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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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57.マイヤー湖畔

次の日を迎えぱぱっと支度を終える。

今日も一日中歩き回ることだろう。

「準備はいいか?」

テーベを頭の上に乗せて答える。

「うん!大丈夫!」

「問題ないわ。行きましょ」


準備万端、早速マイヤー湖畔へ出発しようとしたが…

「ちょっと待った!」

ルークスが大声で二人の足を止める。

「わぅ!?ビックリしたー!何よいきなり!ぶん殴るわよ!?」

いきなりの大声で転びそうになり怒りだす。

「わ、わりぃ、でもよ。俺達の使った簡易結界をそのままにしとく訳にいかねえだろ」

確かに、このまま簡易結界を残す訳にはいかない。

しかし使い捨てのため、一度展開した簡易結界を元に戻す事は出来ず、持ち帰るのもほぼ不可能となっていた。


「ああ〜それなら心配ないわよ。簡易結界は特殊な作りになっていて、起動してから半日経つと簡易結界のものは塵となって消えるのよ」

そうミルキーが言ってるが、もしそれが本当ならかなり便利な道具だ。

しかし、そんな都合の良い話がそうそうにある訳がない。

そう思ったルークスはどういったカラクリか聞いてみた。

「は?どういう作りになったら、そーなるんだ?」


「アタシが知ってるわけ無いでしょ。知りたいんならコレを渡してくれたヒマリアにでも聞きなさい」

とか言ってるが、おそらくヒマリア自身も解っていないだろう。

「ねーねー。まだ行かないの〜?」

ステラがルークスの袖を引っ張り聞いてくる。

「おっと、行くよ」

時間が経って簡易結界が塵となってくれるのなら後始末する必要が無くなるのでルークス自身もかなり助かる。


マイヤー湖畔に入ってからしばらく歩き木製の橋がちらほら見えてきた。

「綺麗な湖だな。ここがマイヤー湖畔か?」

大きな湖に何個か小さな島があって橋は島から島へ繋がるようになっていた。

「ええ、そうよ。先に言っとくけど、ここの湖に近づいちゃ駄目よ?魔物が潜んでいるからね」

そう言われると綺麗な湖から何かが泳ぐ音が微かに聞こえてきた。


「そーなの?気を付けるね」

「魔物で思い出したけど、ここに来るまでの間、黒い魔物の姿を1回も見てねえよな?黒い魔物の数が増えた影響で馬車が使えねーってヒマリアが言ってたはずなんだが……どうなってんだ?」

馬車が使えなくなった原因である黒い魔物。

その黒い魔物は今の所一度も遭遇せず、ステラが黒い魔物のイヤな気配も感じる事も無かった。


「アタシに聞かれても知らないわよ…でも確かに変ね…アタシもヒマリアから色々と聞いてんたけど、どうも話の内容と違うわね…。まあこっちからしたら余計な戦闘をしなくて助かるんだけど…ちょっと不気味ね…」

色々と考えているとステラが橋の上で走り回り揺らし始める。

「わわっ!ここ、グラグラするよ!?」

緊張感のない彼女に呆れながら進む。

「はぁ……なーにやってんのよ…まったく…」

「あまりはしゃぐんじゃあねえぞ?」


「えへへ~…あ、魔物さんがいるよ?」

ステラは橋の下に顔を向けて指をさす。

「ん?あれは…?」

全身水色の魚のような魔物が水面に背びれを出しながら泳いでいた。

小鳥のようなつぶらなひとみに、かなり小さめの体となっている。

「気を付けなさい。あいつに近付き過ぎると水中に引きずり込まれるわよ」


「お前、あの魔物のこと知ってんのか?」

魔物の知識をあまり持たないルークスが聞いてみる。

「ええ、ちょっとだけね。あいつはピスキスって言って見た目通りの水棲魔物よ。あいつが水辺の近くに居る時に近付くと、物凄い速さでその近づいた者を噛み付き水中に引きずり込むの」

あんな可愛らしい見た目であるが、内面はかなり攻撃的な魔物のようだ。


「え?あの魔物さん。そんな事するの?」

「見た目は可愛らしいけど油断しちゃ駄目よ」

見た目で相手を判断してはいけないとはこの事。

辺りを見渡し警戒する。

「見た感じアイツ一匹だけか?」

パッと見た感じだと今泳いでいる魔物はあの一匹だけのようだ。


「それは分からないけど、コイツら水中に潜んで待ってる場合もあるから、とりあえず水辺の所に近付かないように行きましょ」

不要な戦いを起こして体力を消費すべきではない。

「そうだな。無駄な戦いは避けるべきだしな。というわけでステラ、あまり水辺のとこに近付くなよな」

色々と問題を起こしそうなステラに注意をする。


すると自分でも分かっていたのか知らないが、拗ねたように怒る。

「そこまで言われなくてもわかるもん!」

「悪い悪い、賢いステラなら言う必要が無かったな」

少し褒める?と満足したのか胸を張り笑みを浮かべる。

「わかればいいんだよ」


ミルキーが囁くようにルークスに話し掛ける。

「上手く扱ってるわね」

「なんだかんだ一緒に動いてきたからな。俺でもちょっとずつ分かってきてるぜ」

ほんの少しずつだが、ステラの扱いが直感だが分かってきた。

「何話してるの?早く行こーよ」

前へ前へと先に行くステラが、こちらに手を振りながら声をかけたきた。

その声に応えるようにステラの元に行く。



     ★



いくつものも橋を渡り、マイヤー湖畔の中を進んでいるとステラが何か見つけたのか、目を輝かせながら話しかけてきた。

「あ!なんかキレイな石があるよ!」

ステラの見つめる方向に視線を向けると、水辺の近付くに赤い水晶が1つだけあった。

「ん?あれは水晶…か?なんであんな所に…?」


明らかに場違いとも言える赤い水晶が何故かそこにあった。

「ねぇねぇ、見に行こうよ」

「あ、ああ、そうだな。周りに魔物はいねえようだし」

幸いにも水辺の周りにミルキーの言っていたピスキスという魔物はいず、身を隠せるほどの水位も無いので不意に襲われる事はないだろう。


「はぁ…二人とも目的を忘れてないでしょうね?こんな所で寄り道してたら日が暮れるわよ?」

「だいじょーぶ!ちょっとだけだから」

何を言われようと行くつもりだろう。

ミルキーは半ば諦めた態度で話す。

「アンタの「ちょっとだけ」が信用できないのよ。まぁいいわ、どうせアタシが言ったところでアンタ達が素直に言うこと聞くとは思えないし、もう好きにしなさい」


タッタッタッと走り、赤い水晶の元まで駆け寄る。

「ほわぁ〜。キレーイ。みてみて、コレすっごくキレイだよ!」

赤い水晶を手に取り、二人に見せびらかす。

しかし、ミルキーは水晶に興味が無いのか適当に流す。

「はいはいそうねー綺麗ねー」 


「適当だな…」

「だって興味ないし〜」

「え〜?こんなにキレイなのに興味ないの?」

「あぁ?そんな石ころ見て何が楽しいわけ?まぁ、綺麗なのは分かるけど…綺麗なだけで何の価値もないでしょ」


「でもよぉ。こんな所にポツンとこの水晶があんのは不自然じゃないか?どうみてもこんな所に出てきそうなもんじゃあねーし…」

「ん〜…確かにそうね…ステラ、ちょっとソレ貸してもらってもいい?」

「うん」

ステラは赤い水晶をミルキーに手渡す。


「………」

最初に見つめて、次に光星エネルギー視覚器を装着して、もう一度確認をする。

「何か分かったか?」

レンズを外し、予想通りの言葉が返ってきた。

「うーん……サッパリね。見た目が綺麗だけな、ただの石ころね」


ただの石ころ…こんな物を持っていても仕方ないがステラがかなり気に入っている様子だ。

「そうだよな。気にしても仕方ねえし、とりあえず持っていくか?」

「うん!私が持っておくね」

「そんな石ころ持ってどうすんのよ…」

ただ綺麗な赤い水晶を持って喜ぶステラの気持ちが理解出来ないミルキーであった。














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