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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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91.生還と剣呑

閑静な海岸に慌ただしい排気音が響き渡り、砂浜に到着する。

「何とかここまで戻って来られたな」

「みんな大丈夫…?」

テーベを頭に乗せたまま、みんなの安否を確認する。

すると、アクエリアスは苦笑いを浮かべながら話す。

「大丈夫……じゃないね。しばらくは動けそうにない」

彼の辛そうな表情にステラは近寄り口を開く。

「やっぱり私が治したほうが…」


あれだけ大きなダメージを貰ったのだ、辛そうにするのも無理はない。

「それは駄目だよ」

フリージアが彼を見つめたまま止めに入る。

「私の事ならいいの。それよりもみんなの方が危ないよ」

ステラも彼女の言葉に負けず前へ出る。

今にも勢いで治療をしようとするぐらいだ。


だが、彼からも否定の言葉が入る。

「いや、フリージアの言う通りだ」

「アクエリアスまでそんなこという…」

まどろっこしいのか、ステラは頬を少し膨らませる。

続けてアクエリアスは途切れ途切れに話す。

「治癒術は……体力を多く消耗する。それだけならいいんだけど……君の場合は…ちょっと特別でね…」


「わたしが…とくべつ?」

それはどういう意味なんだろう?

疑問に思っていると彼は目を細めて話を続ける。

「……とにかく君が力を使うわけにはいかないんだ。いずれ君には言おうとしてた事があるんだ」

「アクエリアス!」

珍しくフリージアが声を荒げる。

驚いたのかテーベは少しだけ身震いをしていた。

すると、彼はフリージアに言い聞かせるように言う。

「君も分かってるだろう?いつか真実を知る日が必ずやってくると」


「それは……そうだけど…」

菜の花色の髪を弄り、もじもじと身を動かせる。

何の話をしているか分からないルークスは、恐る恐る聞く。

「真実?どういうことだ」

「……君達にも話そうと思ってる…だけど今は…体の傷を癒やすのが先だ」

星導光惑星エーテルプラネットとの激戦を終えたばかりだ。

特にアクエリアスは重症とも言える傷を負っている状態だ。

フリージアの治癒術により、止血はされてるもの適切な治療をしなければならない。


「そうだな…まずは診療所に行かねえとな」

「………近場まで連れて行こう。君達だけで行くと良い」

「お前は来ないのか?」

「僕とフリージア…あとアレルもね」

「なんでだ!?お前らも怪我してんじゃねえか!」

ルークスよりもアクエリアスの方が傷が酷い、それでも行かない理由があるのだろうか?

「訳アリだからさ。君が何をどう言おうが僕達が行くことはないよ」

「訳わかんねえよ…死にかけてるってのに」

頭の中がこんがらかってきて、おでこに手を押さえる。


すると、黙っていたミルキーが口を開いた。

「………分かったわ。そうしましょう」

「ミルキー?」

ステラもわけもわからず彼女を見つめる。

「コイツらにもそれなりの事情ってやつがあるでしょ?それだけのことよ」

「………それでもよ」

「アンタに一つ教えておくわ。種族ってのはエルフや獣人族ビースト、魔族に人間…それ以外にも沢山存在するの。中には人間に酷似した種族だっている。アンタならアタシの言いたいこと分かるでしょ?」


人間は誰もが知る嫌われた種族、獣人族ビーストは動物の耳や尻尾などがある種族、エルフは耳が特徴的な種族、そして魔族は人の形とはかけ離れた種族。

だが、これらの種族以外にも、この星には存在する。

表に出ていないだけで、裏では人間、他の種族に発見されないようにひっそりと生きている者もいる。

「…………」

ルークスは黙り込む、しばらくするとミルキーの意図に気付いたのか、静かに独り言を呟く。

「そうか、そういうことだったんだな」


「分かった。俺と……ミルキーはどうすんだ?」

ルークスは納得して彼女を尋ねる。

「アンタと一緒に行くわ。早めに治したいからね」

「ということで良いか?」

彼の遠慮気味な態度にフリージアは笑みを浮かせる。

「遠慮することないよ。だって私達…仲間でしょ?」

続けてアクエリアスが話す。

「元々君達を連れて行くつもりだったから構わないよ」


話がまとまりつつ、大人しくしていたステラが聞く。

「わたしは?」

「ステラは……アクエリアス達と帰ってくれ。大丈夫さ、傷が治ったらすぐに戻って来る」

そう言いながらステラの頭を優しく撫でる。

「うん、分かった。待ってるね」



     ★


サングレーザーから少し遠い場所に、うっすらとした森の中に三人の影があった。

「というわけです」

何かの説明を終えたリタースがいた。

彼の前には、二人の人影があった。

その一人は、もうひとりの男に振り向き口を開く。

「だってさ」

その少女は幼く銀色でふくらはぎまで届いた長い髪を毛先に、丸い髪留めを揺らしていた。


少女の視線の先に肩まで伸びた香色こういろの髪の男は、依然としてリタースに視線を向けたままだ。

「…………」

白を基調とした黄色い線が何本か規則的に並んでいる。どこかの国の王子様のような目立った服装をしていた。

「ええっと…俺は言ったんすよ?ヤバいって…でもユーピテルさんが」

「お前の事情など聞いていない。俺が知りたいのは彼女は今何処に居るかだ」

言い訳を言い始めたか、男は遮るように圧をかけて尋ねる。


空気が嫌というほどピリついていた…

普段から適当な態度をしているが、二人を前にそんな素振りを1ミリ見せることはない。

「……恐らくサングレーザーのところに……」

恐れているのか小声でボソボソと言う。

黒色に統一されたケープコートにミニスカートをヒラリと揺らし、興味なさそうに聞く。

「ふぅ〜ん…どうするの?」

「回収しに行く」

「え〜!別にいいじゃん。助ける必要あるの?嫌なんだけど〜」

まるで子どものように駄々をこねる。


「俺達の情報を奴らに渡すと後々面倒になる。リタース、お前は先に本拠地に帰れ。後始末は俺がやる」

淡々と伝えると男はクルリと回り、短めの前開きをした白色のポンチョをひるがえす。

「す、すみません」

後にする彼の背後にリタースは頭を下げる。

「「俺」じゃなくて「俺達」でしょ?なに私を省こうとしてんのさ」

てちてちと幼女の仕草のように男の後をついていく。

低身長の少女に視線を向けずに歩き続ける。

「来なくていい」


「ひっど〜!これまで一緒に戦ってきた仲じゃんか〜!」

「お前が勝手に付いて来てるだけだろ……」

半ば呆れてるのか頭が痛いだけなのか、頭に手を当てる。

「あっ、まってよ〜!」

二人の様子をしばらくの間、呆然と見ていた。

「……………」

リタースの視線に気づいたのか、スッとこちらに体を向ける。


「なにみてんの?」

「え、いや」

明らかにさっきとは声が違っていた。

傍から見れば少女の可愛らしい声を少しだけ低くしたものだが、彼から見れば、それとは別の何かがリタースの思考に恐怖を植え付けていた。

彼らしくもなくあたふたとしていると、少女は前屈みになりながら異様な気配を滲み出す。

「あんまりジロジロ見てると……呪い殺すよ?」


今までに無い「恐怖」という感情が溢れ出し、逃げ出したい本能にられる。

「す、すみません!」

何とか声を振り絞り情けなく走り出す。

「ふんっ……」

腕を組み、リタースの情けない背中を見送る。

彼を見ているとあることに気付く。

「あ!私を置いてかないでよ~!」

すでに男はとおい場所まで歩いていた。

置いて行かれないように男の後に付いて行った。









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