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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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58.嫌悪感

赤い水晶を拾い再び足を進めるルークス達。

「はぁ〜。ジメジメしててヤーね…早く抜け出したいわ」

周りの草木と湖で湿気が多くジメジメとさせていた。

暑い時季ではないものの、ミルキーは嫌そうな表情をしながら話していた。


そんな彼女の様子にステラは質問をする。

「ジメジメ?ミルキーはこういうのキライ?」

するとミルキーは手を小さく振りながら答える。

「動くと暑いし汗かいて服がベターって張り付いてきて、あの感覚が気持ち悪くてキライなのよ」

「それ、俺も分かるぜ。特に夏の時期がやべぇよな」

暑い時季にここへ来ると、必ずと言っていいほど汗をかき全身の服がベタつき不快感が襲うことだろう。


ステラは記憶喪失の影響か疑問符が浮かび上がる。

「ルークスもそうなの?わたしよく分かんない…」

「ステラはこういった事も覚えちゃあいないのか?」

「こんなの分からなくてもいいのよ。それに今は秋の時季に近いから、そんなにひどくないけどね」

今は夏の時季が終わり秋に向かっていた。


ステラはメモをとるような感じで繰り返し次の質問をする。

「ミルキーはジメジメがキライ…じゃあ逆に好きな事はなに?」

「何なのよ…いきなり」

急に質問ばかりしてくるので困惑を隠せない様子。


「ミルキーのこと、もっと知りたいから…ダメ?」

どうやらミルキーの事を知りたいために聞いているようだ。

これから一緒に旅をする仲間として聞いておきたいのだろう。

「べ、別に駄目なんかじゃないわ。……そうね、星導光エーテルの研究…かしら?まぁ、好きな事…というよりも仕事感覚でやってるわね」

「研究か…そのまんまだな」

初めて会った時から分かっていたが、彼女は星導光エーテル関係の事を熱心に研究してたようだ。


「でもどうして星導光エーテルの研究なんかしてるの?」

星導光エーテルの正体を暴くことよ。前にも言ったけど、星導光エーテルは何処から出てきて、どういった材料で創られたのか、今のところ解っていないないの。おかしいとは思わない?アタシ達が今まで使ってきた物が何一つ分かってないなんて」

確かに今まで当たり前に使ってきている星導光エーテルだが、実のところ何一つ解っていないのが現状。


「そうか?何かの原因で星導光エーテルの数が減って、その設計図的な物も無くなって、それで今は何も分からない…じゃないのか?それに十年前は戦争してた時期でもあったし…」

仮に10年前の出来事が原因としても無理がある。

確かにルークスの言う通り、今現在の星導光エーテルの数は減少傾向にある。

その理由として星導光エーテルの製造方法が解らなくなった事により作れなくなったからだ。


それも星導光エーテルの設計図が消失したからだと言われている。

しかしそれは劇的に環境が変わった場合での話である。

10年以上前は戦時中であり、ある日を境にこの戦争は終結を迎えた。

だが戦争が終わった今と過去の変化は大きな争いが無くなっただけで他の変化があったわけではない。

「もしそうだとしてもいきなりすぎない?そもそもこの戦争も突然―――」


ミルキーの言葉を遮るように突然ステラが声を上げる。

「ルークス!」

その瞬間、ルークスの正確な位置に合わせたのか、ピンポイントに岩が飛んできた。

「ッ!」

ドゴォォ

反射的に避け、岩が地面に激突し砕け散る。

幸いにもミルキーとステラは少し離れていたため当たる事は無かった。


「くっ!何なんだ?!いきなり!?」

ガサガサと草木が揺れる。

「……そこよ!」

それをミルキーは逃さずファイヤーボムを炸裂させる。

ドオォォォォォ!

爆発と共に草木から2つの影が飛び出す。

その影は草木から草木へ跳び移り上手く隠れる。

「逃さないわ!」

瞬時にアイスニードルを発動させる。

八本の氷柱を敵に向かい飛ばす。


影はジグザグと避けながらその姿を表す。

その姿にルークスは意外な反応を見せる。

獣人ビーストか?!」

しかし、ルークスの様子をお構いなしに犬耳の茶髪の女の子は強い殺意を見せる。

「人間…殺す…!」

獣人ビーストの女の子は爪を長く伸ばし戦闘態勢に入る。

もう一人の猫耳が生えた黒髪の男性は地面に埋まった岩を片手で引きずり出す。


「待てって!俺達はただここを通り過ぎただけだ!」

ぷるぷる!

テーベはいつでも襲われても対応できるように震える。

その前でルークスは必死に弁明をするが獣人ビーストの二人はまるっきり信用せず敵意むき出しに声を荒げる。

「信じられるか!人間の言う事なんて!」

今にも襲いそうな雰囲気に慌ててミルキーが止めに入る。


「待ちなさいよ!コイツの言う通りアンタ達の敵なんかじゃないわ!」

獣人ビーストの二人はミルキーとステラの存在に今頃気付く。

「…どうしてエルフが人間なんかと…?」

よほどのことなのか人間とエルフが一緒に居ることに驚きを隠せない様子。

「と、とにかく、私達は敵じゃないから話を聞いてほしいの」

ピョンピョン!

テーベも一緒になってステラの頭の上で跳びはねて敵では無いことを示す。


すると猫耳の男性はルークス達をジロジロと見たあと口を開く。

「……どうやら俺達の早とちりだったみたいだな…」

「じゃあ――――」

ステラが何か話そうとしたが…

「お前達に話すことは何もない。俺達の気が変わらん内に立ち去れ」

「え?どうして?」

「二度は言わない。まだここに残るなら敵対と受け取るが?」


ステラの疑問を答える事なく冷たく言い放つ。

二人は見逃すと言ってはいるが依然、敵意や殺意は収まらず、このまま残り続ければ本気で殺しにかかるだろう。

いずれにせよ見逃してもらえるのだ。早めに立ち去るべきだ。

「…行くぞ。ステラ」

「で、でも…」

ルークスと獣人ビーストの二人を交互に見ておどおどとする。


「話は後だ。行くぞ」

ステラの手を引っ張り連れて行く。

「そこのキミ」

ミルキーも立ち去ろうとしたが、犬耳の茶髪の女の子が呼び止める。

「ん?アタシ?」

「そう。キミ…エルフでしょ?人間と関わるのやめておいた方が良いわよ。この先ろくな事が無いから」

種族は違えどミルキーの心配をしてくれているようだ。

「忠告ありがと、でもアタシも研究のためにやる事があるから、気持ちだけ受け取っておくわ」



       ★


 

足早にあの場所から離れて一息つく。

「ふぅ……ここまでこれば大丈夫だろ…悪いな二人とも…」

いつもより暗く二人に謝る。

「アタシは別にいいわよ。こうなる事ぐらい分かってたし…それよりもステラが心配よ」

「うぅ〜疲れた…」

どうにか離れるためだったとは言え強引に連れて行ったので、いつもの歩幅や歩く速さが違い疲れてしまったようだ。

ぺたんと座り小休憩をとる。


「………ミルキー。後どれぐらい進めばここを抜けられる?」

「あともう少しのはずよ」

「そうか。ステラ、立てるか?」

「立てるけど、もう歩けないよ〜」

気怠そうに立ち上がり駄々をこねるように言う。

ルークスはステラの元に行きしゃがみ込む。

「俺の背中に乗りな」


「えっ?いいの?」

「ああ、あと少しだからな」

ここにいる獣人ビーストがいつまた襲ってくるか分からない。

何が何でも今はこの湖畔から離れた方がいいだろう。

「えへへ…じゃあ…ぎゅう〜」

ルークスの背中に乗り抱きしめるように引っ付く。


しばらく歩いているとジメジメとした空気に新鮮な風が入り込み3人の髪をなびかせる。

「お?出口か?」

「はあ〜。やっとここからでられるわ〜」

一番にミルキーが走り出し、後に続いてルークスも歩き湖畔から抜け出す。


「わあ〜!キレイな草原だ〜!」

抜けた瞬間、目の前には一面緑が広がっていて建物は一切無く、ただただ草原がそこにはあった。

「そんな事はどうだっていいわ。もう疲れたし簡易結界を起動させましょ」

そんな事よりか早く休みたいのかミルキーは結界の張る場所を確保する。


「ああ、悪いステラ。降りてくれねえか?」

「うん。よいしょ」

ステラは降りてテーベを抱きかかえる。

「この辺か?」

「ええ…ってアンタ、起動できんの?」

前回あの有様だったので疑いをかける。


「見てなって」

自信満々に簡易結界をいじり始める。

ガチャガチャ…と音を立ててしばらくすると簡易結界が起動し展開をする。

「ほれ、出来たぞ」

「へ〜。アンタにしちゃあ上出来ね〜」

前とは違い順調に事を上手く運べた。

「さてと、夕食の準備でもしますか」

ルークスとミルキーは食事の準備を始める。

色々と問題を起こしそうなステラにはテーベと遊ばしていた。


しばらく経ち……

「おいひ〜♪」

満面の笑みで食事をとるステラの隣でミルキーは溜息をつき今日の事について話す。

「まったく…散々な日だったわね。早めに寝ようっと」

「悪いな…俺の所為で…」

「そういう意味で言ったんじゃないわよ。こうなる事を覚悟で付いて来たんだし、気にしなくてもいいわよ」


「でもどうしてあの獣人ビーストさんは、あんなに攻撃的だったの?」

同じ獣人ビーストであるヒマリアとは全然違い、マイヤー湖畔で襲ってきた獣人ビーストは強い敵意や殺意を向けてきた。

とても同じ獣人ビーストとは思えなかった。


ステラの問いにルークスは言い難そうにしながら答える。

「……なんていうかな…過去に俺達人間が色々悪さをしてた所為で今の人間に対して獣人ビーストやエルフの関係は最悪なんだ」

「でもルークスは何も悪い事してないよね」

「あいつらにとって人間という種族だけで敵対理由になる。それほど人間が憎いって事だ」

10年前以上に続いていた戦争は今現在にも多大な影響を及ぼしていた。


「じゃあどうしてミルキーは一緒に来てくれたの?」

マイヤー湖畔で会った獣人ビーストの反応が普通ならミルキーの行動は異常と見える。

「アタシ?そりゃあ研究のためよ。それ以外にないわ」

本当にそれだけかと思ったルークスは恐る恐る聞いてみる。

「ずっと聞かずにいたが、ミルキーは人間が嫌いじゃあ無いのか?」


「嫌いよ。吐き気がするくらいね」 

嫌悪感を声に出したようにハッキリと言い切る。

「あくまでも研究のため…か」

「不快だった?」

意地悪な笑みをこぼしながら聞いてくる。

ルークスは想定内だったのか特に気にしない素振りで答える。

「いや、このくらい日常茶飯事だし構わねえさ」


ミルキーがキッパリと嫌いと言い切り疑問を問う。

「ミルキーは私達のこと…キライなの?」

「んなわけないでしょ。普通よ」

帰ってきた答えは至って普通のものだった。

「え?でもさっきキライって…?」


「アレは悪い奴に限ってよ。私達エルフや獣人ビーストにも良い奴もいれば悪い奴もいる。それって人間にも当てはまる事でしょ?確かにアタシは人間の事が嫌いよ。関わりたくないぐらいに…でも人間にも悪い奴ばかりじゃないって知ったから、だからアンタ達二人は人間だけどアタシにとっては普通の存在なの。別にアンタ達の事が嫌いなわけじゃあ無いの」

「…?よく分かんないけどミルキーが優しいのが分かった!」


意表を突かれたのか頬少し赤らめながら言い放つ。

「ッ!そ、そんなんじゃあないわよ!まったく…と、とにかく!そういう事だから、気にしなくてもいいわよ。とゆーか早く用意しなさいよ!」

仕方無しにルークスはブツブツと呟き手を動かす。

「はいはい。やりますよっと…(人使いの荒いエルフだこと)」


最後の小言に反応し怒ったように声を荒げる。

「あ!?何か言った!」

「お〜…おっかねえな…」

二人のやり取りに可笑しかったのかステラは軽く笑い出す。

「ふふっ」


ぷるぷる?

ステラの笑いにテーベは小刻みに震える。

「アンタなに急に笑ってんのよ」

「えへへ~やっぱりこの雰囲気が良いな〜って思ったの。みんな楽しく笑ってるから…つられちゃった」

「ふん…確かに悪くないな」

こうやって笑い合いながら旅をするのも悪く無いと感じながら簡易結界の中で休むルークス達であった。












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