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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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52.旅の始まり

ヒマリアとルディに別れを告げ、ミルキーは自分の家に帰っていた。

「ただいま〜。帰ったわよ〜」

「あ、おはえひ〜」

ケーキを頬張ったステラが迎えにでる。


「ちゃんと食ってから話しな、行儀悪いぞ」

「相変わらずなのね…」

帰って早々、いつも通りの光景に呆れるが、何故かそれが安心だと感じてしまう。

「話しは終わったのか?」

「ええ、もう大丈夫よ。そんな事よりもアンタら何食ってんの?」

用事を済ませ、いつでも出発できるようにした。

だが今のミルキーに、そんな事はどうでもよく目の前のケーキに目が入り質問する。


「ケーキだよ!」

ステラが元気よくそのまま答える。

「いや、そんなの見たら分かるわよ…もしかしてそのケーキ、宝石甘味ジュエリースイーツのとこじゃないよね?」

「そうだけど?」

「そうだけど、じゃないわよ!なに人のミラを勝手に使ってんのよ!」


荒れ狂うように怒りだす。

「ちょ、ちょっと待てって。前も言ったけど、いつからお前のもんになったんだよ。少しぐらい貰ったっていいだろ…」

アクエリアスから前払いとして貰ったミラを、まだ二人は何も解決していなかった。

「は?アタシに逆らうわけ?」

見下すように目を見開く。


「ミルキー!これでも食べて落ち着いて!」

ささっと皿にケーキを乗せて、ミルキーに差し出す。

「こ、これは…!」

「苺のショートケーキだよ。ミルキーのために買ったの」

なんと、ステラは自分のものだけでは無く、ミルキーの分まで買ってきてくれたようだ。

「ステラ…アンタって子は…」


何だか良い雰囲気になり怒りが収まったとみえる。

(チョロいな…)

ルークスはそう考える。

「食べ物で誤魔化そうとしてたみたいけど、アタシには通用しないわよ」

ただ良い雰囲気をだしていただけで何も変わってなかった。


「さっきの流れでこうはなんねえだろ?もっと素直になったらどうだ」

彼女に流れなど意味を成さない。

「うっさいわね…。でもまぁ…今回は許してあげるわ。それ、アタシに頂戴」

せっかくなので、ケーキを貰うことにする。


「はいどうぞ♪」

「ん〜♪やっぱ宝石甘味ジュエリースイーツのケーキは美味しいわ〜」

通用しないと言ってた割に、先程の怒りが消えてなくなっていた。

(やっぱりチョロいな…)


「えへへ~」

「何でアンタが笑ってんのよ?」

「ミルキーは楽しくないの?私は好きだよ。この雰囲気…」

「ま、悪くないわ。ほら、さっさと食べなさい。じゃないとアタシが食べちゃうわよ?」

「ダメっ!このケーキは私のだから!」

急いでケーキを頬張り始める。



        ★



昼食を摂り終え?テーベを迎えに迷いの森方面の街道へ向かっていた。

「今思ったんだけどテーベを連れて行くつもりなの?」

「うん!テーベちゃんも大切な仲間だからね!」

「あーそうなの?じゃあどうやって連れて行くつもり?」

残念ながらテーベは魔族、守護星導光プロテクトエーテルに守られてる王都に入ることはできず、どうにかして西街道まで連れて行かなければならない。


「ちょっと面倒だが遠回りして行くしかねえな」

迷いの森方面にある街道から外れ、西街道方向に草むらの中を掻き分けて行くしかない。

「え?マジで言ってんの?先に言っとくけど、あんな草むらに入るの、アタシは嫌だからね」

当然だが、誰も通らない場所なので、道など無く雑草が伸ばし放題になっている。


「まあまあ、そう言わずにさ…これも旅の1つと思ってさ」

これで嫌と言うのであれば、この先心配である。

「嫌なものは嫌なの!あんまりしつこいとぶっ飛ばすわよ!」

「わわわっ!だめだよミルキー落ち着いて!」

手が出そうな彼女に慌てて止めに入る。


「悪かったって、でもなんでそんなに嫌がるんだ?」

その問いにボソッと答える。

「だって虫が………」

上手く聞き取れず、もう一度聞く。

「あ?なんて言った?」

「虫がいるから嫌なのッ!」

「え?虫さん?」


「あ〜うん…大体分かった。でもお前、迷いの森の時は平気だったよな?今回と何が違うんだ?」

迷いの森に行った時に、平然と草むらの中を入っていたが…

「あの時は、まだアレを見てなかったから大丈夫だったけど…アレを見た後だと……ああ!思い出しただけで気持ち悪いわ!」


アレと聞き察する。

「あーあれか、まあ俺から見てもアレは強烈な見た目をしてたからな。仕方ねえ、じゃあ俺とステラで遠回りしてくるから、ミルキーは先に西門で待っててくれ」

「うん…そうしてくれると助かるわ…」

「じゃあ行くか。ステラ」

「うん!」

ミルキーは一足先に西街道へ、ルークスとステラはテーベが待つ迷いの森方向の街道へ、足を運ぶ。



      ★



テーベのいる迷いの森と王都の間にある街道へ来ていた。

「テーベ?どこだ〜?」

声を掛けるとガサガサと草むらからピョン!と勢いよく、飛び出してきた。

「お、今回は普通に出てきたな」


いつもなら顔にへばりつく事から始まるが、普通に出てきた。

ぷるぷる…

「よいしょっと…」

ステラは両手でテーベを持ち上げて、頭の上に乗せる。

「ここからどう行くの?」

「王都の守護星導光プロテクトエーテルの範囲内に入らないよう、ギリギリのラインに沿って西街道へ目指す」


ルークスは西街道がある方向へ向く。

「つまるところ、あの草むらに突っ走ることになる」

「でもルークス。ここ道がないよ?」

草むらが茂っていて、とても通れそうにも無かった。

「こうすればいいだけだ!」

鞘から剣を引き抜き、横一閃に薙ぎ払う。


「とはいえ、さすがの俺もずっと剣を振ってたら疲れるし、ゆっくり進んでも大丈夫か?」

王都の外周を進むため長期戦となる。

「うん。大丈夫」

「よし、それじゃ行くぜ」



       ★



ネメシスから離れた後、プルートはオリュンポス火山まで来ていた。

「…………」

無言のまま歩き、迷いの森でのステラの言葉を思い出していた。

「チッ…思い出すだけで苛々する…」


火山を降りながらブツブツと呟く。

「あの女…ステラっつたか?魔物の言葉を理解し、平和を願うか…これじゃあまるで……」

どんよりと曇った空を見上げ、過去の自分を思い出す。

「チッ、何くだらねえ事を思い出していやがる!あんなクソみてえな過去を…!」

自分自身を叱責するように声を荒げる。

「…あのスライムは必ず俺が始末してやる…待っていろよ…!」

再び闘争心を震え上がらせ、王都コーディリアへ目指す。







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