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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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61.サダルメリク

サングレーザーへ向かうためアクエリアスと一旦別れてしばらく経ち…

「ふーんふふーん♪」

上機嫌に鼻歌を混じりにテーベを弄っていた。

「何やってんだ?」

ニッコリと笑顔で返し答える。

「えへへ~。テーベちゃんと遊んでたの」

テーベ自身も嫌がっていないのかステラにやられたい放題になっている。


「遊んでたというよりビョンビョンと伸ばしてるしか見えなかったけど?」

「あ!なにか見えてきたよ!」

ミルキーの言葉よりも目の前の建物に目が行き走り出す。

街と見られる場所の近くに大きな架け橋が掛けられていた。

橋の下には綺麗な川が流れていた。この川はサングレーザーを囲むようにぐるりと一周をしているようだ。


「おお…あれがサングレーザーか。なんか王都よりか小さくないか?」

王都と比べるとだいぶ小さな国のようだ。

「サングレーザーは他の所と比べるとだいぶ小さな国と呼ばれてるからね」

「ふーん?そうなのか」

二人がゆっくり歩いて話していると先に行ったはずのステラがこちらに戻って来ていた。

「ルークス、ミルキー!なに話してるの?早くいこうよ!」


新しい場所にワクワクしてるのか急かしに来たようだ。

「はいはい、今行くから」

まるで小さな子供をあやすようにミルキーはステラの元まで歩く。

大きな架け橋まで足を進めた所にルークスはある事を聞く。

「ところでさ、テーベのやつ大丈夫なのか?守護星導光プロテクトエーテルがあるし、またコイツ一匹外で待たなきゃ駄目だろ?」


ここで返ってきた言葉はルークスを驚かせる。

「それなら問題ないわよ。ここは王都と違って守護星導光プロテクトエーテルが無いからね」

「え?じゃあ魔物が攻めてきた時はどうすんだよ。対処できんのかよ?」

「そんなのアタシが知った事じゃないわよ。でも別に良いんじゃない。コイツ一匹で待つことも無いし、それにステラも一緒にいる方がいいでしょ?」

「うん!テーベちゃんと一緒にいたい」


前回王都では守護星導光プロテクトエーテルの影響によりテーベはずっと外で待たせていたが、今回は一緒に居られるようだ。

ガッチリとした石の橋を渡りサングレーザーへ向かう。



       ★



「ついに着いた。ここがサングレーザーか…」

サングレーザーの入口付近にルークス達は立っていた。

目の前には大きめの街道が前と左右にわかれていた。

サングレーザーの民家だろうか、石や木製の建造物をメインに建てられている。

道端の至る所にプランターに手入れされた花や草垣があり緑を大切にしている事が人目でわかる。

等間隔に蒼白く発光した照明星導光ルーメンエーテルが街全体を明るくさせて緑をより際立たせていた。


ステラは静かに目を瞑り深呼吸をする。

「すぅー……はぁー…。ここの空気すごくキレイ」

「ん、そうか?俺には花や草の匂いしかしないんだが」

「そうね〜。てかそこら辺、草が生え過ぎてない?夏だと地獄ね」

「地獄?どうして?」

「暑くてムシムシするわ、虫も大量発生するわで最悪よ」

虫嫌いであるミルキーにとっては夏の時季は地獄へと変貌する。


「ムシだけにか?」

ルークスがボソッと言うと

「は?ぶち殺すわよ?」

殺意に満ちたミルキーがこちらを見下すように目を見開き睨みつける。

「ちょっと言ってみただけじゃねーか!」

「アンタが言うと不思議と殺意が湧いてくるのよね〜」

エルフにも関わらず物騒な事を言い出す。


「なんでこんなやつがエルフなんだ?イオとは大違いだ」

ルークスの口から出た聞き慣れない名前が耳に入り聞く。

「イオ?誰かの名前?」

「あ、ああ。フェーベ村にひとりでパン屋をやってるエルフの女の子なんだけど、コイツと全然違って優しいやつでさ…なんで同じエルフなのにこんなにも違うのかなーって思ったんだよ」

イオはエルフだがフェーベ村の人達と共に生活をしている。

今の人間とエルフの関係は最悪といってもいいレベルだがイオは特に気にせずにしていた。


しかしそんな彼女だが、ある事をキッカケに人間を恐れるようになり、今現在イオがまともに話し合える人間はフェーベ村の人達だけとなっている。

エルフの典型的な性格をしているがフェーベ村に無くてはならない存在になっていた。


そんなイオとミルキーを比べていると、ミルキーが苛立ったような表情にいつもと違った声色で話す。

「偏見ね。エルフだからって言ってみんながみんな優しいっていうのは違うわ。確かにアタシ達エルフの大半はアンタの言ってる性格の子が多いわ。でも一部アタシみたいな性格をしたエルフも少なからず居ることも事実なのよ。そこを間違えないでちょうだい」

いつものように声を荒げる事無く静かに怒りをぶつける感覚にルークスは反射的に謝る。

「わ、悪い…」


一気に雰囲気がガラリと変わり眉をひそめて心配そうする。

「ミルキー怒ってるの?」

「別に…こういう偏見だけで語る奴が大ッ嫌いなだけよ。まあアンタ達に出会う前はルディとヒマリアが一緒だったから今まで言う事が無かったけど、少しの間とは言え研究が終わるまで一緒に旅するんだから気を付けなさい」

どうやらルディやヒマリアはエルフとして接していた訳では無く、ミルキーという人物として見ていたようだ。


今の人間と他種族の関係を見てしまうルークスにとっては、どうしてもミルキーをエルフとして見てしまいどこか遠慮してしまっていた。

エルフは人間を嫌う、ミルキーも人間を嫌っていたが全ての人間を悪と決めつけず一人一人話し掛けて、どういう人なのかを確認しながらミルキーなりに人間関係を築いていた。


そうやってミルキーはここまで生きてきた。

だから余計に相手の事を確かめもせずにコイツはエルフだし優しいだろう。コイツは獣人族ビーストだしチカラはあるがバカなんだろう。

このような偏見を持つ相手を毛嫌いしていた。

「ああ…本当に悪かったよ」

「ルークスも反省してるからここまでにしよ?」 

いつもの軽い謝りでは無い事は明白。

ミルキーは少しため息をだすとふんっと笑い話す。


「まあ別にそこまでの事じゃないから良いんだけどね。さ、気を取り直して行きましょ」

先程の話が無かったかのようにパッと切り替えて緑の茂った街道を足を運び始める。

「えーっと…広場に花花の草に居るサダレリメクに会うんだっけ?」

アクエリアスから聞いた情報を一生懸命に思い出す。


しかしステラから放たれた言葉は本当に人の話を聞いていたのかと疑うレベルのものだった。

「花花の草って何よ。アンタ本当に人の話を聞いてたの?この先の広場に花草の丘っていう飲食店があって、そこにサダルメリクっていう……えーと何だっけ……確かカールヘアの水色の服装をした女の子が待ってる。だったよね?さっさと会いに行きましょ」


「ああ……ところで広場ってどこにあるんだ?」

「そんなの適当に歩いてたらそれっぽい場所に着くわよ」

相変わらずの適当さに心配になる。

「なんか心配だな……とりあえず迷子にならないよう行こうぜ」



      ★



しばらく直進していると広場と思われる場所に着いた。

ステラが周りをキョロキョロと見渡す。

「なんかスゴイところに着いたね」

左右に草垣があり街道には人が難無く通れるぐらいの草のアーチが少し先にある白色の噴水まで続いていた。

「花や木が色とりどりあって綺麗ね〜」

草のアーチに咲いている花を観賞しながら歩いていく。


「王都と比べて小さいところだが人通りが多いな」

「…でもエルフや獣人ビーストの姿は見ないね」

ルークス達が歩いている所に何人の人達がすれ違う。

人の数に対して他の種族は誰一人見かけなかった。

周りの人達もミルキーをジロジロと見ていた。

それもそのはず、人間を嫌うエルフがわざわざ人間のいる場所に来ることが珍しいからである。


「マイヤー湖畔で会った獣人ビーストを覚えているか?エルフや獣人ビーストの大半は人間と一緒に暮らすことを拒んでいてな。こーいう人間が作り出した国や街なんかには近付かず、人間が近寄らない場所に里や村なんか造ってるって言ってたぜ」 

「いってた?誰からきいたの?」

「クラーワからだ。おっと、今の話で思い出したんだが、あのじーさんから頼まれた事があったな」


「頼まれたこと?」

ステラが?になり聞いていると、ルークスは懐から小さな黒い箱を取って見せた。

「そう、この黒い箱をポーシャってやつに渡して調べてくれってな」

「はあ?そんな話きいてないけど?」

「あれ?言ってなかったっけ?悪い悪い忘れてた。まぁそんなわけだからさ、明日から手伝ってくれねえか。名前以外なにも聞いてねえから分かんなくてよ」

クラーワからはサングレーザーにいるポーシャという男だけの情報であり、何ひとつ判っていない状態であった。


「うん!大丈夫だよ!ミルキーも一緒に来てくれるよね?」

「はいはい行きますよ。どうせ拒否権なんて無いし」

最初から諦めていたのか素直に一緒について行ってくれるようだ。

草のアーチから抜けて白く巨大な噴水の前まで来ていた。

小休憩のために白色のベンチが何個か設置されている。


「えへへ~。あ、ミルキー。あれが花草の丘っていうお店?」

ステラの指した方向にそれっぽいお店を発見する。

「合ってるわ。どうやらここみたいね」

「じゃあ早速―――――ってアイツがそうじゃないか?」

早速お店に近付いていくとアクエリアスの言っていた女の子がベランダの隅の壁にもたれながら待っていた。


「カールヘアに水色の服装……そうね。あの店の周りに特徴があるのはあの子だけね」

「あの〜。サダルメリクさんですか〜?」

突然話し掛けられてビックリしたのかビクっとしてこちらに振り向く。

「うん?貴方達は…?それにどうしてわたしの名前を…?」

アクエリアスの情報通り、この女の子で間違いなさそうだ。

空色に肩に当たらない程度に伸びたカールヘア。

少し短めのスカートにメイドのような水色の服装をしていた。

女の子の頭にはふわふわした小さな帽子を被っていた。


「いきなり聞いて悪いな。アクエリアスからあんたに話を聞きに訪ねてくれって言われて来たんだ」

「えっ?!そうなんですか?…むぅ〜……」

アクエリアスの名前が出てきた事に驚いていたがそれ以上に、ルークスとステラが気になるのか交互にジーッと見始める。

「…?なにアタシ達の事をジロジロ見るわけ?」

「えっ、いやその…変わった人だな〜って……ごめんなさい」


「別に謝らなくてもいいわよ。ちょっと気になっただけだし、それよりもアンタに聞けば話をしてくれるってアイツから言ってたんだけど?」

「ああ〜うん。アクエリアスさんの紹介なら信じても大丈夫だよね。少し長くなるから中で座りながら話すわ。ついて来て」

サダルメリクはそう言うと花草の丘のお店の中に入っていく。

それに続いてルークス達も入って話を聞きに行くのであった。







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