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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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83.潜む影

茂みの中へ突き進んでいくと、道のできた場所に歩いていた。

普段から目にしている綺麗な道ではなく、最低限の幅を空けさせたものだと思える。

おそらく辺りに住んでいる獣人族ビーストが作り出した道なのだろう。


「あ、そういえば自己紹介がまだだったな。あたしはエララ」

「タルボスだ。お前たちのことはヒマリアから聞いているが、そっちの嬢ちゃんは?」

「私はステラ。ステラ・バイナリー。この子はテーベちゃんだよ」

ぷるぷる…と静かに震える。


タルボスが関心したふうに呟く。

「珍しいな…魔物を飼いならすとは…」

「む、テーベちゃんはペットじゃないよ。私達の仲間だよ!」

想像以上に怒ってきたので、取り敢えず謝ることにする。

「す、すまない。そんなに怒るとは思わなかったのでな」

「でも実際、変わらないんじゃない?ほぼペットみたいなものだし」

「ミルキーまでそんな事言うの?」


ぷるぷる!激しく体を震わせると、ミルキーに向けて素早く粘液を飛ばす。

「うわっ!?」

頭を下げて何とか避ける。

ステラがじっとりとした目で彼女を見つつテーベを撫でる仕草をする。

「ほら、テーベちゃんも怒ってるよ」

再び粘液を飛ばそうとしてるのか、体を震わせ始める。

「わかった!わかったから。アタシが悪かったって!」

ぷるぷる…ミルキーの言葉が理解できてるのか、元の状態へと戻っていった。


いつも通りの光景に半ば呆れた風にルークスが聞く。

「落ち着いたか?」

「うん、テーベちゃん許してくれるって、良かったね」

不思議そうに見ていたエララが尋ねる。

「……なぁ、コイツってどこで出会ったんだ?」

「ん?ああ、迷いの森ってとこだよ。コーディリアの南にある道」

指を立てて過去に行ったことのある素振りを見せる。

「あそこか。でもそこって珍しい魔物って居なかったよな?それにこの種類のスライムも見たこと無いし…」


先頭を歩いているタルボスは前の道を気を付けて進みながら話す。

「先ほどの会話からして、テーベは俺達の言葉を理解しているようだな。通常スライムは知能を司る器官を持っていない。それ故に俺達とコミュニケーションを取ることは出来ないはずだ。だがコイツに関しては俺達の言葉に反応し明確な意思を持って返してくる」

口も無ければ脳も存在しない。

では、どのように生存しているか…それは心核ハートコアと呼ばれる特殊な物質があるからだ。


心核ハートコアはスライムだけが持つ物質。

今でも詳しくは知られてはいないが分かる範囲だとソレは心臓と同じ機能を果たしていることだけ。

心核ハートコアを破壊すれば、その持ち主のスライムは蒸発し消えていったっと記録に残っている。

「知能を持ったスライム……じゃねえのか?」

ルークスの答えに彼は否定する。

「いいや、ゲル状の魔物に限ってそれはないと思う。そもそもの話だが…魔物自体に知性や品性といった、俺達に有るものが奴らには無いからな。あいつらにあるのは本能だけさ」


仮に多少の知性があったところで、本能には勝てず支配されてしまう。

故に魔物は誰からも警戒される種族となった。

「でもさタルボス。そうはいってもコイツは明らかに普通のスライムじゃないとあたしは思うんだ。

他のスライムと比べてニオイが違う」

ステラはヒョイとテーベを抱きかかえて、顔を擦るように全力で嗅ぐ。

だが、そこから臭うのは、ただの湿気臭さだけだった。

湖畔に海岸…サングレーザーに行ってからというものの、大地や草木、自然と触れていたので知らないうちに付いたかもしれない。


「におい?」

エララは微笑むと自慢気に口を開く。

「あたし達は鼻がいいからな。ニオイで相手がどの種族か嗅ぎ分ける事が出来るんだ」

「それなら知ってるよ。ちょっと前にミルキーに教えてもらったの」

「そうなのか?なら話は早いな。このスライムからは魔物特有のニオイがする。でもそれと同時に変なニオイが混じってるんだ」


「変なニオイ?」

小難しい表情になり、どう例えるのか迷いながらも答える。

「うん。そのニオイは人間に近いものだけど人間じゃないみたいな…とにかく判別が難しいんだ。こんなこと今までになかったんだが…」

ボソッとミルキーが呟く。

「人間に近いものね…」

「ふにゅ?ミルキーしってるの?」

首を横に振る。

「ううん。サッパリね。人間に近い種族がいないか考えてみたけど、どれも程遠い存在ね」


「ふーん?でもエルフとか獣人族ビーストとか人の姿だよ?」

細かいところを見れば人間とは大きく違っているが、パッと見ると人間とはそう変わらない。

「姿特徴が似ていても本質が違うのよ」

難しいことが苦手なのかルークスは適当に話を切り上げる。

「まあ、なんでもいいんじゃねえのか?テーベはテーベだろ?それでいいじゃねえか」


頭に手を押さえて呆れてモノも言えない表情になる。

「アンタ適当な事を言うわね…」

「そうだよ。ルークスの言うとおりだよ!色々と考えたけど、テーベちゃんは私達の仲間!」

「…………」

呆れを通り越し口が開いたまま呆然とする。

「賑やかの中入るが目的地に着いたぞ」

タルボスにそう言われて先を進むと、奥に遺跡のような建築物が目に入って来た。

この遺跡の周りだけ雑草は生えてなく、歩きやすい石の道となっていた。


タルボスが追い払ったと言ってはいたが、ルークスの想像以上に激しい戦闘の痕跡が確認できる。

「あら、コイツの事を話しているうちに着いてたのね」

ルークス達は外側を人通り確認する、幸いにも遺跡自体はかなり小さくすぐに一周回ってきた。

「小さな遺跡…か。あいつらの情報通りだな。中の方は……何もねえな…模様があるって言ってたよな?あいつらここに来てたのか?」

タルボスの情報では模様があると言ってたが、そんなものは見当たらず、それどころか何も無いのである。


「間違いないはずだ。ずっとこの目で見てたから。それにニオイも残ってる。模様は……どこにいったのかわかんないけど…」

これも星導光惑星エーテルプラネットの仕業なのか?

「とりあえず怪しいところが無いか探してみようか」

一人一人別れて遺跡内を隅々まで調べ上げに行った。



     ★



あれから探しては見たが、模様どころか術式すらなかった。

(なんの手がかりもねぇな…他のやつはどうしてるかな。様子でもみてみるか)

他の皆んなのことが気になり、まずはタルボスに聞きに行った。

「どうだ?なにか怪しいものがあったか?」

ルークスの問いに彼は即答する。

「無いな」

「そうか…」

「この付近だけ人間のニオイが濃く発している。それに模様が消えたことにも気になるしな。俺はもう少し、この辺りを探してみる」

「ああ」

そう言うとルークスはゆっくりとエララの方へと歩いていった。


「どうだ?進展はあったか?」

地面を調べていた彼女は立ち上がり、こちらに向く。

「お前か。ううん、今のところは…。お前はどうなんだ?」

「こっちも見ての通りだ」

「そっか、うーん…絶対このあたりにあると思うけどなぁ…」

「ニオイが強いのか?」

「うん。他の場所と違ってここだけ人間のニオイが強烈にするんだ。もうちょっとだけ見てみるよ」

エララは別の場所を調べに行った。


遺蹟の端っこに座り込んでいる少女がいた。

「よっ」

彼の呼びかけに気づくと元気よく手を振る。

「あ、ルークス。なにか見つかった?」

「いいや、なーんにも。ステラはどうなんだ?」

「わたしも…えへへ…」

「今は休憩中か?」

「うん。ちょっと疲れちゃった。ルークスもどう?一緒に休憩する?」

ポンポンと自分の隣の地面に手を叩く。

「んー、そうだな…ミルキーの様子を見てからにしようかな」

「そうなの?じゃあ私まってるね」


ステラから離れてミルキーの様子を見に来た。

「どんなかんじだ?」

「………」

集中してるのか黙ったまま手を動かし調べている。

「おーい、聞こえてるか?」

わざとらしく声を上げて聞いてみると、彼女は鬱陶しそうに立ち上がり、こちらに振り向く。

振り向く前にガチャガチャと音を立てたが特に気にはしなかった。

「うっさいわね…聞こえてるわよ。なに?今忙しいんだけど」

「調子はどうかなって」


「はあ、見てわからない?手詰まりよ」

「意外だな。お前ならすぐに解決してくれると思ったんだが」

「アタシはそんなに万能じゃないから…で、アンタは…って聞くまでもないわね」

始めから期待していない…そんな声色だ。

「なあ、術を使う時って光星エネルギーを使ってるんだよな。お前のその光星なんちゃらってやつを使えば一発で分かるんじゃねえか?」

頭に装着していた視覚化機を弄りながら答える。

「バカな質問ね。そんかのもうとっくに試したわよ。術式どころか光星エネルギーすら見当たらなかったわ。あと光星なんちゃらじゃなくて光星エネルギー視覚化機よ」


振り向く寸前ガチャガチャと音がしたのはコレが原因のようだ。

「あいつらはここに来てなかったとか?」

「考えにくいわね。あのときの連中が嘘を付ける余裕があったとは思えないし、それにあの二人の情報もある…きっとここで合ってるはずよ。アタシ達が気付いていないだけ…?それとも意図的に隠したとか…?」

「細かく調べる…か。仕方ねえ、地道にやってくしかねえな」

はぁ…とため息を付きルークスも一旦休憩しようと、地面に手を伸ばす。


ルークスは何か違和感に気づく、地面に触ったはずなのに、その手の感触は柔らかく暖かかった。

「…………」

そこにはうずくまる少女の姿があった。

「………あ?」

ルークスは後ろに振り返り少女を見る。

「ひゃ……」

空気の抜けた声が出ると次の瞬間、少女は今までになかった焦った表情になり叫びだす。

「ひょええええええ!!」

「うわああああああ!?」

思わずルークスも叫んでしまった。


そんなことをしている内に謎の少女は小動物のように逃げ回る。

「どきなさい!」

魔導書を開き術を発動させる。

小さな氷柱が生成し、少女に向かって放つ。

「あわわわわ!」

ジグザグと移動し器用に避ける。

「そこだ!」

タルボスが遺跡の一部を強引に取り剥がし砕いた石を投げつける。

「ひゅい!?」


飛んできた石はペキペキと地面の衝突する音に溢れる。

「コイツ…!一体どこから出てきたんだ!?」

一足遅れてエララは弓を手に取る。

「ルークス」

ステラがこちらに走ってくる。

「ステラ!大丈夫か」

「うん、大丈夫。ちょっとビックリしただけだよ。それよりも…」

投石の衝撃が煙を引き立てていたが時間が経つと薄れていき、全員が見た先には謎の少女がオドオドとした様子で立っていた。

「あわわわ…」










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