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プロローグ~前~
「九六〇から一一〇〇までのデータを解析しました」
「もうすぐですかな?」
「ああ、このコスモスフィアが我等のノアの方舟になろう……」
それはスフィアの名の如く球体であった。そしてその球体の中には宇宙の様に光り輝く星々が映し出されていた。
「この地球の息子……いや、娘か……?」
「どちらでも同じ、地球で生まれ育った我らと同じ生き物だ」
「やめてくださいよ、あなたたちと一緒なんて嫌ですね」
「!?誰だ!」
コスモスフィアのそばにいつの間にか一人の青年が立っていた。
「嫌だなぁ、妹を研究してて分からないんですか?あんな装置に付けられて中身を見られて、かわいそうじゃないですか」
そう言って青年は、自分の腹を開けた。
そこにはコスモスフィアと同じ、球体が組み込まれていた。
ただ一つだけ違うとすれば……それは、黒く澱んでいたことぐらいか。
「ば、馬鹿な!?もう一つのコスモスフィアだと!?」
「う~ん、その名前も意味通りじゃないですし。そうですね……」
青年はいたずらっぽく笑いながら言い出した。
「カオスフィア……ってのはどうです?」