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予期せぬ強敵

 オークキングは4mくらい、通常の2倍の大きさがある。クィーンはやや背が低いくらいだ。


対峙するとオークキングとクィーンの威圧感は凄まじかった。



「へっ、大した事ねえぜ」

「お、おう、1度戦ってみてぇと思ってたんだ」


逃げ出したくなる気持ちを誤魔化すかのように皆が強がりを言う。


それはそうだろう。オークはDクラスの魔物であっても、オークキングと戦うのならば、全員がBクラスの4人組パーティでなんとか対抗出来る魔物なのだ。


しかもクィーンがいる上に、ここにはCクラスのパーティが2組、Dクラスのパーティが5組いるだけなのだから。



「グオォオオー」


オークキングが咆哮する。


「ぐっ」「ううぅっ」



皆が竦んで動けない。


「サユリア、このまま長引けば皆が殺られてしまうだろう。一気にケリをつける。あれを試してみるぞ」


「はい」



「カノープさん、全員でオーククィーンを何とかしてください。オークキングは俺達がなんとかします」



「な、何を言っているんだ変態君」

「いいから、ほら攻撃が来ますよ」


「ぐぅ、皆、しっかりしろ!オーククィーンに向かって一斉攻撃をする。体制を整えろ!」


「「「お、おう」」」




よし、皆はオーククィーンに集中したな。


俺はDクラスになってから、ずっと考えていたんだ。急に手強い相手と出会した時にどうするかと。


それも俺は目立たず、あくまでも黒子に徹する方法を。そこで俺のスキル"精の者"を使う事にした。


精がつく言葉で異世界とくれば、真っ先に思いつくのは、やはり精霊だろう。


些か安易で気に食わないが、人の目に見えないという利点を使わない手はない。


相手にもよるが、いつも大精霊を呼び出そうというわけではない。その辺にいる精霊に力を借りようという感じだ。


今回は地の精霊と風の精霊に力を借りる事にする。山岳民族のサユリアは、地の精霊と相性が良いので土魔法の威力が上がる。



サユリアにはストーンバレットを撃つ時は、長いドリル状の形にする練習をしてもらっている。それを風の精霊に回転してもらうようにお願いする。


これは魔法の使えない俺にも応用出来る。俺が操るのは、浮かせ易い形にした金属製の物になる予定だ。



正面に立ったサユリアに向かってオークキングが剣を振りかざす。大きな剣でなかなかの代物だ。



サユリアは左に躱しながら、土魔法で円柱を次々と造り階段のようにして駆け上がる。オークキングの頭を狙うが大剣で受けられてしまう、キングの奴は動きも機敏だ。


すかさずキングは円柱を薙ぎ払う。足場が無くなったサユリアを風が優しく、そして素早く運び地面に降ろす 


風の精霊達にはサユリアをアシストするようにと、よーくお願いしてある。


サユリアはダッシュしてキングの脚を斬りつける。


「グワッ」


ふくろはぎを切られたキングは、怒りにまかせて拳を振り上げサユリアに殴りかかった。バックステップで後ろに避けたサユリアに、空をきったキングの拳に砕かれた土片が飛んでいく。


土壁を造り土片を防ぎながら十分に距離をとり、ドリル状に形造った無数のストーンバレットを土壁に向かって放つ。


精霊達が造った小さい風の渦がドリル状の弾を回転させ加速させて行く。サユリアは土壁に弾が当たる寸前に土壁を消滅させる。


急に現れたドリル状のストーンバレットをオークキングは避けられず、頭の先から足の先まで浴びることとなった。身体に突き刺さったストーンバレットは、回転しながら食い込んでいき、骨を砕きながらオークキングの身体を突き抜けた。


当然、頭蓋骨も砕かれたので脳味噌もグチャグチャになったのだろう、キングは痙攣しながら倒れ動かなくなった。



「サユリア、お疲れ」

「上手く出来ました」

「うん、上出来だよ」


カノープさん達を見るとオーククィーンを相手に手こずっているが、まだケガ人は出ていないようだ。



「サユリア、でかいやつを頭に一発頼む」

「解りました」



長さ30cm、直径5cmの太いドリルストーンバレットが、回転しながらクィーンの後頭部に命中し、オーククィーンは突っ伏して倒れた。


「うわあっ」「な、なんだ」



「どうやら彼女に助けてもらったようだな」


「マジか、キングも倒れてる」「全身穴だらけだぜ」



「変態君、どうやって倒したんだ?」


「サユリアの土魔法で。カノープさん、出来れば名前でお願いします」


「おっと、すまんな」


「そりゃそうだろう、兄ちゃんに殺れっこねぇ」


「ブス……姉ちゃん、ありがとよ」「助かったぜ」

「いいえ」



ーー



「ユタカ様、本当の事を言わないで良いのですか?」


「いいんだよ。ここは王都の直ぐ隣りだしね。俺にも事情があるんだ」


「そうですか、解りました」





おまけ付きで無事にオーク集落を潰し、街に戻って来る事が出来たのだが失敗もあった。


オークキングを穴だらけにしたお陰で、せっかくの魔石が真っ二つになってしまった。これは非常にもったいない事をしたので注意しなくては。


それでも正規の1/4の値段で引き取ってもらえたので良かったが。加えてオークキングの大剣とクィーンの魔石も俺達の取り分になったので、金貨15枚になったのは大きい。



馬車と馬の金額が貯まったら次の街に移動しようと思っているので大助かりだ。生活費を考えると後は金貨15枚あれば、といった所だ。



オーク討伐が終わり、まとまったお金も手に入ったので2日間は休む事にした。サユリアにも手当てを渡し、買い物でもして自由にして良いと言ったのだが、何が面白いのか俺が武器を造るのをずっと見ている。



武器と言ってもオークキング戦の時に、サユリアが使ったドリル弾の俺専用のやつだ。


敵は無の中に入れてしまえばいいのだが、閉じ込める事は出来ても殺す事は出来なかった。


閉じ込めている間は魔力も消費するので、入れっぱなしには出来ない。魔法やエネルギーの類は無効化が出来たのだが。


応用して精神攻撃は出来そうなので研究が必要だ。



鍛冶屋で出来の良い鉄塊を買ってきて鋼に造り変える。それを直径15mm、長さ100mmのドリルにして、先から30mmの所に6枚羽根の小さなプロペラを取り付ける 


このプロペラは、内側にたたむ事が出来る。刺されば自然と折りたたまれ、釣り針の返しの様になり、抜けにくくなる。


相手に撃つ前は精霊にお願いして、俺の周りで傘をさす様に縦の形で小さな竜巻によりホバリング状態にしてもらう。


そこから俺の指定したところへ飛ばしてもらおうというわけだ。先端に麻痺や毒を塗っても良いだろう。



20個ほど造ったところでお腹が空いたので、ちょっと高級な食事と酒が飲めるテラスの有るレストランに出かける。


明後日この武器を試すのが楽しみだ。



いつも読んでくださりありがとう御座います。


面白いと感じられましたら、下段に有ります評価の☆星やブックマークを付けて貰えると嬉しいです。



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