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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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85.出撃

「ふぅ~」

ステラと一緒に外へ出ていたエララがスッキリとした表情で遺跡内に戻ってきた。

「帰ってきたか。気分はどうだ?」

タルボスは視線をエララに向き、心配そうに尋ねる。

すると彼女は胸の前に手を置き、安全を伝えた。

「見ての通りだ!もう大丈夫だから安心しろ」


自分達が外へ行ってる間に進展が無かったかを確認をとる。

「それでどうだ?なにかわかったか?」

「それならもう終わったわよ」

「え?」

ミルキーの返しに呆然とする。

半信半疑のように地面を見渡すと、エララが出ていく前にあったはずの模様が消えていた。

「ああ、実は……」

ルークスはさっきまでのことを簡潔に話した……


「そうだったのか…あんまり役に立てなくてゴメン」

少し外の空気を吸いに行ったつもりが、もう終わっていたなんて思わなかったのだろう。

しょんぼりとする彼女にミルキーが話し掛ける。

「なんでアンタが謝んのよ。相手がアンタ達じゃなかったら、こんな順調にいかなかったわよ。逆にアタシ達が礼を言う立場なのに…十分助かってるわ。ありがとう」


「えへへ…そう言われると照れるな…」

目をそらし照れた表情を隠す。

「術式を解いたことだし、あいつらのとこに行こうか。タルボス、エララ。世話になったな」

「もてなすことが出来ず済まないな」

「いいって…別にお前らが悪いわけじゃねぇんだ。全部人間が悪いことだからよ…気にすんな」

十年以上前からある人の業は今でも深く根付いている。

ルークス自身はこの問題をどうにかしたいと思ってはいるが、そう簡単に解決できる事ではない。


「人間は嫌いだ。でも、お前だけは特別だ。また何かあったときは遠慮なくあたし達を頼ってくれ。力になるよ」

「ルークス。お前にコレを渡しておく」

タルボスに手渡されたのは小さな羽のようだった。

「こいつは…?」

「これは俺達と友好の証だ。獣人族ビーストは人間を嫌ってる。だが、お前みたいな変わった人間がいることも理解している。信用できる人間にこの証を渡すことが俺達のルールなんだ。もし他の同族に見つかっても慌てずそれを見せると良い。少なくとも敵対関係にはならないだろう」

心底からルークスは嬉しく思った。

色々と終わってる人間を未だに信用しようとする心意気があることに


少し戸惑いながらも話す。

「いいのか?ちょっとの間だけだったんだが…」

「お前も他の者も信用できると判断したまでだ。持っていくといい」

「タルボスがここまで言ってくれるのは珍しいことなんだぞ。自身を持て」

獣人族ビーストからこれほどまでに信用されたのはヒマリア以外では初めてのことだった。

「ありがとな」

「アンタ達も気をつけなさいよ~」

ステラは元気よく手を振る

「またね。タルボス、エララ!」

「ああ、また来いよな~」

二人には見送られながらマイヤー湖畔をあとにするのだった。


(コーディリアに戻る機会があったらヒマリアに礼を言わねえとな…)

サングレーザーに出発からマイヤー湖畔の獣人族ビースト…どれもヒマリアの手助けが無ければ苦労をしていた。

彼女と出会った際、何か美味しい食べ物でも奢ろうと思いながらクロイツ海岸へと戻っていった。



    ★



ルークス達は無事にマイヤー湖畔にある術式を解除してきた。

多少の予想外はあったものの悪いものでは無かった。

「あいつらは……まだみてえだな」

海岸は誰の姿も無かった。

静かな空間にさざ波をたてる心地よい音が広がっていた。

彼らを待っている間、ボーっとしようとしたが不意に背後から聞き覚えのある声が耳に入る。

「やぁ」

「うわっ」


思わず背後に振り返ると、爽やかな表情をしたアクエリアスが立っていた。

その隣にはフリージアがいた。

「あははは…ごめんごめん。驚かせるつもりは無かったんだ。それでどうだったかな?」

「ああ、じつは―――――」

ルークスはマイヤー湖畔で出会った獣人族ビーストのこと、遺跡の中で隠れてた見知らぬ人の事を教えた。

「術式を隠す……か」

「いきなりの事だったから、逃がしてしまったけど…」

「いいや、それでいいさ。お疲れだったね」


「君達の言う人は後でスピカとレグレスに探してもらうように手配しておくよ」

「そういえば、その二人はどこ行ったんだ?」

この場にスピカとレグレスの姿がない。

星導光惑星エーテルプラネットの人間を捕まえたことは覚えてるかな?あの三人を別の場所に移したのさ。まだ情報を持ってる可能性があるからね」

ルークス達が術式の解除をしに行く前に、海岸でとっ捕まえた下っ端達を移動させていたらしい。

彼の口振りからして、まだ情報があるそうだ。


ステラにあの光景が横切り心配そうに尋ねる。

「また酷いことするの?」

すると彼は笑みを浮かばせ否定する。

「安心して、そんなことはしないよ」

それを聞いてホッと安堵する。

「……それならよかった」

「で、いつ出発するの?結界は解いたんだよね?」

ミルキーが待ってられないのか少し早口に喋る。

「まあまあ、そう焦らない。フリージア、追跡の方はまだ可能かい?」


フリージアは手を前に出すと青い光を出しながら術式が浮かんできた。

しばらくそれを見ていたが、次第に小難しそうな表情に変わっていった。

「……ちょっと怪しいかもしれない」

「バレたの?」


「うーん…」

彼女は反応が悪そうに唸っている。

すると、言葉の一つ一つをひねり出すかのように話す。

「何ていうのかな…違和感?」

「どこか気になるのかい?」

「……ここから動いてないの」


「……?」

彼女の意図に理解が出来ず黙ってしまう。

それに気付いたフリージアは慌てて準備を始める。

「ああ、ごめん。いま映すね」

ピッと機械音が鳴ると、さっきまで出ていた追跡の術式が展開されていき、立体的な見た目に変化していった。

なんとなくだが、展開された術式はどこか見覚えのある場所となっていた。

ステラは目を輝かせながら質素な感想が出てきた。

「うわっ、なにこれすご〜い」


「術式の開示ね」

「開示?」

「簡単に言うと自身の術式を他人に見せるってことよ」

ミルキーの言ってることにイマイチなのか惚けた顔をする。

「…?いみがわからない…」

「今はそれでいいわ。後から覚えればいいし…それで、これが追跡の術式かしら?」

「そうだよ、これを見て」

すると、フリージアは青く点滅をしている光に指をさした。


「この青い光が敵の居場所なんだけど…さっきから動かないの。これっておかしくない?」

そう言われて見てみると確かに光は点滅してるだけで、動きは無かった。

今は休憩中か、それとも動く必要がないだけか…

「普通…なんじゃねえのか?」

ルークスの質問にアクエリアスは呟く。

「場所がそうでなければ…ね」

「どういうことだ?」


「海峡といっても海と変わらない。陸地ならともかく不安定な場所から微動だにしないのはおかしい…と君は言いたいんだね?」

視線を不安そうなフリージアに向ける。

「うん。私の仕掛けた追跡は少しの動きでも反応するタイプだから、おかしいと思って…変じゃないかな?」

あまり自信がないのか、途中から声が聞き取りづらくなってしまう。

「何があろうとも僕達は行かなければならない。たとえ罠が仕掛けられてもね。ここで待ってるよりも実際に行ってみないと分からないじゃないかい?」


「大丈夫だって、もし罠だったら俺達がどうにかすればすればいいだけの話だろ?」

今までの経験からしてこの自信なんだろうが、この先も上手くいく保証なんてない。

「簡単に言ってくれるわね…そう上手くいくのかしら?」

フリージアは自分に言い聞かせるように喋る。

「みんなごめん。心配にしすぎたかもしれない。そうだよね、皆んななら…行けるよね…」

海岸に停めてあるスピカの乗り物に近付き確認をする。

「今回は僕が運転するよ、準備が出来たら声をかけてくれ」


全員が準備を終えると一同はアレルの救出のため、マースデン海峡へと向かっていた。








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