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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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59.怪しい人影

「ふあぁ〜……」

大きなあくびをしながら目を覚まし起き上がる。

「よっ。おそようさん」

「やっと起きたわね。準備しなさい」

既に二人は起きていた。


「……ねむたい」

ステラは目を擦りながら眠たそうにする。

「そんな事言わずに…ほれ」

「わぁいパンだぁ〜」

ルークスから渡されたパンを頬張る。

「それ食ったら出発するぞ」

「うん。……あれ?二人は朝ごはん食べないの?」


そこらにあった小さな丸太に座ったミルキーが答える。

「アタシらはもう食べたわよ」

しばらくボーッとしたあとハッとする。

「……あれ?私もしかして……寝坊しちゃった?」

「ああ」

「え〜!どうして起こしてくれなかったの!?」

「いやどうしてって言われてもな…あまりにもお前が気持ち良さそうに寝てるもんだから起こすのが悪いと思ってな」

2日間、歩き続けて疲れていたのか、ぐっすりと深い眠りについていたようだ。


「むぅ〜…あんまり寝顔を見てほしくなかったんだけど……」

恥ずかしさと素直に起こしてくれなかった二人に不機嫌な態度をとる。

「ははは。悪い悪い。お詫びにサングレーザーに着いた時にステラの好きな食べ物を買ってやるから、それで許してくれ」

食べ物と聞き目をキラキラと輝かせる。

「食べ物…!分かった。今回は許してあげる」


(チョロ……)

相変わらずの彼女にミルキーは呆れた風に呟く。

「はぁ〜あ…バカみたいな会話ね…」

「こういうのも良いだろ?」

「はいはいそーですね。それで準備できたの?」

ルークスの戯れ言を適当に流し確認をする。

「うん!バッチリだよ!」

パンを食べ終わり元気に返す。


「サングレーザーまであと少しだ。気張って行こうぜ」

彼の言葉を合図に簡易結界からでて再び歩き始める。

「しかしまあ、ここに来て思ったんだが…何も無さすぎないか?辺りが緑ばっかりだぞ?」

辺りは土の道にその道から外れないよう木製の柵が設置されている。

しかしそれ以外あるのはだだっ広い草原だけ。

「緑豊かな国って言われてるからね。多分この辺りには木や草…あと小さな川ぐらいかしら」


「わわっ!テーベちゃん待って〜!」

すると突然テーベはステラから離れて草原の中に跳び回り、そこら辺の草を食べ始めた。

「うわッ!?アイツ…すげぇ勢いでそこら辺の草を食べ始めたぞ」

テーベの跳び回った場所に草が刈り取られたような跡が残る。

「……テーベって植物が主食なのかしら?いずれにせよ、ただのスライムじゃないし調べないといけないわね」


未だにテーベの事は何も分かっていない。

「……アイツらに訊けば分かるかな…」

「まさかとは思うけど絶対悪の象徴の事を言ってるのなら止めておいた方が良いわよ。会話どころの問題じゃあないし」

ミルキーの言うとおり絶対悪の象徴は魔物を排除する組織であり、魔物に対して詳しくはあるが、だからと言って魔物であるテーベの正体を教えてくれる訳では無い。

むしろテーベを可愛がっているステラの身に危険を晒す可能性の方が高い。

そもそも彼らもテーベの事をどこまで知っているかどうかの話だが。


「そうだよな…」

ミルキーの言葉に説得力があり納得する。

それと同時にある事を思い出す。

(そういやアイツ…アルゲティだっけ?アイツ、テーベの事を033って言ってたな。次にあった時に訊けば意外と教えてくれるかもしんねーし…試してみるか)

迷いの森で出会ったメガネを掛けた緑髪の少年アルゲティ。

そして彼はテーベを取り返す為、フェーベ村から王都に移動する際に襲ってきている。


彼ならテーベの事を知っているはず、それにテーベを033という奇妙な数字で呼んでいた事にも気掛かりだ。

「捕まえた!ダメだよ?勝手に行っちゃ」

ピョンピョンと飛び回りながら草を食べていたテーベをステラがようやく捕まえる事ができた。

「大丈夫か?」

「うん!元気すぎて困るけど…たのしいよ!」

テーベの捕獲のため走り回りハァハァと息切れしながら楽しそうにしていた。


「まったく…こっちは遊びに来てるんじゃあ無いのよ?」

「えへへ~…」

頭を触りながら何故か照れる。

「はぁ……ん?何アイツら」

溜息をつき足を進めようとしたがミルキーは不意に足を止めた。

「どうした?」

異変に気付いた彼は側に寄り尋ねる。


「ほら…あの小さな小屋があるでしょ?あそこに変な連中が居るのよね…」

ミルキーの指した方向に小さな小屋があり、その周辺には上下黒服の男が三人立っていた。

「……なんかヤバそうな連中だな。近くに魔物もいねえのに、なんであんなヤバそうな格好を…?」

そこにいる三人は武装しており一人は杖を、もう一人は鉄製と思われるグローブのような武器を着用し、最後の一人は銃を両手で持っていた。

ルークス達は様子を見てコソコソしていると、銃を持った男が何か異変に気付く。


「誰だ!」

男がこちらに振り向き銃を構え始める。

「やべっ!?ステラこっち」

「ひゃう!」

ルークスは反射的にステラの腕を掴み近くにあった箱の物陰に隠れる。

ミルキーは自身の身長の低さを利用し、地べたに這う様に姿勢を低くする。


「おい。どうした?」

杖を持った男が話し掛ける。

「いや、あの辺りから物音がしてな」

銃を下げて先程ルークス達が隠れた箱の場所に視線を向ける。

「物音?ふん、動物か魔物のどちらかだろう」

何事も無かったように事を済ませる雰囲気になるが、そこにグローブをつけた男が何か持ち出し近づく。

「まて、これを見ろ」

「む?これは…!」

「……コイツは想像以上の大物だぜ…!」

三人が何やらコソコソと話をしていると杖を持った男が突然術式を組み込み始めた。


「では早速……」

男が呟くとミルキーは一気に焦った表情に変化した。

「ッ!くるわよ!」

ミルキーは立ち上がり叫ぶ。

するとルークスの足元にドドドドドッ!と土の塊が勢いよく噴射する。

「おっと!」

ステラに当たらないよう物陰に彼女を置いてから飛び出し避ける。

だが、その先にいたのは銃口をルークスに向けた男の姿がいた。


「へっ!くらいな!」

炎を纏った銃弾が発射される。

「チッ!いきなりかよ!?」

鞘から剣を引き抜いていない状態で防御が出来ない。

思わずルークスは片手で銃弾を弾くように手で払う。

その瞬間、触れられた銃弾は固体から気体に変わるように白いもやに変化し消えいった。


「消えただと…!?」

この不思議な現象に戸惑い動きが止まる。

相手が驚いている隙をつき詠唱を始め魔術を発動させる。

「炸裂する炎よ…ファイヤーボム!」

杖を持った男の前に炎の纏った四角形のデコイを発生させる。

「無駄だ!」

グローブのつけた男は両手を何か包み込むように合わせて、手と手の間に水のボールを作り出す。


そしてその水のボールを空中に浮かせて投げつける。

ビシャッ!

水飛沫をあげ見事ファイヤーボムに命中し鎮火させる。

炎が消えたファイヤーボムはチカラ無く落下し不発に終わる。

「コイツ…!」

敵側は属性に対する知識を持っていたようだ。

「さらにコレを…」

杖を振り回し術を発動させミルキーの足元に土を盛り上がらせる。


グローブの男に集中していた為、気付くのに遅れてバランスを崩しそのまま空中に投げ出され地面に不時着する。

「あぐッ!」

「このヤロウ!」

ルークスの持つ剣に炎を纏わせ杖を持った男に炎の塊を飛ばす。

「大地を…起こせ!岩壁粒子がんへきりゅうし!」

地面から細かな粒を巻き上げ壁を創り出す。

その細かな粒がルークスの炎を受け止める。

「なッ!?」


「おっと、余所見してていいのか?」

驚く間も与えず嫌な音と共に銃口を頭に向けられる。

ぷるぷる!

テーベは助けようとしているのかステラの腕の中で暴れる。

「ルークス!」

ステラが叫ぶがもう遅い。


「ッ!」

この一瞬で何か出来る筈も無く……


バンッ!


乾いた音が辺りを響かせた。


「なんだお前!」

銃を持った男が驚きの声をあげる。

その声に反応するようにルークスも顔を上げるとそこには……

「お前は…!」

その軍服と青い髪にルークスは見覚えがあった。

リゲル尖塔以来に姿を表すことが無かった男、アクエリアスがルークスに向けて放たれた銃弾を弾き守っていた。


「油断大敵」

ニヤッと言い放ち手を銃の形にして指先から水鉄砲を放ち銃を持った男を吹き飛ばす。

「ぐわッ!」

吹き飛ばされた男は小屋にドンッ!と激突し銃を手放し気絶する。


「面倒だ…!」

杖を振り回し目の前に石ころを大量に発生させてアクエリアスに向かって飛ばす。

「これは…!?」

アクエリアスの目の前に半透明の水のシールドが先程の石ころ攻撃を全て防いでいた。

「なんだい?今のが攻撃かな?」

挑発するように笑う。


「調子に乗るなよ!」

グローブを着けた男が素早く動き、アクエリアスの目の前まで移動し殴りつける。

バシャーーー!

水飛沫を上げながら()()に殴りつけていた。

「ッ!いない…いったいどこに…!?」

トントンと何者かに後ろから肩を叩かれる。

後ろに振り返ると……

「やあ」


いつの間にか背後に移動していたアクエリアスがそこにいた。

「この!」

男が反撃しようとするが、それよりも早く彼が素早く手に水を纏わせ横薙ぎ一閃に斬りつける。

「のわぁ!」

グローブを着けた男はダウンし残るは杖を持った男のみとなった。


「粉砕せよ…ストーンブレイク!」

アクエリアスの頭上に岩を作り出す。

「おやおや…」

彼は余裕なのか感心した表情でソレを見上げる。

そしてそのまま頭上に作られた岩は速度を増し落とす。

ズドォォォン………

「やったか…?」

土煙が舞う中、心配そうに見つめる。


「良い攻撃だ」

土煙が晴れない中、彼の自信に満ちた声が聞こえてきた。

「!?」

男は動揺からか後退りする。

「けど、その程度の魔術じゃあ僕に傷一つ付けられないよ!」

土煙が晴れて彼の姿が見えるようになった。

傷どころかホコリ一つ付いてなかった。

アクエリアスは走り出し近づく。


「大地よ――――」

急いで詠唱を始める。

「ははは…詠唱とは、随分と悠長だね?」

詠唱をさせる隙を与えず目の前まで接近する。

「チッ!目障りだ…!」

詠唱破棄し杖を鈍器代わりにぶん殴る。

しかし彼を殴った瞬間に水のように液状となり消える。

「消えた…!?」


先程のこともあり後ろを振り向きながら杖を振り回すが彼はいない。

「こっちだよ」

少し離れた所に彼は水鉄砲を放つ。

「ぐふッ!?」

そのまま背後を撃ち抜かれ倒れる。

「ふぅ…こんなものかな」












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