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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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56.不安

ステラの話と食事が終わり後片付けした後、ミルキーは湖畔の近付くに何かをしていた。

「ミルキー、何やってんだ?」

カチャカチャと弄りながら答える。

「何って、お風呂の準備だけど?」


「は?お風呂?そんなモンまで出来るのか?」

寝床に食事もあって、さらにお風呂までもある。

簡易結界というものは想像していたものよりも便利な道具なのかもしれない。

「普通のモノじゃ出来ないわ。まったくヒマリアったら、こんなにも貴重なモノを渡すなんて…」 

どうやら同じ簡易結界の中でも、貴重なものを渡していたようだ。


「おっふろ、おっふろ、おっ、ふっろ〜♪」

お風呂と聞き、ウキウキのステラは周りをウロウロし始める。

「ちょっと、今準備してんだから、うろちょろしないの!」

少し鬱陶しがる様子で注意をする。

その間ルークスは、お風呂となる浴槽のような物に近付き、まじまじと見る。


「コレ…どういう作りになってんだ?」

「さぁ?アタシもこのタイプのものは初めてだし分かんないわ。ま、適当にやればいいでしょ」

そう言うとミルキーはガチャガチャといじる。

乱雑に組み立てているが大丈夫だろうか?

「おいおい、そんなんで大丈夫なのか…?なんか心配になってきたぞ」


「なに?アタシが信用できないわけ?」

「そう言うわけじゃあないが…」

ガチャガチャと弄ってると、あっという間に浴槽が完成する。

白を基調としたシンプルな見た目をしている。

「ほら、出来たじゃない。アタシに掛かればこんなもんよ」

やりきった顔で言い張る。


ミルキーの声に反応してステラが近付く。

「お風呂に入れるの?」

「ええ、もういいわよ。あ、分かってると思うけどアタシ達が先に入るから、アンタは結界の外に待機よ。もし覗いたり結界内に入ってきたら殺すから」

ミルキーの表情からして本気で言っていることだろう。

「はいはい、分かってるよ。じゃあ俺、外にいるから終わったら声を掛けてくれ」



      ★



浴槽に搭載されている湯沸かし機を使い湯を張る。

しばらく待つと浴槽は湯に満たされ湯気を出す。

早速ステラとミルキーは熱々の湯にゆっくりと浸かり始める。

「ふぃ〜……いいゆだね〜…」

「擬似的な露天風呂だけど、悪くないわね」

街道から外れた森の中、そのなかでも湖畔よりに簡易結界を設置しているため誰かに見られる可能性は限り無く低い。


この時間に、ここを出歩く人もいない為、のんびりと満喫していた。

ステラは目的地の場所について尋ねる。

「ねえミルキー。ここからサングレーザーってまだ遠いの?」

チャポンと音を立て湖畔の方に体を向けながら答える。

「そうね…明日も一日中歩いて野宿する形になるわね」

「すっごく遠いんだね」


「まあ本来なら馬車で行くところを歩いて行ってるからね。そりゃあ時間が掛かるわ」

?となったステラは聞き直す。

「えーっと…どうして馬車が使えないんだっけ?」

ステラの方に体と視線を向けて呆れながら話す。

「アンタもう忘れたの?ヒマリアが言ってたでしょ。黒い魔物の影響で王都コーディリア経由の馬車がほとんど止まってる状態だって」


ヒマリアの情報によれば、王都周辺に悪星魔物が再び増え始め危険な状態となっている。

そのため王都経由の馬車は安全を優先に一時的に止められている。

「そうだっけ?」

「はぁ、まあいいわ。次からはちゃんと人の話を聞くのよ」

「うん!」


「…………」

その後、疲れていたのか沈黙が続く。

ミルキーがステラのことをジッと見ている事に気が付く。

「………?」

どうして無言で見てくるか分からない中、ミルキーは小さな溜息を零す。

「はぁ…」


彼女の変な様子に不思議そうに聞く。

「どしたの?」

ハッとした顔つきで言い放つ。

「な、なんでもないわよ!」

「?」

しばらくの間、肩まで湯に浸かり疲れをとるのであった。



       ★



二人がお風呂からあがり外に待っていたルークスを呼び出し風呂へ入る。

ルークスが入っている間に就寝の準備を進める。

「ふ〜サッパリしたぜ〜」   

「あら、随分と早いのね?寝床の準備はもうしといたからアタシは寝るわ。おやすみ」


テントは二つあり、ルークス専用とミルキーとステラ専用のテントとなっている。

ミルキーは眠たそうにしながらテントに入って行った。

「色々とサンキューな。ゆっくり休めよ」

「え〜!もっと話がしたいのに〜!」

夜はこれからと言いたげそうにするが、明日も早く今日みたいに歩き続けなければならない。


明日に備えて出来るだけ体を休めなければならない。

「明日も早いんだから…ほら、ステラも早く寝なさい」

テントからひょっこりと顔をだし早く寝るように促す。

仕方無しにステラは従うことにする。

「う〜…わかった…今日はもう寝るよ…おやすみなさい」

「おやすみ」

ステラがテントに入って行った事を確認し、ルークスも寝ることにした。



       ★



暗い……暗い……

ここはどこだろう?

暗くて冷たくて…何も見えない…まるで海の底にいるみたい。

「ん!?なに?!」

眩しい…!さっきまで暗かったのに…

あつい…なに…コレ……? 赤くてあつい……火?


「あう……あついよぉ……うん?あれは…?」

こんなあつい火の中に…ひと…なのかな?

わたしと同じ真っ白で長くてキレイな髪……あ、でもちょっとだけ黒いのかな?

あの人…物騒なモノを持ってる…でもなんでかな…あれ…何処かで見たような…?


それに赤く汚れてる……鉄臭い…もしかして…血…なの?

ここ……街…だったのかな?

色んな物が散らばってる…あれ?

「あの人…悲しそうな顔してる…」


どうしてそんな顔でわたしを見つめてくるの?

あなたはいったいだれ…なの?

「でも…あの人…どこかで……?」


あ…なんか…目が変…ぼやけてきて……うぅ……



       ★



「はっ!」

バッと起き上がる。

そこにはテーベを抱き枕みたいにしていたミルキーが寝ていた。

「……ゆめ?」

さっきのはゆめだったのかな?

物騒な内容だったにも関わらず妙に居心地の良い夢だった。


「うーん…」

すっかり眠気が覚めたステラはもう一度寝る気にはなれず、とりあえず彼の所に行くことを決める。

「ルークスのとこにいこ」

ミルキーとテーベを起こさないように静かに立ち上がりテントから出る。


テントから出ると外は思った以上暗くなっていた。

森の中で結界を設置したため余計に暗く感じていた。

ルークスが入っているテントの前まで歩き確認をしてから入る。

「ルークス…はいるよ?」

テントの中に入ると中にはルークスの姿が見当たらなかった。


「あれ?いない…どこにいったの?」

一旦テントから出て辺りを探す。

「ここもいない…」

結界内をくまなく探したが彼の姿がどこにも見当たらなかった。

「ここにも……結界の外かな?」

結界の外と言っても流石に街道にいることは無いと考え、湖畔の方へ足を運ぶことにした。

しばらく歩いていると座り込んで夜空を見上げる彼の姿があった。


「あ、ルークス!」

ステラの声に振り向き少し驚いた表情をする。

「うん?ステラ?どうした、眠れねえのか?」

「うん…ちょっと変なユメを見ちゃって…」

「変な夢?どんな夢だ?」

ルークスの隣に座り込み夢の内容を話し始める。

「えーっとね―――――」


夢の内容を簡潔にまとめる。

「火の中にステラとよく似た女性が、悲しい表情かおでこちらを見てくる夢か…確かに変わった夢だな」

「うん…でも不思議とイヤなユメと思わなかったの……その人を見てるとね…懐かしい気分になるの」

「懐かしい気分?」


「よく分かんないけど、あの人と喋ったり笑ったりして…過去にそんな事をしたような……そんな気分」

「黒みがかかった白髪の女性…か。もしかしたら、ステラの家族か友達か何かかもしれねえな」

今のステラに過去の記憶がない。

ステラが見た夢は、もしかしたら彼女が過去で体験した事なのかもしれない。

「…………」


不安になる彼女にルークスが優しく話しかける。

「気になる事がいっぱいあるけどよ、今はサングレーザーに行く事を考えようぜ?分かんねえ事を考えても仕方ねえしな。もう寝な。明日も今日みたいな感じで歩くんだからよ。休める時にキッチリ休まねえと身体を壊すからな」

話していると眠気が徐々に襲ってくる。

ステラは立ち上がり確認をする。


「うん…ルークスも寝るの?」

「ん〜、俺はもうちょい、ここにいるよ」

「ルークスも早めに寝てね。おやすみなさい」

「ああ、おやすみ。ステラ」

ステラが結界内に入りテントの中へ戻っていった。


「……………これで、いいんだよな?」

ルークスは誰も居ない夜空に向かい語りかける。

「何が正義で何が悪か……俺には…もう……」

忘れられない過去を振り返りながら彼は悩む。

「お前は…今も……俺の事を……恨んでいるのか?……レフレ…」

俺の所為で……お前は……

十年前に起こした罪からは決して逃れられることはない。

今でも彼の心に後悔のあめが降り注いでいた。








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