戦闘
「目が覚めたか?星花」
星史郎と拓が星花の顔を覗き込んでいた。
「星史郎さん、拓」
3人の巫女たちが倒れている。
「お鏡さまは?」
「ここに」
巫女の1人がそう言うなりがばっと起き上がった。続いて他の2人の巫女も起き上がる。
「ええい、口惜しや、星花、お前の核はいずこじゃ」
それは本人さえ知らなかった。
中央の巫女は祭事用の短刀を手束に、
「そこか?うまく隠したものじゃ。星史郎どの」
と言って、投げた。
星花の額に命中して、鯉のウロコが真っ二つに割れた。
祭事用に刃を潰してあったので、星花は軽傷で済んだ。
「お鏡さま、覚悟」
拓が、鏡を神器で斬った。
お鏡さまの悲鳴がどこまでも響き渡り、依代となった巫女が泡を吹いて倒れた。
星史郎が呪文を唱え、数珠をじゃん、と鳴らした。
境内の池の主、黒い鯉にお鏡さまは収まった。
「鯉の寿命が尽きる時、あなたも消滅いたすでしょう」
星史郎が右手で印を結ぶと、悔しさで池の鯉がぴしゃん、と跳ねた。
3人の巫女たちは、この離島に残ると言った。
間者は小高い山から一部始終を見ていた。
クルーザーで13人の巫女たちと星史郎が一足先に本土へ帰った。
「ねえ、拓」
「なんだ?」
「右手を握っててくれたのね」
「なんか役に立ったか?」
「ええもう」
嬉しそうに星花が笑った。