げている。
(どこから出したんですかそのメガネ…)
正直さっきとはまた別の意味で怖い。
「あ、あの、ボクは…」
「さらにボクっ娘キタ――!!」
「ふぇ!?」
ぼくの中の気持ちが警戒しないといけない、という気持ちより、今すぐ泣いて逃げてしまいたいという気持ちに塗りつぶされていった。
「あぁ~んもう我慢できないわ!」
そう言うやいなやアラクネの女性はボクを急に抱きかかえ、さぁ、私の家へ!と言って走り出した。
どうなるの僕の運命!?
投稿ペースはかなりゆっくりしたものになってしまうと思いますが、頑張りますのでよろしくお願いします。