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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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80.結界の術式

ゴォーと排気音と車体を走らせる音で辺りを響かせていた。

現在サングレーザーから移動を始め、クロイツ海岸へと向かっていた。

馬車とは比べ物にならないくらいの速さで大地を駆け巡る。

前回のこともあってか、今回はフリージアが運転をしていた。


「相変わらず速えんだなコレ」

車体の窓から外の景色を堪能し、質素な感想を述べる。

すると、スピカが反応をしてこちらに近付く。

小さな胸の前に手を添えて自慢気に喋る。

「そうでしょそうでしょ?コレ、アルゲティが私専用に作ってくれたんですよ~☆」


「アルゲティって確かあのメガネの事よね。アイツこんなものも作れちゃうの?」

「うん、彼は昔から機械をいじったりするのが好きだってシャーリィさんが言ってたよ」

聞き覚えのある名前に過去の事を思い出しながらステラが話しかける。

「シャーリィ?それって赤色っぽい髪をした女の子のこと?」


すると、レグレスが少し驚いた様子で話す。

「ん?まさか貴様らはアイツに一度会っているのか?」

「うん、変わった女の子だったけど優しかったよ」

シャーリィより大きな剣と全身にポツポツと血痕があることを除いては優しそうだった。

愚痴をこぼすように小さく呟く。

「優しかったというよりさらわれそうになったんだけど」


レグレスと同じくサダルメリクも驚きと意外の混じり合った態度を見せる。

「そ、そうなの…?あの人を前によく無事にいられたね」

彼女達の仕草にミルキーは疑問を持つ。

「うん?その言い方だと何か訳ありなわけ?」

すると、彼女が何かを答えようとした瞬間に突然、隣から大きな声が響く。

「あ!」


ルークスの唐突な声にステラはビクッと体を震わせる。

「わわっ!?どうしたのいきなり大声を出して…ビックリしたよ〜」

「わ、悪い、今ちょうどシャーリィの話で思い出したんだがお前あのとき何か喋ってなかったか?」

視線をスピカに合わせる。

しかし、彼女はとぼけたように軽く流す。

「ん〜?何のことかな~☆」


「知らないフリしても無駄だぜ?あのときしっかりと聞いていたからな。内容はあまり覚えてねえけど…」

アルゲティと会話をしているところを彼は聞いていた。

しかし、肝心な部分を聞き逃していた。

「覚えてないなら別に言わなくてもいいわよ。どのみち今からソイツの事を聞くことだし」

前にステラから聞いた限りシャーリィという少女は、白衣の格好をしていて、少女よりも大きな剣を持っていたということ。

それに加えて、ステラを連れ去ろうとしたこと。


この情報だけでミルキーは危機感を持っていた。

現在目的が判明していない彼ら達の知り合いならば警戒は怠ってはいけない。

彼女の事を聞こうとした手前、運転席の方から声がした。

「話の途中で悪いけど目的地についたよ」

どうやら海岸付近まで来ていたようだ。

ステラが残念そうに話す。

「え〜シャーリィの話が気になるのに…」

「アレルさんを助けたあとにシャーリィさんの話をしますから、そう残念がらないで下さい」

メイド服をひらつかせながら、彼女の機嫌を取る。


納得が出来ないのか、その場で立ち止まる。

「むぅ…」

背後から男に話しかけられる。

「何をしている?早く降りろ」

「あ、ごめん」

レグレスに言われると反射的に体を動かし謝る。

サダルメリクが間を取り、少し怒りっぽい口調で話す。

「もう、ステラさんにその態度をとることないでしょう?」


視線を合わせずに車体から降りる。

「いつまでも喋っている貴様らが悪い」

「ほんとレグレスってせっかちさんだね〜☆少しは待つことも出来ないのかなぁ~?」

ちょんちょんと指で小突く。彼女の話し方に苛立ったのか、スピカの方を振り向き視線を落とす。

「今この場で叩き割っても構わないが?」


二人がグチグチと喋っている最中、フリージアが小声で制止する。

「しっ、そこまでだよ二人とも」

ルークスがなんだと思い、岩に隠れている彼女の様子を伺う。

「どうしたんだ?」

すると、アクエリアスが海岸方面に指をさす。

「アレを見なよ」

さされた方向を見てみると、そこには見覚えのある黒服の男達が居た。


ミルキーが身を乗り出し、驚いた声を発する。

「あっ、アイツらって星導光惑星エーテルプラネットの連中!?」

慌てて彼女の肩をグイッと下げさせて身を低くする

「み、ミルキーさん。静かにお願いします」

「ごめん」

あれだけ大きな声が響いたにも関わらず、彼らはこちらに気付いていない様子だった。


軍服の前に手を添えてホッとした声を出す。

「幸いにもまだ気づかれてないようだね」

ルークスが相手にバレないように小声で話す。

「嘘だろ?近くまであの乗り物で来たんだぜ。普通は気づきそうなんだが?」

スピカの乗り物は騒音と言えるレベルのものだった。

間近まで行かなくとも、ある程度離れた場所でも聞こえるはずだ。


「人間は時に集中力を高めると周りが見えなくなったり、聞こえなくなると聞いたことがある。まさに今がそうだね」

隣りに居たフリージアが作戦を仰ぐ。

「下らないこと言ってないで次にどう行くか教えて」

耳の青いピアスを揺らし、敵を見据えて一言放つ。

「襲撃する」

彼のやり方に反対なのか、ステラは見上げて話す。

「平和的に話せないの?」


「あの人達に私達の話を聞いてもらえると?」

「こーいう時は暴力が一番ね。さっさと行くわよ」

魔導書を取り出し戦闘態勢に入る。

彼女達に合わせてルークスも剣を引き抜き準備を始める。

「ミルキーのやつ…やる気だなぁ。ステラ。お前は下がってくれ。俺達がやる」

力で解決しようとしてる彼らを目をつむり諭そうとする。

「暴力は駄目だよ。いくら悪い人でも話し合えば分かってもらえるよ」


彼女が話している間、バタバタと忙しない足音に気付き目を開ける。

そこには誰もおらず、すでに戦いに行っていた。

スピカが隣に近付き、片目をウインクし話しかける。

「あらら、行っちゃいましたね☆あの感じだと…ステラちゃんの話、何も聞かずにいってますね〜☆」

「………」

彼女は呆然と立ち尽くす。


手を前に掲げ何かの確認を済ませると他の二人に向かって話す。

「これでいいだろう。引き上げるぞ」

男が振り向いた瞬間にアクエリアス達が目の前まで接近していた。

男達がビックリしつつも素早く戦闘態勢に入る。

「何だ!貴様ら!ぐはっ!」

しかし、急な状況に対処しきれないのか一人の男がやられる。


「敵襲か?!」

瞬時に相手の背後に回り攻撃を繰り出す。

「水影・斬!」

「がはっ!?」

呆気なく、もう一人の男を撃破する。

「何者だ!我々に手を出せばタダじゃ済まされんぞ!」

「はいはいそーですね」

敵の脅迫に怯まず適当にあしらう。

「なっ、ま、まて、今なら見逃してやるから」

「吹っ飛びなさい!アクアブラスト!」

4つの水塊が男にぶつける。

「ギャー!」

水塊が破裂し辺りに小雨を降らせる。


手を払い残党が居ないか周りを確認する。

「さてと…これで全員かな?」

三人の男をスピカの魔術により紐を生成し縛り上げる。

魔導書をしまいステラの隣に移動する。

「思った以上に手応えが無かったわね。お陰で簡単に倒せたわ」

「暴力は駄目って言ったのに…」

文句を言いたげそうに呟いた。

「別にいいでしょ。そもそもあいつらから喧嘩売ってきたことだし、やり返しただけよ。で?アンタ達はこんなところで何してたわけ?」


「…………」

ミルキーに問い詰められるが、黙ったまま睨み返す。

アクエリアスが近付き、少し笑みを浮かせ話しかけた。

「おや、だんまりかい?」

「お前たちに話すことは無い」

「……知っていることを今のうちに話したほうがいい」

縛られている状態だが威勢よく返す。

「聞こえなかったのか!お前たちに話すことは何も無い!」


ふむ…と手を顎につけて困ったかのように悩み始めた。

「……仕方ないね」

彼が何か決心をしたのかポツリと一言呟くと、ポケットから綺麗な液体の入った瓶を出して、片手を前に突き出し術式を浮かび上がらせる。

液体が術式によって混ざり合い三人の男達を粉をまぶすように降りかかる。

次の瞬間、男達の叫び声が辺りを埋め尽くす。

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!?」


異様な光景に堪らずルークスは後退あとずさる。

「な、なんだ!?」

さっきとは違い冷酷な目つきで相手を見下す。

「君達の中に星水せいすいを送り込んだ」

聞いたことのない名前にオウム返しする

「せ、せいすい…?」

「この星の奥深くにある特殊な水さ。コレを人体に取り込むと軽い拒絶反応を起こす。それは想像を絶する痛みを伴う。さて、もう一度問う。ここで何をしていた?」


「………」

彼の威圧に負けず無言を貫く。

喋らないことを確認すると何も言わず三人に星水せいすいを入れ込む。

「ぐわぁぁぁぁぁ!?」

再び男達の叫び声が響く。

聞いているだけで痛々しいのが、こちらにも伝わってきた。

「答える気はないかい?」

軽く笑みを浮かせて手に持っている瓶をちらせながら聞く。


「あ……が……」

あまりの苦痛に彼の言葉が聞こえていないのか悶えている。

「………」

アクエリアスが再び瓶を術式に組み込み始めた。

すると、一人の男が彼の動きを止めるように言い始めた。

「わ、分かった。は、話す…話すから……これ以上……やめてくれ…!」


手を止めて質問する。

「ここで何をしていた?」

「け、結界を…組み込んでいた…」

「………」

躊躇っているのか言いにくそうにしている。

黙ったまま手を動かそうとすると、男は焦りだし話の続きをする。

「ゆ、ユーピテル様の命令で……お前達を足止めするために…時間稼ぎの…結界を…」


「それで結界を解除する方法は?」

「そ、それは……」

「おや?もう一度、苦痛を浴びたいようだね?」

ニッコリと笑みを浮かばせる。

その笑みは決して優しいものではなく狂気のものだと悟る。

「マイヤー湖畔とクラフト峡谷に結界の術式がある…それを消せばマースデン海峡付近にある結界はなくなる。もう話したんだ…こ、これでいいだろう?」

男は懇願するように必死になる。


「いいや。まださ」

アクエリアスがそう言うと男が言い返す。

「俺達の知ってることはこれで全部だ!」

「ユーピテル様に命令通りに動いただけ!これ以上なにも知らない…もう許してくれ…!」

「君達から星導光惑星エーテルプラネットの事を聞こうとしてるわけじゃない。結界の術式がある2つの場所はどこにあるかを聞きたい。マイヤー湖畔とクラフト峡谷の何処にその術式があるんだ?」


「マイヤー湖畔は北部に獣人族ビーストの小さな集落がある。その近くに古い遺跡があって中に結界の術式がある。クラフト峡谷は中層にある小さな小屋にある。あそこは人工物が無いからひと目で分かるはずだ」

「嘘じゃないんだね?」

念押しに聞く彼に男は清々しい態度で話す。

「嘘をつく必要が今の俺達にあるか!?信用するかどうかはお前達が決めればいい。それよりも俺達は知ってることを話したんだ。解放してくれ…」



「それを決めるのは僕さ。万が一にも嘘を付かれ逃げられたりしたら溜まったもんじゃないからね。スピカ。コイツらを拘束しておいてもらえるかな?」

そう言われると彼女は今縛っている紐よりも丈夫そうな紐を作り上げる

「はいはーい☆」











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