2話 王子とお魚
雲の王子は、
空に浮かぶ大きな雲。
フワフワしていてもっふもふ。
そしてとっても海が好き。
王子が飛んでるその下は、
見渡す限りの大海原。
海の青さが綺麗だな。
海を見下ろしそう思う。
ちょっくら下りてみようかな。
雲の王子はゆっくりと、
高度を下げてフワフワオーライ!
下げすぎちゃって、チャップリコ。
海に浸かって、大慌て。
王子はぐっしょり、ビッチョビチョ。
なんとか、やーっと浮き上がり、
ペッペと水を吐き出した。
するとビックリ!お魚が、
ピチピチピチピチ大漁だ!
こりゃこりゃ参った大漁だ。
ピチピチ跳ねて活が良い。
こりゃ美味そうだ、ご馳走だ!
雲の王子は口を開け、
パクリと1匹飲み込んだ。
ああ美味しいな、もう1匹。
2匹3匹、4匹5匹、
沢山食べて、うえっぷー。
お腹いっぱい、大満足。
けれど困った王子さま。
お魚まだまだ、たーくさん。
ピチピチピチピチピーチピチ。
元気に跳ねてる、どうしよう。
「ねえねえ、雲さんどうしたの?」
見るとイルカの少年が、
空を見上げて問いかけた。
雲の王子はひらめいた。
この子にお魚あげちゃおう!
イルカの少年、喜んで、
わーい!欲しい!と飛び上がる。
クルッと空中3回転。
華麗で見事なその技に、
「やるな!少年!」大絶賛!
王子はお礼に沢山の、
ピチピチ魚をプレゼント。
「わーい!雲さん、ありがとう!」
イルカの少年、ホクホク顔で、
塩をピューッと吹き上げた。
けれどまだまだお魚さん、
たくさんたくさん、残ってる。
お魚たくさん王子の上で、
ピチピチ飛び跳ね、さあ大変。
他にも誰かにあげたいな。
王子は海を見渡した。
するとあそこにマンボウが、
のんびりプカプカ浮いていた。
王子は近づきマンボウに、
お魚さんをプレゼント。
するとマンボウほののんと、
お口に入れたが、つっかえて、
お魚逃げられ、ダメだこりゃ。
けれどマンボウのほほんと、
めげず嘆かず、ノホホンホン。
「雲さんごめんよ」ノホホンホン。
やっぱりマンボウ能天気。
焦らず怒らずノホホンホン。
雲の王子はマンボウに、
「まだまだあるから大丈夫」
今度は小魚あげちゃうよ!
マンボウ、小魚ごくりんこ。
今度はちゃーんと、ごくりんこ。
「美味しい!」、マンボウ大喜び。
ちゃんと食べられ、良かったね!
けれど、まだまだ余ってる。
お魚ピチピチ余ってる。
すると今度は、鋭い背びれ、
海の中からヌっと出た。
遂に登場、巨大ザメ。
鋭い目つきでこっちを見てる。
雲の王子はへっぴりごしで、
巨大なサメに聞いてみた。
「お、お、お魚、いりますか?」
するとジロリと巨大ザメ、
いきなり飛びつき、かじりつく。
雲の王子にかじりつく。
そしてお魚、巨大なサメに、
沢山食べられ消えちゃった。
雲の王子はフワフワの、
体をかじられ、おー痛い!
とんでもない目にあっちゃった。
けれどまだまだ沢山の、
お魚残ってどうしよう。
見ると巨大なサメ達の、
背びれがいっぱい海面に、
突き出し、こっちを狙ってる。
雲の王子は大慌て、
急いで脱出、助かったー!
すると今度は大きな声が、
「雲さん、雲さん」呼んでいる。
見るとさっきの巨大ザメ、
10匹分はありそうな、
大きなクジラが優しい瞳で、
「雲さん、お魚ちょうだいな」
ちょうど良かった、クジラさん、
お魚まだまだ、たーっぷり、
あるから全部あげましょう!
こうして残ったお魚さん、
ぜーんぶ片付き、はいスッキリ!
大きなクジラは大満足で、
見上げる空の彼方まで、
塩を吹き上げ、ありがとう!
王子はびっくり、大仰天!
とにかく魚はもういない。
綺麗さっぱり、あげちゃった。
さーて、今度はどこ行こう?
まだまだ一面、海ばかり。
けれど遠くにポツンと1つ、
小さな島が見えてきた。
本当に小さな無人島。
けれどそこには人間の、
おじさん1人、釣り糸を、
垂らしてプカプカ浮きを見る。
その時、ぐうう!とおじさんの、
お腹の音が、鳴り響く。
お腹ペコペコおじさんの、
お腹の音が、ぐーぐるり。
ぐーぐーぐるりぐーぐるり。
雲の王子は困った顔で、
どうしたものかと、考える。
お魚全部あげちゃって、
スッキリスカスカスーカスカ。
どうしたものか、困ったな。
スーカスカスカスーカスカ。
するとその時、ピチピチと、
お魚1匹飛び跳ねた。
王子の体のフワフワに、
隠れて1匹、残ってた。
良かった良かったホッとして、
お魚1匹おじさんに、
渡してあげたら、おじさんは、
泣いて喜び、「ありがとう!」
「いえいえどうもこちらこそ」
残ったお魚見つかって、
ちょうど良かったスッキリ爽快!
雲の王子のフンワリ旅は、
こうして今日ものんびりと、
気ままに揺られて続くのだ。
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