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異世界点P  作者: 初心を忘れぬ初心者
第1メートル
2/2

秒速1m「テン・ピィ」


 俺は異世界転生した。

 というより、異次元転生というべきか。

 

「点Pはこの世界に復讐をします」


 訳がわからないが気がつくと3次元の世界にいた。

 元々2次元の中にいた俺だが3次元の異次元異世界があることは知っていた。

 なんならその3次元の人という生物が、俺をいくつもの教材場やテスト出演へのプロデュースとマネージメントをしてくれているのも知っていた。


 だから俺は驚いたが頭を抱える事はなかった。

 この異世界に来ること、それは神からの復讐のチャンスなんだと俺は悟った。

 だからこの世界を征服して復讐してやるんだと、そう熱意を燃やしていた。


 手足があり五感があり、あらゆる人体の構造や生物の存在、また、社会などのことは多数の教材場に出ていた俺は知っている。

 知っているが、ただ、無から水や火を出したり、無条件に化学変化や物理変化をさせたりなんて出来ないと、多数の教材場で教えられた。

 いや、実際には無から気体や液体を出現している訳じゃないことは、ここにきて数年経った頃に気づいた。

 どうやらそのような、魔法のようなことができる力があるらしいんだ。






 時が過ぎるのはあっという間で、気づけば俺は6歳になっていた。そして奴隷というものになっていた。


 親は産まれてすぐの時に見た程度で、あまり覚えていない。


 時はすぎて7歳の頃、日々の労働と大人の罵声や暴力に限界を感じた俺は、死を覚悟して一か八かの逃亡にでた。

 密かに盗んで集めていた魔法を出せる石、魔法石を溜め込んで上手く使用して逃げた。


 案外上手く逃げられたが住む場所と食料に困った。


 その時に助けてもらったのが教会の母アリアだった。

 絵に描いたような聖人で、死にそうな俺に手を差し伸べてくれて自立するまで育ててくれた。


 俺はそれから毎日剣術と魔術の訓練をし、猪や鳥を狩って教会の近くで借りた小屋で過ごしている。


 基本は山のふもと辺りで狩りをしている。

 あまり山奥に行くと帰れなくなるかもしれないし、何より鳥や害獣とは比べ物にならないくらい強い魔獣がいるらしい。

 魔力を使用する獣を魔獣といい、単に魔力と言っても魔法よりも、魔力を見にまとう闘気とやらを持った獣が多いそうだ。



 そんなこんなあったけど、とりあえず結論この世界に復讐、というより“あの世界”に復讐する。(ついでにあの奴隷商人と主人も……)

 というのもおそらくこの国の本を読んでここには、点Pというよりも“数学問題・試験”という概念が無いらしい……


 つまり異次元の異世界転生したものの前の場所からかなり飛ばされた模様……………………うん、多分……数100年経って時代変わったから…………とかは無いはず……。マジそれはやめてくれ……復讐できなくなっちゃうから……人として生きる意味無くなっちゃうから……。

 てかなんかこの国の年号、南暦315年とかいう前の西暦とは違う数え方してて心配なんですけど…………。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いた……」


 俺はバレないよう忍び、射程距離まで詰めてナイフを放った。


 軽く浅い角度の放物線をえがきながら命中、近くでいつも通りの生活を営んでいた鳥の群れはすぐさま飛び去り、しかし一匹の鳥はナイフが刺さったまま木の枝から落ちた。



 今日も普段通り変わらない狩に行き、いつもの帰り道を通る。もう何年この生活をしていたか、気づけば16になっていた。(最近、復讐の計画がまだ具体的に全然進んでいないことに危機感を感じていています…………)


 何年も変わらない遠い街の風景を見ながら帰り道を歩き、毎年季節によって変わる山の風景を見ながら歩く、するといつも通りの変わらない我が村が暖かい煙を出しながら、明るい夜に子供のはしゃぎ声が聞こえる。美味しい匂いが漂うご飯を囲んで。


 そう思いながら帰り道を歩いた。

 しばらくすると違和感に気づく。


「煙の量が異常……」


 慌ててダッシュで村へ向かった。狩った獲物もその場に置き捨てて一心不乱に走った。



 その日、村が燃えた。



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