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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
78/140

72.早朝から

薄暗い峡谷の深底に怪しげな人影があった。

一人はドレスのような奇抜な服装に腰まで伸びた薄緑色の髪の女性。

その隣に鉛色の髪をした男、リタース。

そしてその二人の目の前には透明の球体に閉じ込められた黒髪の少年の姿が見られた。

意識は無いのか少年はうなだれたようにいた。


薄緑色の髪の女性が口を開く。

「順調かしら?」

リタースは片手に小さな機械を弄りながら答える。

「ああ、問題ないぜ」

「そう…たしか今日…だったわね。そっちの方も大丈夫かしら?」


女性の問にリタースは小さな機械をポケットに入れ込み自信なく答える。

「……多分、大丈夫だと思う…」

「まあいいわ。どうせ仲間を呼んで来ると思うし、そっちの方がこっちとしても都合がいいからね」

「しかし、大丈夫なのか……十二星宮の一人ならともかく、もう一人も一緒に来るとなると…それに奴らの眷属も…」

「心配性ね。ある程度の想定外に備えての保険があるじゃない。それに私がいることだし♪」

「だといいけど…」



      ★



「……ねみい…」

目をこすりながらベッドから起き上がり、窓から外の景色を見る。

「もう朝か…」

昨日のプルートとの戦いから一夜を明け、朝を迎えていた。


ゆったりと歩き扉を開けて部屋から出て階段をおりると、そこには朝ご飯を食べているステラに食事の準備をしているサダルメリクの姿があった。

こちらに気付いたステラは挨拶を交わしてきた。

ついでに食卓に上に乗っていたテーベもぷるぷると体を震わせて挨拶をしてきた。

「おはようルークス」

「おはようさん」


「ルークスさん。おはよう御座います。朝ご飯ならもう出来てるので食べますか?」

「ああ、わりぃな。じゃあ遠慮なくもらうぜ」

サダルメリクから朝ご飯を受け取り食卓に運ぶ。

椅子に腰を下ろすと玄関方面からアクエリアスが入ってきた。

「おや?もう起きてたのかい?」


「アクエリアスか…どこか行ってたのか?」

ルークスの質問にアクエリアスは軽く笑い返す。

「ちょっとした散歩さ」

「ふ〜ん…散歩ね…」

明らかさまに疑うような態度をとると、苦笑いしながら話す。

「おや?もしかして疑われてる?そんなに警戒しないでくれよ~。君と僕との仲じゃないか」


「お前と仲良くなった覚えはねえけどな」

未だにリゲルの一件に根を持っているのか、指をさしながら返す。

「さらっと酷い事言うんだね」

ステラはムっとしたような表情を浮かべ注意をする。

「そんなこと言っちゃダメだよ。仲良くしてね」


「そうだよ。仲良くだよ?」

ステラのモノマネなのかアクエリアスも同じ事を言う。

「お前か言うと違和感しかねえんだけど…」

なんだかんだ話をしているうちにミルキーが階段から降りてきた。

「な〜に朝っぱらからバカな会話してんのよ~?」

「あ、ミルキーさん。おはよう御座います。朝ご飯ならもう出来てますよ」


「早速頂くわね。ありがとね。メリー」

「いえいえ…」

広い食卓につき他愛ない話をしながら食事をとって数十分後……

「そういやレグレスの奴がいねえけど、あいつどうしたんだ?」

「レグレスさんなら玄関で怪しい人がいないか見張りに行ってますよ。ほら、昨日きた人の事覚えてますか?」


「テーベちゃんの事をいじめる悪い人のこと?」

「はい、昨日ボコボコにして追い出したんですけど…あの様子じゃまたここに来るんじゃないかな~って思ったんで…あの人…絶対悪の象徴の人ですよね?魔物に対して、すごく執着がありましたし」

迷いの森に出会ってから何かと付きまとわれている。

昨日の反応を確認する限り諦めている様子では無かった。

恐らくまたテーベを倒しにここに来ることだろう。


「まあ確かに、アイツの事だし また来そうよね〜。というか迷いの森で出会って、ここまで追いかけるくらいだし、また来るんじゃない?」

「むうぅ~…どうしてあの人はテーベちゃんの事をいじめるんだろう…とっても良い子なのに…」

「僕も昨日こっそりと2階から見てたけど…何か訳があって狙ってるふうに見えたね」


アクエリアスが話し終わるとドオォォォォン……と玄関付近から何かの小さな爆発音が聞こえてきた。

「なんか玄関の方からすんげぇ音がしたけど…」

「ま、まさか本当に来たというんですか!昨日あんだけボコボコにしたというのに!」

驚いたようにサダルメリクは立ち上がる。

「とりあえず行ってみようぜ」


急いで玄関から出ると、大剣を構えたレグレスとその先に細剣を引き抜いたプルートの姿があった。

「ふっ…なかなかやるな…俺の剣技をかわすとはな…」

「これ以上続けるなら…貴様を斬ることになるが?」

レグレスが脅すように声色を変えるが、プルートはニヤリと笑い余裕な口ぶりで返す。

「そんな脅しが俺に効くとでも思っているのか?無理にでも押し通してもらおう」


感心したふうにアクエリアスが口を開く。

「噂をすれば何とやらだね」

手を頭に当て困ったように呟く。

「マジで来やがったな…こんな朝っぱらから…」

玄関から出てきたルークスに声を掛ける。

「よお、ルークス…あのクソスライムを消しに来たぜ」


プルートの言葉に怒ったのかステラは前へ出て声を荒らげる。

「テーベちゃんはクソスライムじゃなんかないよ!」

ぷるぷる!

テーベはぴょんと跳ね粘液を飛ばす。

「おっと、何度も同じ技があたると思うな――――うお?!」

粘液を避けたが別の方向から氷柱が飛んできた。

不意打ちになんとか間一髪にかわす。


「はいはい、そーいうのはいいからさっさとくたばりなさい」

苛立つよりか呆れたふうに話し掛ける。

「相変わらずの暴力エルフだな。人が話をしている途中に攻撃をしてくるとは」

「しかしこんな朝早くから来るとは思いませんでした。昨日あれだけボッコボコにされたのに…」

「モップ女も居たか…まあいい、お前達をまとめて相手にしてやるぜ!」


「あんたってバカなの?前と一緒で何も状況が変わってないじゃない」

昨日のことを考えると確かに何も変わっていない。

また皆にボコボコにされて返り討ちにされるオチだ。

サダルメリクはなにか言いにくそうに相手をチラチラと見ながら話す。

「ま、まさか…その…そういう趣味をお持ち…とか…ですか…?」


彼女の様子にステラはたずねる。

「趣味?何の趣味なの?」

何か察したのかアクエリアスがニヤニヤとしながら答える。

「かわいい女の子に痛めつけらるのが趣味なんだね」

今までに見せた事のない表情をするレグレス。

「貴様…そんな事を目的に…!?」


「えっ…あの…あなたの趣味にとやかく言う事じゃないんですけど、私その…こういうのはちょっと…」

「魔物をいじめて、女の子に痛めつけらるのが趣味……」

軽蔑したような目つきでプルートを見る。

「それが本当ならマジでヤバいわよ?」

彼を庇うように話す。

「まぁまぁ、別にいいんじゃないか?どんな趣味でも人それぞれだし」


「人が黙っていれば…好き勝手に言いやがって…!」

いちよう黙って聞いていたようだ。

だが、ここまで言われてプライドが傷ついたのかこんな事を言い出す。

「作戦変更だ。クソスライムの前にまずお前達から痛い目にあってもらうぞ!」

細剣を構え、それに合わせてルークス達も構える。

辺りが静まり返ると誰かがこちらに走って来る音が響いた。


それに気付いたプルートは後ろに振り向き確認すると…

「ん?誰―――」

彼の目の前は誰かの足で視界を覆っていた。

「とりゃぁぁぁぁぁ!!」

そのまま蹴りが炸裂し吹き飛ばされる。

「ごはっ!?」

壁に激突し気を失ってしまう。








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