4話 王子と鳥さん
雲の王子は、
空に浮かぶ大きな雲。
フワフワしていてもっふもふ。
そして何より、もてなし上手。
今日もお客がやって来た。
チュンチュンチュチュチュン、
チュチュチュチュチュッチュ。
やって来たのは、小鳥さん。
雲の王子の体をめがけ、
フワフワモフリと、着地成功!
小鳥さんはお行儀良くて、
「はじめまして」と、チュンチュンお辞儀。
王子も笑顔でご挨拶。
「やあやあようこそ、小鳥さん。
日向ぼっこは、楽しいよ!」
のんびりのほほん、小鳥さん、
スヤスヤお昼寝、気持ち良い。
チュンチュン可愛い寝言だね、
ゆっくりお休み、小鳥さん。
またまたお客がやって来た。
ピーピーヒョロヒョロピーヒョロリ。
トンビの親子がやって来た。
まずは手本と、トンビのパパが、
雲の王子の体をめがけ、
バサバサポヨンと、着地成功!
あれあれ、トンビのお子さまが、
着地できずに、バサバサバサリ、
お空をくるくる、回ってる。
トンビのパパは、心配そうに、
お子さまトンビを見上げてる。
雲の王子は「任せなさい!」と、
お子さまトンビに話しかけ、
「僕の体はフワフワの、
モッフモフモフ柔らかい。
だから勇気を出してみて。
僕が優しく包んであげる」
お子さまトンビは目をつむり、
勇気を出して飛び込んだ。
ピーピーヒョロヒョロピーヒョロリ。
ヒョロヒョロモフモフフワッフワ。
無事におり立ち、良かったね!
ゆっくり休んで、いきなさい。
お次は真っ黒、カァカァと、
カラスの兄ちゃんやって来た。
お口に何かを、くわえてる。
キラキラ光るは、ガラス玉。
カラスのお宝、キレイだね!
カラスの兄ちゃん、お宝を、
王子の体のフワフワに、
隠して、ピコンとウインク1つ、
残してカァカァ飛んでった。
カァカァお宝、カァカァ隠し、
カァカァ完璧、宝雲。
まんぞくまんぞく、飛んでった。
カァカァカカカァ、ありガァとう!
お次は真っ白、飛行隊。
白鳥の群れが、やって来た。
コォコォコォとみんながみんな、
鳴いて優雅に大合唱。
コォコォコォコォコォコォコココ。
みんな優雅に着地して、
フワフワフワリと、おり立った。
「やあやあみなさん、こんにちは。
こんなにたくさん、どこ行くの?」
雲の王子は、聞いてみた。
白鳥の群れは、教えてくれた。
「僕たち白鳥、渡り鳥。
世界の果てから世界の果てへ、
何千キロも、旅をする」
ちょうど良かった、休憩場所に、
雲の王子が、選ばれた。
どうぞゆっくり骨休め、
英気を養い、回復させて、
長い旅路を、楽しんで!
白鳥達はコォコォと、
ながーいクビで、優雅におじぎ。
お次はなんと、まん丸の、
気球がフワフワやってきた。
フワフワプシュシュ、フワプシュシュ。
中のおじさん、敬礼してる。
おでこに手を当てヨーソロー。
ヨーヨーソロロヨーソロロ。
気球はフワフワ飛んでってた。
風の流れに身を任せ、
フワフワプシュシュと、飛んでった。
まるで王子の旅みたい。
風の向くまま気の向くまま。
フワフワ飛んで、気分は最高!
お次はお次は、どこにいる?
あれあれあれれ?どこにいる?
声は聞こえて、姿は見えず、
ペンペンペペペンペペペンペン。
どこかで聞いたぞ?その声は。
雲の王子は下を見た。
するとチョコチョコ、ペンギンさんが、
お手々フリフリ、歩いてる。
おーいおーいと手を振って、必死にチョコチョコ歩いてる。
チョコチョコチョコリンチョコリンパ。
雲の王子は問いかけた。
「どうしたんだい?ペンギンさん」
ペンギンさんは、お手々フリフリ、
ペンペンペンと、お願い1つ。
「私は飛べない鳥なんだ、
でもね、私はどうしても、
お空を飛んでみたいんだ」
そうかよしきた!それならば、
僕に乗るかい?ペンギンさん。
わーいバンザイ、ありがとう!
ペンギンさんは大喜び。
雲の王子は、モフモフにゅるりと、
腕をながーく、引き伸ばし、
ペンギンさんを、優しくつかむと、
自分の背中に、ちょこんと乗せた。
どうだいどうだい、ペンギンさん、
お空を飛んだ、感想は?
ペンギンさんは、泣いていた。
夢が叶って、泣いていた。
ペーンペンペンペーンペン。
涙をふきふき、ペーンペン。
やっぱりお空は素晴らしい。
ペーンペンペン、ありがとう!
ペンギンさんの空の旅、
大々まんぞく、ペンペコリ。
お礼をペコリ、ペンペコリ。
「雲さん雲さん、ありがとう!
こんな感動、はじめてだ。
ご恩は一生、忘れません!」
良かった良かった、ペンギンさん、
今度は仲間も、連れておいでね。
雲の王子のフンワリ旅は、
こうして今日ものんびりと、
気ままに揺られて続くのだ。
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