アウトオブさんの母校
やあ、みんな。私の名前はアウトオブ。かの有名なアウトオブさんだ。
これから始まるは懐かしき母校を訪ねるアウトオブさんのお話だ。
私の母校(高校)はどこにでもある普通の高校だった。
私は今回、母校が閉校されると聞き、高校時代の同胞たちの代表として学校へと向かっているのだ。
高校の名前は『私立魔法創成学園高等部』だ。
学生の過半数を超える生徒が名前が面白いからと入学した高校だ。
そんな私の母校は、不況の煽りと教育の引き締め政策により閉校が決まったのだ。
母校の前に立つとあの懐かしき日々が蘇る。哀愁の念が押し寄せてくるが、今はここに着た目的を果たそう。
校門を通り抜け懐かしの母校の校舎へと足を踏み入れる。
手続きを済ませて校長室へと向かう。
「失礼します」
ノックをして部屋へと入る。そこには齢八十になる校長がいる。
「お久しぶりです、校長」
「おぉ、久しぶりじゃの○○君。まぁかけたまえ」
だいたい七年ぶりぐらいに会う校長は当時と比べると随分と老けたように見える。
「では、本題に入りましょう」
早速、私はここに来た目的を果たすことにする。
「校長が持つ、『本』を譲ってもらいたいのです」
私たちが学生時代に校長に預けた本。学校が無くなるとその本も保管する場所がなくなってしまう。
私たちは話し合い、その結果私がその本を所持することになったのだ。
「わかっておる、ついてきなさい」
校長は立ち上がり、本棚に近づき隠し通路を開いた。そして暗闇の中に足を踏み入れる。
私はそのあとに続き、長い階段をくだっていく。長い階段の先にテーブルが一つ。
テーブルの上にあるのは、あの日私たちが校長に預けた本。その時となんら変わらずそこに置いてあった。
「ほれ、大切に保管しなさい」
校長から本を受け取り、私は深々と頭を下げる。
「今までお疲れ様でした」
校長はほほ笑むとゆっくりと消えていった。
私はその場を後にし、校舎を出た。
校門から振り返って校舎をみると、あの時と同じ校舎が見え私たちが遊んでいる。
私は思い出を胸にし、本をしっかりと持ち母校を去った。
『私立魔法創成学園高等部』、永遠たれ。