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救出
「本当に大丈夫なのか?」
クルーザーに乗った拓が星史郎に尋ねた。
「大丈夫だ」
星史郎は力強く応えた。
一足先に星花と間者を乗せた小船が沖へ出て、離島の一つに向かっている。
道案内させて、乗り込む作戦だ。
間者は星史郎が半分操っている。
孤島に着いて、間者と星花が下船した。
クルーザーは島の反対側につけた。
「巫女たちを救ってクルーザーで運ぶ」
「わかった。俺は星花のサポートにまわる」
「そうしてくれ」
お鏡さまを祀ってある境内に踏み込む。
「16」
星史郎がつぶやく。あちこちから集められた巫女の数だ。
何が原因で巫女の選定に手間取っているのだろう?
ぴゅーい!
星史郎が口笛を吹くと、鳥たちが一斉に巫女の集められている建物に入り、式神と化して巫女たちにクルーザーまでの道のりの案内をした。
「お助けくださいませ」
「何があったんだ?」
「お鏡さまが自分の能力を最大限に発揮できるうつわを探してございます」
「お鏡さまはその能力でなにをなさる?」
「離島のみの神から本土へ打って出られるおつもりです」
「欲を持たれたか」
「はい」
星花。お前にかかっているぞ。
星史郎はそっと呟いた。




