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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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75.出発

「お、お前は!」

少し前にアルゲティと一緒にいた少女スピカの姿だった。

向こうも予想外なのか戸惑った風に見える。

「あれあれ~?どうして君達がアクエリアスさん達と一緒にいるんですか~?」

「お前の言っていた助っ人ってのは…」


「そう、彼女だよ。君達も知り合いの方が色々と話しやすいだろう?」

「話しやすいというか敵なんだけど…」

ミルキーやステラはリゲルの一件以来、一度も会っていなかったので、あの時ほどの敵対心は薄れていた。

スピカは馴れ馴れしく話しかけながら近付いてきた。

「も〜そんな事言わずに仲良くしましょうよ〜☆私と君達の仲じゃないですか~☆」


王都に戻る際、一度襲われてるルークスからしてみれば、あまり信用が出来ない。

「お前と仲良くなった覚えは―――――」

「ルークス。今はそんなこと言ってる場合じゃないよ。それに………えーっと」

彼女の名前を忘れたのか頭を抱えだす。

それに察したのかステラの隣でボソッと呟く。

「スピカだよ☆」


「スピカちゃんも今は協力してくれるんだから仲良くだよ」

ステラの背後に回りぎゅ~っと抱き着く。

「えっへへ〜ステラちゃんは可愛いだけじゃなくて優しいんだね〜。話の分かる娘で良かったよ」


ステラとじゃれ合っていると苛立った声が飛んできた。

「おい貴様ら、そこで雑談する暇があるならさっさと乗れ」

ジトーッとした目で面倒くさそうに話す。

「レグレスってホント上から目線だよね~。そういうとこ直した方がいいよ?」

「貴様こそ、そのウザったらしい喋り方を直すんだな。聞いているこっちがイライラする」


「おやおや〜?もしかして怒ってます?短気は損気ですよ☆」

片目をウインクし煽るように話すと、レグレスは自身の背中に担いでいる大剣に手をかける。

「………出発の前にまずは貴様の頭をかち割る必要がありそうだな」


今にも暴れそうな雰囲気にサダルメリクは急いで仲裁へ入る。

「ちょっとちょっと!二人とも喧嘩は駄目ですよ!」

「喧嘩するのはいいけど、今はクラフト峡谷に行かないと…」

この事が日常茶飯事なのかフリージアは淡々と話していた。


「チッ。まあいい…この問題が片付いた後、覚えておくんだな」

「なんか大丈夫なのかしら…心配になってきたんだけど」

あはは…と苦笑いを浮かべながら返す。

「あの二人はいつもああだからね。さあ、君達も乗って」

「あ、ああ…」

アクエリアスに流されるままスピカが乗ってきた車のような機械の中に入る。


中に入ると意外と綺麗に片付けられ、これから遊びに行くのか無駄に大きなピンク色のソファーが真ん中のテーブルを囲むように設置している。

外装の大きさから大方予想はついていたが、機械の中はかなりの広さとなっていた。

「おおー!なんか……すごいね!」

一番にステラが入り、当たり障りない感想を述べる。


今までに見たことの無いような反応を示しながら辺りを物色するように見渡す。

「確かにそうね。こんな乗り物…見た事がないわ」

最後にスピカが乗ってくると一人一人に人数の確認を取り、運転席へ着く。

「みんな乗ったね?それじゃあ出発〜☆」

ブウゥゥゥゥゥンとエンジン音を響かせ発進する。

今までの移動は歩行か馬車のどちらかだが、この機械の車のスピードはルークス達の想像を遥かに超える速さだった。


どんどんと遠ざかっていくサングレーザーを窓から見ながら尋ねる。

「馬車なんて比べもんにならねえくらい速いな。これも星導光エーテルを使ってんのか?」

即決でレグレスが答える。

「そんなものは使っていない」


何か不審に思ったミルキーは問い詰めるように聞く。

星導光エーテルを使わずにこんなスピード出せるわけないじゃない。一体何を使ってんのよ?」

これを聞かれるのがマズいのか慌てふためく。

「それはね…ええーっと、どう説明をすればいいのかな…」

困っているフリージアにサダルメリクが代わりに答える。

「私達の特殊な力を使って動かしているんですよ。ね?」

チラッとアクエリアスの方を見る。


「まあ、そんな感じかな」

「いや、なんの説明もしていないんだけど…」

不完全燃焼気味にモヤモヤとしているとアクエリアスは微笑みながら話す。

「君は何かと気にし過ぎなんだよ。いちいちこういうのに反応してたら疲れるよ?」


星導光エーテルの研究をしてる身として、こういった些細な事を見逃さない訳にはいかないのよ」

話している途中にステラがテンション高めで話しかけてきた。

「ミルキーここ見て!すごくキレイだよ!」

「はぁ…アンタは少し静かにすることが出来ないの?」

「なにしてるの!早く見ないと通り過ぎちゃうよ!」

「おまけに人の話も聞かないし……はいはい、今いくわよ」

結局アクエリアスから、この機械の事を聞き出せずステラと一緒に風景を楽しむことにした。



       ★



あれから数十分後…

草原を走り抜けてゴツゴツとした土地になっていた。

窓から少し先に木が生い茂った峡谷が見えてきた。

「みなさ〜ん。目的地が見えてきましたよ~☆」

「着いたね。スピカ、あの辺りで止まってくれるかい」

アクエリアスがそう指示を出すとスピカは素直に応じる。

「はいは~い☆」


キキーッと甲高いブレーキ音を鳴らし停止する。

「さてと、クラフト峡谷に入る前に君達にお願いしたい事があるんだ」

「お願い?」

「ああ、ここからは2グループに分けて進む」

すぐさまミルキーが突っかかる。

「は?なんでよ。この峡谷が危険だってアンタ言ってたわよね?」


アクエリアスからの情報ではクラフト峡谷には凶暴な魔物がいるらしい。

今のところ黒い魔物の姿を見ていないが、いつ現れるかもわからない。

それに加えて足場が不安定な場所でもある。

こんな場所で魔物と戦うのは得策ではない。

仮に戦闘が起きても人数が多い方がいいだろう。


「確かにここは凶暴な魔物や不安定な足場で危険だ。だが、このまま全員で奴らに会うのはそれ以上に危険だ。奴らも馬鹿ではない…ある程度こちらの動きを予想をしてくるだろう。それに向こうには人質もいる。いくら数で攻めても人質のアレルがいる以上、迂闊に行動が出来ない」

「じゃあどうするんだ?辿り着く前に魔物にやられたら意味ねえぞ」


「僕達は魔物の扱いに慣れてるから問題ないよ。ステラも魔物の言葉とか分かるだろ?」

頭の上で大人しくしているテーベに触りながら話す。

「うん。魔物さんと話し合いをしたら仲良く出来るから大丈夫だよ」

王都の迷いの森で出会った巨大なサソリ型の魔物と会話をしていた事を思い出す。


ステラと同じなら魔物の事については心配ないが、だからといって警戒しない訳にもいかない。

「………いつまでも悩む訳にもいかねえしな……分かったよ。そんで分かれてどうするつもりだ?」

「奴らに奇襲を仕掛ける。僕とメリーとレグレスの3人で奴らの背後を取り、アレルを取り返す。とにかく奴らからアレルを取り戻さなければ全てが後手に回る事になる。それで君達はフリージアと一緒に真正面から奴らと対面して、なんとか隙を作ってほしい」


なんとか隙きを作るのが難しい。

何せ相手はあの星導光惑星エーテルプラネットだ。

ルークス達も一度しか戦っていないが、あの時アクエリアスの助けが無かったら今頃どうなっていたか…

「なんとかね…やれるだけやってみるけど、あんま期待すんなよな」

苦笑いを浮かべながら話すとアクエリアスは楽観的に言う。


「あははは、大丈夫だよ。君達なら上手く出来るさ。さて僕達は先に行くよ」

心配そうフリージアは静かに見送る。

「うん…気をつけてね…」

「ああ」

レグレスに続きサダルメリクが降りて次にアクエリアスが降りようとした直後こちらに振り返る。

「おっと君に言い忘れてた事があった」


「なんだよ?」

「もし、あいつらと戦うことになったら極力君の能力を使わずに戦ってほしんだ」

「俺の能力?」

「そう、君の持つ力…光星エネルギーを吸収する力。これを上手く使えば奴らに隙を出せるかもしれない。もちろん状況によって躊躇いなく使ってほしい。君達の命が優先だからね」


「まあ、そうね。アタシもアンタの力を初めて見た時、何が起きたか分からなったしね。不意打ちには使えるんじゃない?」

光星エネルギーは通常であれば肉眼では捉えられない。

ミルキーの持つ光星エネルギー視覚器のような物がない限り、すぐには気付かれないだろう。


「余裕があれば考えておくよ」

運転席の方から文句を言いたげそうな声が聞こえてきた。

「いつまで話してるんですか~?さっさと出て行って下さ〜い☆」

ササッとアクエリアスは降りて出発する。

「では皆さん。お気を付けて」



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