アイノウタ。
『大切だから』
そう言った君の手が
僕の首を締め付けた。
家族の愛を知らない君を
蔑みと痛みを受けてきた君を
僕はずっと見てきた。
小さい頃からずっと。
大きくなって、君の手に赤い跡が
増えてきて
僕は悲しかった。
どんな言葉も受け止められないと
知っていたから
小さい頃の様に僕は、
君の手を握った。
今日、絶望を知った君が
世界を疎んじた君が
唯一出した答えが
しがらみから逃げる事。
でも1人じゃ寂しいからって
大切なものを持って行こうって
そう言った君の手が
小さく震えている。
ねえ。
僕は君を、ちゃんと愛せたかな。
大切なものになれたかな。
どんな時も一緒だったから、
これからも一緒だよねって、
僕は笑ってみせた。
僕の上に乗った君の目から
たくさんの感情が溢れ出して
僕を染めた。
ねえ。
大切って言ってくれて
気付いたよ。
僕が君を愛しているから
君と行く道を選んだ。
君が僕を愛しているから
僕と行く道を選んだ。
2人で逃げよう。
小さい頃みたいに
手を繋いでさ。
愛を失ったこの世から
僕らの愛を守る為。
僕らまた愛し合おう。
だから。
此の愛しい手が、
僕を奪う時ぐらい
笑って魅せてよ。
愛しくて愛しくてしょうがない君が
笑うところがまた見たいな。
じゃあ、
僕は君の少しだけ先に行くよ。
でも、
君の手が僕に触れているなら
君とすぐに逢えるよね。
君が僕を奪ったら
君は君を奪う。
2人で一緒に行こう。
きっと
ずっと。
ねえ。
愛してるよ。
その手でどうか
僕を離さないで。
未来を誓おう。
ずっと一緒だよ。
大好きだよ。