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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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68.しつこい奴だ

フリージアを見送りミルキーはこれからの事について聞く。

「行ったわね…で、どうすんの?」

「どうするも何も帰るしかねえだろ」

なんだかんだ話をしている内に夕方になっていた。

フリージアとの話もでき今日はもうやることが無い。


「違うわよ。コイツをどうすんのか聞いてるの」

プルートに指をさしながら言う。

「コイツ呼ばわりとは…まあいい。お前達も帰るんだろ?あの白髪の女のところに」

「あ〜そうだった。コイツのことをすっかり忘れてたな…」

このまま彼を引き連れたまま帰ると面倒な事になる。


「さぁ…案内してもらおうか…ここまで待ってやったんだ…いい加減諦めろ」

「面倒ね……あ、そうだ。いいこと思い付いたわ」

何か閃いたのかニヤリと笑う。

「どしたミルキー。なんか思い付いたのか?」

「ええ、とりあえずコイツの要望通りに案内させてやるわ」

「は?おまえ頭おかしくなったのか?そんなことしたらコイツの思うがままだぞ」


手招きのジェスチャーをしてルークスを呼び込む。

「ちょっと耳を貸しなさい。ゴニョゴニョ……」

プルートに聞こえないように耳元にミルキーの考えた作戦を伝える。

「……まあそれならいいけどよ…大丈夫なのか?」

心配するルークスをよそにミルキーは余程の自信があるのか小さな胸を張り答える。

「数の暴力でやればこんな奴、どうってことないわ」


なかなか動かない二人に痺れを切らしたのか、苛立ちを見せながら話し掛けてきた。

「何をさっきからペラペラと喋っていやがる。さっさと案内しな」

「アンタってせっかちね〜。そう言われなくても会わせてやるわよ」

「わりい。その前にステラの土産にクレープ買っていいか。あいつ多分怒ってると思うし」

本来であれば、昼頃までに帰ってくるはずが夕方まで時間が掛かってしまった。

帰りを待っているステラは怒っているに違いない。

「あ〜そうね。まあ、スイーツなら何でもいいでしょ」



      ★



展望台から離れ、アクエリアスの持つ家に向かっていた。

夜に近付くにつれて、騒がしかった街も段々と静かな街となっていった。

辺りが暗くなって来たのを感知したのか照明星導光ルーメンエーテルが点灯し始める。


広場を抜け入口に向かい、そこから左に曲がり道なりに沿って歩いていく。

すると豪邸な家が見えてきた。

他の場所と比べるとひっそりとしている感じがあるがルークス自身は落ち着く場所でもあった。

ミルキーは足を止め、こちらに振り向く。

「ほら、着いたわよ」


「ほう…随分と立派な家じゃないか」

見上げながら適当な感想を述べていると庭の方から白髪の少女が走ってきた。

「ルークス、ミルキー?!今までどこに行ってたの!」

凶暴化したステラに怯まず、あるものをチラつかせながら話す。

「わりい。時間かかっちまって…これ買ってきたから許してくれ」


ルークスからあるものを渡されると先程の怒りは何処かへ飛んでいったのか、目の前のものに釘付けとなっていった。

「クレープ…!うん、今回だけは許してあげるね」

「チョロ……」

ボソッとミルキーが呟くものの、今のステラには届いていなかったようだ。


「この俺を前に、よく余裕でいられるな」

ニヤニヤしながらステラの前へ立つ。

「あ、あなたは!」

クレープから視線を外し身構える。

「ふん…やっと気付いたか…さて、覚悟は…できてんだろうな」


「迷いの森で会った魔物をいじめる酷い人!」

「違う!俺は絶対悪の象徴…プルートだッ!」

「そんなのどうでもいいよ!なにしにきたの!まさか、テーベちゃんをいじめに来たの!?」

「そうだ。今度こそ奴の息の根を止めに……と言いたいところだが、その肝心のスライムの姿が見当たらないが…?」

辺りを見渡してもあのスライムの姿が見当たらない。

迷いの森で出会った時は常にステラの頭の上に乗っていたので、そこに居るかとプルートは思っていたが…


「テーベちゃんは今おやすみだから家の中にいるよ」

何を考えたのかバカ正直に話してしまうステラ。

「くくく…そうか。では邪魔するぞ」

思わぬ所から情報を手に入れそれを元に家の中に入ろうとする。

「あわわわ…ルークス、ミルキー!どうしてあの人と一緒なのか分からないけど、テーベちゃんが危ないよ!あの酷い人をどうにかして!」


「そう焦ることねえよ。大丈夫だ。俺達がすぐに行くからよ」

律儀にもドアにノックを「お邪魔する」と一言を掛け侵入していく中、妙に落ち着いたルークスとミルキーがゆっくりと彼の後を追う。

「ど、どうしてそんなにゆっくりしてるの?い、急がないと…」

「大丈夫よ。すぐに分かるわ」

話し終わると同時にプルートが誰かに話しかける声が響いた。


「む?何者だ。お前…?」

相手の問に玄関に居合わせた空色のカールヘアをした女の子、サダルメリクが驚いた様子でいた。

掃除の途中なのか、片手にモップを持ちエプロン姿でいた。

「だ、誰ですか!貴方は!?」

それに応えるように奥からレグレスが出てきた。

「コイツが絶対悪の象徴…プルートという奴だ。貴様がここに来たということは、あのスライムを狙いに来たか」


「レグレスか。今までどこに行ったかと思ったが…ふん、お前もアイツらの仲間ってことか、まあいい…あのスライムをだしな」

「絶対悪って…ど、どこで知り合ったんですか?」

「知り合った…というよりも追って来たと言った方が正しい」

追ってきたという言葉で、すぐに理解が出来た。

絶対悪の象徴は魔物を刈り取る組織。彼が来た理由はテーベを狙っての事だろう。

「追われてる…?あ、もしかしてテーベちゃんを狙ってですか?」


テーベという名前は迷いの森でも何回か耳に入っていた。

それを聞くたびにプルート自身の中で苛立ちが立ち込めていた。

「テーベ……ふん。スライムの分際で名前を付けてもらってたのか?不必要だと言うのに…」


プルートに続いて三人が玄関に入ってきた。

「ただいま〜」

「ミルキーさん。それにルークスさんもどこ行ってたんですか?こんな時間になるまで…」

「それについては俺が後で説明する。プルート…貴様はどうするつもりだ?」

圧をかけるようにレグレスは尋ねる。


「聞かなくても分かるだろう。あの忌々しいクソスライムを消し飛ばす!」

「なんでそんな酷いこと言うの!」

ステラの嘆きも届かず剣をとる。

「魔物の味方をする奴等は全て俺達、絶対悪の象徴の敵だ!だが安心しろ…スライムは始末するがお前達は痛めつける程度で勘弁してやる」

相手の回答に「はぁ…」とため息を混じりレグレスは背負っていた大剣を片手に取り警戒態勢に移る。


「そうか……なら仕方ない…メリー…構えろ」

「えっ?こんなところで戦うんですか!?今日1日中頑張って掃除したのにぃ〜!」

睨むようにレグレスに視線を向けるが、レグレスはこちらを見ることなく相手の出方を伺いながら返す。

「また後でやればいいだけだ…」

「ひ、ひとごとだと思って…!」


二人が揉めている間にルークスとミルキーの二人も武器を取り構える。

「俺達も戦うぜ。数が多い方がいいからな」

プルートは驚いたふうに振り向き制止の声を掛ける。

「なッ!?ま、まて。ちょっとこれは……卑怯じゃないか…?4対1とか……正気か?」

「敵地に踏み込んだのはアンタの方だし、卑怯とは言わないでよね」


ミルキーの自信たっぷりの声に理解したのか、さっきまでの焦り顔は無くなりニヤリと笑う。

「ふん…なるほどな…俺一人なら数で攻めれば勝てると思って素直に案内したということか」

「そういうことだ。今なら見逃してやるよ。とっとと帰りな」

「俺がこの程度の事で、逃げ出すと思っているのか?」


プルートは剣技に自信があるのか余裕の表情でいる。

「ふーん。じゃあボコボコにするけど…覚悟はいいかしら?」

殺意に目覚めたのか握り拳を作りパンッパンッと音を立てる。

「くくく…まあいい。4対1でもぶっ飛ばしてやるよ…さぁーこい!」

戦いの火蓋が今切って落とされた。



        ★



「はぁ〜あ。アタシ疲れたし先にお風呂に入ってくるわね〜」

ミルキーは、そう言いうと背を伸ばしながら家の奥へ入っていった。

「お、おう…」

「それでどうします。この人?」

皆にボコボコにされて、倒れ込んだプルートの顔にモップをグリグリ押し付けながらサダルメリクは聞いてくる。


「ぐっ……くそぉ…」

手痛くやられたのか体を上手く起こせない様子だった。

レグレスは腕を組み、少し間を開けて一言を放つ。

「家の前に放り出すか」

「え?」

思わぬ言葉にルークスは間抜けな声が出る。


「そうですね。こんな奴すぐに叩き出しましょう!」

グリグリとモップを押し付けていたサダルメリクは一旦離れ、モップをバットのように素振りを始める。

「ではいきますよ〜?それぇー!」

そのまま彼のお尻に向けて、思いっきりモップで叩き飛ばす。

「ごはっ!?」

見事クリティカルヒットし、玄関から突き飛ばすように追い出される。


「これで懲りたら、もう二度と来ないでくださいね♪」

ニッコリと笑顔で見送り、パタンと玄関の扉を閉める。

痛そうだな…と思いながら、ルークスは彼の隣に歩み声を掛ける。

「………大丈夫か?」

辛そうに立ち上がり、忌々しそうに呟く。

「ぐっ…あの女…モップで殴ってくるとは…」


「まあでも、これで分かったろ。ここに来ても返り討ちに遭うだけだ…テーベの事は諦めるんだな」

ルークスの言葉にプルートは何かを見つめるような眼差しで答える。

「………俺は…諦めんぞ」


「しつこい奴だな。何だってお前はそこまでしてテーベを狙うんだ?」

ミルキーやヒマリアから聞いた話では、絶対悪の象徴は魔物を殺す事に特化した組織だと聞いている。

人に危害を加えない魔物でも、容赦なく叩き潰す。

それが絶対悪の象徴、だが、プルートには何かあってテーベに執着しているように見えた。


「……お前に話す事は無い」

「またそれか?ま、別にいいけどよ。ずっとここにいるとミルキーの奴がまたしばきに来ると思うから離れた方がいいぞ」

「チッ…あの暴力エルフが……明日も来てやるから覚悟しておくんだな…」

捨て台詞を吐き、この場から去って行った。











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