プロローグ 終わりと始まり
むかしーむかし....そんなに昔ではありませんが。
猛々しい山岳地にひっそりと暮らしている里がありました。その里は決して裕福ではなく、物の支援も多くはありません。しかしその里の住人は外の人間から見たら奇跡としか思えないとある魔法が使えました
"世渡りの奇跡" - 世界と世界を繋ぐ魔法
里人の間ではその魔法は禁忌であり使ってはいけないそう知れ渡っています。いえ、いました...が正しいですね。そこで生まれ育った私は非常に可愛く容姿端麗まるで傾国の美女かのような美しさで非常に愛らしい姿で過ごしていました。
...ツッコミは受け付けてませんよ
「ママー」
「あら?どうしたのその花。珍しい花ね」
「ママに見せたくて取ってきたの」
「今日の探鉱のイキはどうだい?」
「今日は山神様がご機嫌だなあ」
「牛肉の串焼きが今焼けたよ〜食べる人は早く来なさい」
十人十色な活気のある声があちこちから聞こえる
「ね〜ね〜レイラ〜起きて遊ぼうよ〜」
「今この時間は昼寝のベストコンディションが整う時間なの。邪魔はしないで欲しいな」
「でも私暇なんだもん」
「じゃあ一緒に寝ればいいじゃない」
「昨日もそれだったじゃん!」
うるさいですね全く。私はここで昼寝をしながら魔法の研究という神聖な行為をしているのに。え?どうやって寝ながら研究するのかって?.....まあいずれあなたも分かりますよ...きっと....あ、眠気が...
「あーもうまた寝た!いいもんねシルフィアお母さんに言い付けるからね」
「大丈夫よ。アリアありがとうね」
どうして一緒に遊ばないだけで言い付けられなければいけないのでしょうか。非常に不可解でなりませんね
「レイラ。起きなさい」
「んぅ.....」
一体どこの誰でしょうか私の睡眠を邪魔する輩は。成敗してやりましょうか。
「母を無視するとは我が娘ながらいい度胸ね」
....前言撤回。すみませんお母さん。
「いつも本を読みながら昼寝して....少しは体を動かしなさい」
「嫌だって面倒くさ」
「やりなさい」
「....はい」
「全くどうしてこんな子に育ってしまったのか」
そんな事言われても育ってしまったものは育ってしまったのですからしょうがないじゃないですか。
この里は非常に娯楽に飢えている。やることといえば外で走り回るか家の手伝いをするかの2択です。そこにいるアリアもいつも元気いっぱいに走り回っています。どこからそんなに気力が生まれるのか。まあ唯一の救いは小さいながらも図書館があることですね。これのおかげであまり退屈はしていません.....周りが邪魔しなければ。
「?...聞いてるのレイラ」
「はいお母様超聴いています」
「なら家に戻るわよ。ご飯が冷めますからね」
仕方ないので家に帰ります。
私の家は村の少し外れにある一軒家。基本簡素な木造建築で、食料を保存する地下室があるくらいの他の家とはあまり変わらない。変わったところと言えば、少し変人...いや変態なお父さんが居るくらい。
お母さんと帰った私は少し古びたドアに手をかけようとし
「ぉぉぉぉ我が娘よおかえりぃいいいいい」
ドォオオオン
軽快に壊れたドアとは裏腹に酷く圧迫感のある抱きつきが私の元に押し寄せてきました。
「あの....離してくださいお父様...ぅくるしいです」
「おっと、すまんすまん。ついつい」
「あなた。娘に抱きつくのはいいけれど、毎回誰がドアを直してると思ってるの?」
「いやあ娘への愛が大きくてなあついつい」
「ごめんなさいは?」
「ごめんなさい」
私の前で土下座させないでくださいお母さん。あと娘の抱きつきも辞めさせてください、なんだか裏切られた気分です。
「もういいですから、ご飯食べましょうよ」
「そうね。今日のご飯はビーフシチューよ」
「父さんが育てた牛だ!絶対うまいぞ!」
お父さんは牧師、お母さんは家事と里の統括をやってる。一応里長の次くらいに偉い人らしい。エロい人の間違いでは無いでしょうか。
「レイラ。何か言った?」
お母さん顔が怖いです顔。ごめんなさい。
「ん〜美味しい!」
「そうだろうもっと褒めてもいいんだぞ」
「口にあって良かったわ」
そんな幸せな毎日が私の日常....でした。
あの日が来るまでは....
静寂な空間に包まれ月明かりだけが地面を照らす
嵐の前の静けさなのかどうかその時はまだ誰も知らない。誰もが明日を望んで夢に浸ったその時...."ナニカ"が私たちの里を襲った....いや蹂躙した。
「...ラ...レイラ!」
「起きたな。レイラ今すぐ遠くへ避難するんだ」
「なにが起こってるの?」
「何者かの襲撃にあったらしい。私たちも分からない」
「分からないってどういう...」
「話はあとだとりあえず遠くへ避難しろ。いいな」
「...わかった」
私は無我夢中に走りました。暗闇に閉ざされた中転び、怪我をしても走りました。里の異様に明るくできる影へと誘われるように走りました。
....どれだけ走ったのでしょうか、里からの明かりが点のように小さく見えてきた頃。もう靴底はすり減り、不安と心配で胸が押しつぶされそう。一体なんの襲撃を受けたのでしょうか。この里で襲撃は私が生まれてから何回かありましたが、不意打ち...ましては避難なんてこと今まで1度も.....
ドオォォオォオン
父のタックルとは比べ物にならないほどの地響き。
思わす私は....ミテしまった。
"ナニカ"が...大きな陰のようなものが一瞬で里の灯火を消す瞬間を。夜闇に飲み込まれる瞬間を。
「お父さん!お母さん!」
私は来た道を駆け出しました。違和感を覚えるほどの静寂...嫌な...とても嫌な予感がしてたまりませんでした。
里のあった近くまで来た時には、空は明るさを取り戻し、動物たちも動き始めていました。
.......土地勘を頼りに歩くとそこにはもう何も残っていなかった。
いつも昼寝した木も
過ごした家も
お父さんも
お母さんも
....何もかも
「うっ...うぅ...あアぁああァ.....」
ここで夜明けを望んだものは、二度と明るさを取り戻す事はなかった。
夢を見たものは誰一人醒めることは無かった。
娘を送り出したものは...帰ってこなかった。
もうここにいても、もうなにもない
「私は...教えを破ります。お母さん、お父さん」
禁忌とされていた魔法。世渡りの奇跡
もう私にはそれしか残っていない
私は涙ぐみながらも詠唱し、周りに眩い閃光が立ちこめた頃
一人の少女がこの世界から消え去った
この時、まだ私は13歳でした。
読んでいただきありがとうございますm(*_ _)m
まだ手探り状態でどう書いたらいいのかまるで分かりませんね。これから成長していくので、何卒よろしくお願いします